
今回の発表の概要
当社は、世界的な燃料価格の高騰や卸電力取引市場の価格上昇による影響に加え、2021年2月および2022年3月の福島県沖地震で一部の火力発電所が被災し、代替電力を調達するためのコスト増加などにより、2021年度は、2012年度以来9年ぶりの赤字決算となる1,083億円の当期純損失を計上しました。
加えて、燃料調達コストや電力調達コストの大幅な増加に伴い、現在も、電力の供給コストが電気料金収入を上回る「逆ザヤ」の状態が続いています。
特に、部門別収支(当社HPへリンク)で示しているとおり、高圧以上および低圧の一部が対象となっている自由化部門では赤字の収支となっており、今後さらに厳しい状況になることが想定されます。
当社は、現在もあらゆる業務のコストダウンなどに努めているものの、このままでは安定的な燃料調達や電力設備の更新・修繕などへの投資を十分に行うことができず、電力の安定供給に影響を及ぼしかねない、非常に厳しい状況にあります。
こうしたことから、電力需給の厳しい時期においても、お客さまに広く安定的に電力をお届けすることができるよう、国の審議会において進められている「電気料金の在り方」に関する議論も踏まえたうえで、自由化部門のお客さまを対象に、電気料金の取り扱いに関して、具体的検討を深めていくこととしたものです。
キーポイント解説
なぜ、このタイミングで「電気料金の取り扱いの検討」を公表したのか
当社はこれまでも、「燃料費がこのまま高騰し続けると、収支に与える影響は大きくなり、設備のメンテナンス費用も削らざるを得ない状況となるなど、安定供給に支障を来しかねないことから憂慮している」(6月定例社長記者会見での発話)と申し上げているとおり、当社は厳しい収支・財務状況を改善するための様々な対策の検討を常日頃から行ってきています。
また、当社は、他の小売電気事業者さまから当社への契約切替えを希望されるお客さまに対し、6月より「市場連動型メニュー」によるお申込み受付を開始(契約は7月1日以降)していますが、今冬をはじめ電力需給の厳しい時期においても、お客さまに広く安定的に電気をお届けするための検討も必要と考えています。
そのような中で、国の議論の動向も見ながら、電気料金の取り扱いについての検討も進めてきたところですが、7/20の国の審議会の議論も踏まえ、より具体的な検討が必要と判断し、7/21に公表したものです。
なぜ逆ザヤの状態になっているのか
燃料価格の高騰、卸電力取引市場の価格の高止まりが継続する中、2022年2月のウクライナ危機や同3月の地震により一部火力発電所が被災し、代替電力調達のための費用が増加している状況にあります。また、一般のご家庭など低圧のお客さまの電気料金では、今年6月に燃料費調整制度の上限価格に達し、上限を超えた分は当社が負担しています。こうしたことなどから、費用が収入を上回る構造となっています(過去に解説した記事はこちら)。
燃料費調整制度で費用は回収できるのではないか。なぜ、電気料金の取り扱いを検討するのか
確かに、燃料価格の高騰は、燃料費調整制度により一部ご負担いただいているものの、低圧のお客さまに設定している燃料費調整額の算定に用いる平均燃料価格はすでに上限に達しています。
高圧以上のお客さまについては、燃料費調整制度の算定に用いる平均燃料価格の上限は設定していませんが、2021年2月、2022年3月の2回の地震による設備被害に加え、再生可能エネルギーの大量導入に伴う火力発電所の稼働率低下や卸電力取引市場からの電力調達量の増加など、需給構造が大きく変化したことによる影響を受けています。
設備の復旧費用や卸電力取引市場の価格上昇による調達コストの増加は、燃料費調整制度では調整できないため、経営に与える影響が非常に大きく、電力の安定供給に影響を及ぼしかねない状況にあると認識しています。
燃料価格の高騰とは、具体的にどのような状況か
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、世界的に石炭やLNGなどの多くの燃料種の価格が急騰しています。
2022年6月末の時点では、石炭は約5.9倍(2020年4月対比)、LNGは約13倍(2020年4月対比)上昇しています。
卸電力取引市場の価格上昇とは、具体的にどのような状況か
昨今の燃料価格の高騰に伴い、昨年秋口以降、電力市場価格(スポット市場)が高騰しており、2021年9月平均値と比較して、2022年3月平均値は3.3倍程度、2022年6月平均値は2.7倍程度と上昇しています。
福島県沖地震で被災した火力発電所の状況はどうか
2021年2月、2022年3月に発生した福島県沖を震源とする地震により、自動停止もしくは被害を受けた当社火力発電所は順次運転を再開してきているものの、仙台火力発電所4号機および当社が受電している相馬共同火力発電㈱新地発電所は、現在も停止中です。
設備の復旧費用に加え、供給力を確保するため、発電所の停止期間中は代替の電力を卸電力取引市場から調達するためのコストが必要となります。

※赤枠は現在も停止中
国の審議会において、これまでどのような議論がなされてきたのか
昨今の急激な燃料価格高騰や、電力卸取引市場価格の高止まりなどにより、新電力の事業撤退や経営破綻が複数発生し、また需要家がどの小売事業者からも供給を受けられず、最終保障約款の契約数が増加するなど、小売事業における「電気料金の在り方」が課題となっていました。
こうした状況を背景として、国の審議会において、燃料費調整の在り方や、高圧以上のお客さまに適用している「標準メニュー」などの「電気料金の在り方」について議論が行われ、7/20にこれまでの議論が取りまとめられました。
(参考)審議会の中間取りまとめ案(国のHPへリンク)より抜粋
- 旧一般電気事業者において既存需要家と同様の需要特性を持つ需要家が、「戻り需要」であることで、HP等に掲載されている「標準メニュー」の適用を受けられない現状が続くことは、望ましいとはいえない
- 標準メニューは、電気の調達手段や調達費用等(調達費用の変動リスクのヘッジにかかる費用を含む。)に応じ、定期的に見直すことも考えられる
- 旧一般電気事業者において、標準メニューでの受付再開に向けた検討を速やかに進め、準備の整った事業者から、その見通しが示され次第、各一般送配電事業者において、〈略〉速やかに本取りまとめの内容に基づき、最終保障供給料金を見直すことが期待される