
プレスリリース・キーポイント解説「⾃由化部門お客さまの電気料⾦の取り扱いについて」
当社は、非常に厳しい経営状況を踏まえ、高圧以上および低圧の一部が対象となっている⾃由化部門のお客さまの電気料⾦の取り扱いについて検討を進めてきましたが、11月より「高圧以上の電気料⾦単価⾒直し」および「低圧⾃由料⾦の燃料費調整制度における上限設定の廃止」を⾏うこととしました。
記事のポイント
今回の電気料金の見直しについては、お客さまに一層のご負担をお願いするという当社にとっては苦渋の決断となります。
様々な物価が高騰する中で、お客さまにとっての影響も大きく、今後厳しいお問い合わせを頂戴することも想定されます。今回のキーポイント解説にて、背景や見直しの内容などについて説明しますので、理解を深めていただくようお願いします。
ポイントは次の通りです。
・福島県沖地震による火力発電所の被災に加え、世界的な燃料価格急騰が当社の収支悪化に拍車をかける
・電力の供給コストが電気料金の収入を上回る、いわゆる「逆ザヤ」の状態
・2022年度通期の業績(予想)は、東日本大震災の影響を受けた2011年度の決算を上回るかつてない厳しいレベル
・自己資本比率の悪化、安定供給への影響懸念
・「高圧以上は電気料金単価の値上げ」「低圧自由料金は燃料費調整制度の上限設定の廃止」
・引き続き徹底した経営効率化と電力の安定供給に注力するとともに、電気の効率的なご利用方法をご提案していく
次の章からより詳しく説明していきます(文中の下線部は記事の最後に「深掘り」で詳しく解説します)。
料金見直しの背景:厳しい経営状況
これまで、電力全面自由化に伴う競争の激化や再生可能エネルギーの普及拡大による火力発電所の稼働減少など、ウクライナ危機以前から大きな事業構造の変化が起きていました。
そのような中、2021年2月および2022年3月の福島県沖を震源とする地震で一部の火力発電所が被災し、設備の復旧費用に加えて、代替の電力を調達するためのコストが増加したことなどから、2021年度決算において、東日本大震災の影響が残る2012年度以来となる1,000億円を超える純損失(▲1,083億円)を計上。連結自己資本比率も、前年度から3.7%低下し、14.8%となるなど厳しい財務状況にあります。

さらに、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を受け、世界的に全ての燃料種の価格が急騰し、低圧料金において6月分より燃調費調整制度の上限価格に達している状況が継続しています。また、現在も地震による一部火力発電所の停止が継続しており、代替の電力を調達する必要がある中で、卸電力取引市場の価格が高止まりし、電力調達コストなどの燃料費調整制度で調整できないコストが大幅に増加している状況にあります。
こうしたことから、現在も電力の供給コストが電気料金の収入を上回る、いわゆる「逆ザヤ」の状態が続いており、2022年度についても、前期の赤字幅を超える1,800億円の純損失を予想しています。
特に、自由化部門では、2020年度以降2年連続の赤字の収支(▲952億円)となっており、今後さらに厳しい状況になることが想定されます。

これまでも構造的なコスト改革などの徹底した経営効率化に取り組んでおり、現在もあらゆる業務のコストダウン等に努めていますが、自己資本は今年度中には東日本大震災時を下回る水準まで悪化する見込みであり、このままでは安定的な燃料調達や、電力設備の更新・修繕などへの投資を十分に行うことができず、電力の安定供給に影響を及ぼしかねない非常に厳しい状況にあると判断し、今回の見直しに至ったものです。
料金見直しの内容:2年連続赤字の自由化部門の料金を見直し
厳しい経営状況を踏まえ、今回2年連続赤字となっている自由化部門の料金を見直すこととしました。
具体的には、今年11月より、「高圧以上の電気料金単価の見直し」と「低圧自由料金の燃料費調整制度の上限設定の廃止」を行います。
【高圧以上の電気料金単価見直し】
基本料金および電力量料金の単価を見直し、2022年11月以降ご契約分から新たな単価の適用となります。

