法人営業部に聞いた!グリーンビジネスの現在地(前編)
~コーポレートPPAサービスの「いま」~

 再生可能エネルギー由来の電気が持つ価値をお客さまに届ける「グリーンビジネス」。その最前線で、お客さまのニーズに応じた提案や新たなサービスの開発に取り組んでいるのが、東北電力法人営業部グリーンエネルギー事業室です。 今回は2回にわたり同室の取り組みをご紹介します。前編では、脱炭素化への関心の高まりを背景に注目を集める「コーポレートPPAサービス」に焦点を当て、お客さまニーズの変化や、新たな再生可能エネルギー電源の調達に向けた取り組みについて話を聞きました。

コーポレートPPAとは?

 コーポレートPPAとは、企業などのお客さまに対し、太陽光発電などの再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電力を長期間にわたって供給する仕組みです。

 再エネの導入によるCO₂排出量の削減に加え、長期契約によって電力調達コストの見通しを立てやすくなることから、脱炭素化と安定的な事業運営の両立を支える手段として注目されています。

 

 

 東北電力では、お客さまの電力使用状況や設備環境、脱炭素目標などを踏まえ、一社一社のニーズに応じたサービスを提案しています。主な形態には、お客さまの工場や事業所の敷地、建物の屋根などに発電設備を設置し、その場で発電した電力を利用する「オンサイト型」と、敷地外に設置した発電所から電力系統を通じて供給する「オフサイト型」があります。

 このうち、特にオフサイト型は、敷地内に十分なスペースがない場合や、建物の構造上、発電設備を設置できない場合でも導入できることから、近年ニーズが高まっています。

(オンサイト型の事例)■法人営業部コーポレートPPA事業室■仙台空港カーポート型太陽光発電所が稼働開始

(オフサイト型の事例)すかいらーくホールディングスへのオフサイト型コーポレートPPAサービス開始

 

 こうした需要を背景に、東北電力では2022年、現在のグリーンエネルギー事業室の前身となる「コーポレートPPA事業室」を法人営業部に設置し、事業を推進してきました。

 これまでに東日本旅客鉄道株式会社、株式会社大創産業、株式会社セブン-イレブン・ジャパン、株式会社ツルハなど、多くのお客さまとの契約実績を積み重ねています。

(参考記事)■法人営業部■コーポレートPPA事業室を設置~再エネバリューチェーン全体で稼ぐ!~

 

担当者に聞いてみました

 コーポレートPPAサービスを取り巻く環境変化や、再エネ電源の調達を巡る新たな取り組みについて、法人営業部グリーンエネルギー事業室(C-PPA推進)の三浦 裕貴 さんに話を聞きました。

 

法人営業部グリーンエネルギー事業室(C-PPA推進)三浦 裕貴 さん

 

──オフサイト型コーポレートPPAの第1号案件を契約してから2年半が経過しました。この間、お客さまのニーズなどに変化はありましたか。

 お客さまのニーズにも、お客さまの層にも変化が見られます。

 まず大きいのが、脱炭素への関心の高まりです。近年はRE100※1やSBTi※2への対応に加え、サプライチェーン全体での排出量削減が求められるようになり、脱炭素はCSR活動の一環ではなく、経営の重要課題として位置付けられるようになっています。

 もう一つは、電力調達の安定性を確保したいというニーズです。燃料価格の高騰や国際情勢の変化などを背景に、エネルギー価格の変動リスクを抑え、長期的な見通しを持った調達を行いたいと考える企業が増えています。

 また、こうした動きは大手企業だけでなく、中堅企業や地域企業にも広がりつつあります。

※1:Renewable Energy 100%…企業が事業で使用する電力を100%再エネで調達することを目指す国際的な枠組み

※2:Science Based Targets initiative…企業の温室効果ガス排出削減目標を、パリ協定の目標達成に整合する科学的根拠に基づいて設定する国際的な枠組み

──5月には太陽光発電に関する他社との共同開発を発表しました。その狙いを教えてください。

 コーポレートPPAサービスは、「再エネを買いたいお客さま」と「再エネを売りたいお客さま」の双方を結び付けるマッチングビジネスであり、当社は両者を仲介するプラットフォームとしての役割を担っています。

 そのため、本事業で得られる利益としては販売側の利益であり、長期契約による恩恵はあるものの、得られる利益規模には限界がありました。

 今回、共同開発によって電源開発に取り組むことで、発電側の利益を取り込むことが可能になり,バリューチェーン全体での利益確保が可能となります。

 また、共同開発によって開発リスクの低減だけでなく、再エネ電源開発のノウハウ習得や、調達リスクの低減や調達ポートフォリオの多様化にもつながると考えています。

──そういった電源を持つことで、コーポレートPPAの販売活動にも変化が生まれるのでしょうか。

 単なる調達先の多様化にとどまらない変化が生まれると考えています。

 これまでは「買い手を見つけてから売り手を探す」という、いわば受注生産のような形での販売が主でしたが、今後は当社が共同開発に参画した電源という、いわば「在庫」を持つことになります。したがって、契約に至るまでのスピード感も含め、一層積極的な販売活動を展開していく必要があります。

 

 

──共同開発で印象に残っていることはありますか。

 経済性や技術面に対する評価基準は両社で異なるため、双方が納得できる条件を模索しながら進める必要がありました。また、資材価格や金利の変動に加え、制度や法令も変化しており、不確実性の高い環境の中で関係者との調整を重ねることは容易ではありませんでした。

 一方で、今回の共同開発先である三菱HCキャピタルエナジー株式会社の皆さんの考え方から学ぶことも多くありました。特に資金調達やコスト管理など、事業性を多面的に捉える視点は非常に参考になりました。同社にも事業づくりへの意欲が高い若手社員が多く、当室のメンバーとも良い刺激を与え合いながらプロジェクトを進めることができました。

──技術系社員が多く在籍しているのがグリーンエネルギー事業室の特徴ですが、共同開発でもその強みは生かされたのでしょうか。

 大いに生かされました。例えばある候補地について、土地の権利関係や契約の諸条件、事業の採算性といった観点では有望だと思えても、土地の傾斜や排水処理など、技術的観点ではリスクとなる場合があり、慎重に検討することができました。逆に、技術面では問題なく見える案件であっても、権利関係や契約諸条件の整理に時間を要するようなケースもあったので、それぞれの専門分野から意見を出し合うことの重要性を再確認しました。

 グリーンエネルギー事業室は配電、変電、企画、用地などさまざまな部門からの出身者で構成されており、多様な専門性を持つ社員が活躍しています。部門を超えた協働ができるのはこの職場の大きな強みです。

 

打合せの様子

 

──今後の展望について教えてください。

 今回紹介した共同開発電源に加えて、自社および自社グループが開発する再エネ電源の販売活動に力を入れていきます。具体的には、「再エネを短期契約で買いたいお客さまのニーズ」に対応するため、内外無差別な卸売※の対象外となっている当社グループの小規模な再エネ電源を活用し、短期契約のコーポレートPPA契約を行うことを検討しています。

※旧一般電気事業者などに対し、グループ内の小売電気事業会社と新電力などの社外の小売電気事業会社を不当に区別せず、合理的かつ公平な条件で電気を卸売することを求めるルール。公正な競争環境と電源調達機会の確保を目的としている

 

 また、現在は発電所とお客さまを結ぶ契約の多くが「1対1」ですが、将来的には「複数の発電所」と「複数のお客さま」を結ぶ仕組みへ発展していくと考えています。

 東北電力グループでは、中小規模の再エネ電源の開発・保有体制を整備するとともに、より柔軟なPPAメニューの開発を進めていきます。

 

後編では、お客さまのニーズの解決を目指す、需要家設置蓄電池事業の現在をご紹介します。お楽しみに!

 

イイね!
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