契約種別毎のモデルケースでは、これまでに比べて16~18%の値上げになるものと試算しています。
(なお、他の小売電気事業者さまから当社への切替えを希望されるお客さま、ならびに最終保障約款の適用を受けているお客さまについては、見直し後の標準メニューでの受付を開始します)
【低圧自由料金の燃料費調整制度における上限設定の廃止】
今年12月電気料金分より、燃料費調整制度の上限を外した形で燃料費調整額を電気料金に反映させていただきます。
燃料価格の高騰が継続した場合には、これまでよりもお客さまのご負担が大きくなります。

当社の今後の取り組み
自由化部門のお客さまには、燃料費の高騰のため、より一層のご負担をお願いすることになります。
当社は「身を削る取り組み」として、役員報酬のさらなる削減や、電力の安定供給に支障が生じない範囲で、オペレーション業務の外部化や、販売体制の再構築などの効率化を行い、オイルショック時以降最悪とも⾔える非常に厳しい経営環境を乗り切っていきます。また、2022年度の株主配当の見送りも行いますが、これは一方で、株主の方々にご負担をおかけすることとなります。
当社は、引き続き徹底した経営効率化に取り組み、電力の需給の厳しい時期においても、お客さまに広く安定的に電力をお届けするとともに、少しでもお客さまのご負担軽減につながるよう、電気の効率的なご利用方法などのご提案に取り組んでいきます。
(本件に関するプレスリリース資料はこちら)
参考:記事の内容をさらに深掘り
深掘り①「ウクライナ危機以前からの大きな事業構造の変化とは?」
■全面自由化に伴う小売市場の競争激化
:販売(小売)電力量が、775 億kWh(2013年)→673 億kWh(2021年) と、▲100 億kWh(▲13%)減少
■再エネの大量導入
:風力61 万kW/太陽光81 万kW(2013年度末)→風力173 万kW/太陽光:747 万kW(2021年度末)
■火力電源の稼働率低下
:75.6%(2013年度)→67.9%(2021年度)
■原子力再稼働の遅れ
:現在まで非稼働(2013年度改定時の料金原価には東通1、柏崎刈羽1(当社1/2受電)の再稼働を織り込み)
深掘り②「2021年、2022年地震の影響とは?」
■2021年の影響
:火力発電所5 機(仙台4、原町1・2、新地1・2)が停止。設備復旧費用は個別123 億円、連結130 億円
火力発電所が長期間停止し、市場価格高騰下での代替電源調達コストが増加。個別・連結49 億円
■2022年の影響
:火力発電所7 機(仙台4,新仙台3-1・3-2、原町1・2、新地1・2)が停止。設備復旧費用は個別194 億円、連結204 億円
火力発電所が長期間停止し(相馬共同火力・新地発電所は現在も停止)、市場価格高騰下での代替電源調達コストの増加。個別・連結215 億円
深掘り③「燃調費調整制度の上限価格に達している状況とは?」
■燃料費調整額として電気料金に反映できる平均燃料価格(燃料価格の3ヵ月平均)の上限は、基準燃料価格の1.5倍まで。
昨年から持続する、世界的なエネルギー価格の上昇により、平均燃料価格は、2022年6月分から同制度における上限額を超過。超過分は当社が負担しており、6月単月だけでも1.8億円に上る。
⾜下の燃料・為替市況を踏まえると、今後も燃料価格は高⽔準で推移することが⾒込まれ、燃料価格の上昇分を電気料⾦に反映できない場合、燃料調達コストに応じた電気料⾦収⼊を得ることができない。
深掘り④「燃料費調整制度では調整できないコストとは?」
■安定供給のための設備維持
:競争が進展する中でも、安定供給を支えるため、一定の設備維持が必要。こうした稼働率の低い発電設備維持のための費用が大きな負担となっている。
■災害による設備の早期復旧に向けた費用の増加
:2 度の地震により被害を受けた発電所等について、早期復旧に向けた費用が増加。
■市場からの電源調達の増加
:原子力の停止や地震の影響で停止した火力発電の代替電源調達の費用が増加。
■FIT再エネ購入電力量の増加
:FIT制度下では卸電力市場価格での引取義務があり、卸電力市場価格の高騰により買取費用が増加。
深掘り⑤「安定供給に影響を及ぼしかねないとは?」
■電力の供給コストが電気料金の収入を上回る「逆ザヤ」の状態にあり、収入金が不足。このため、安定供給を確保する取り組みに係る十分な投資や修繕、燃料・電力を購入するための資金の手当てなどが困難となり、電力の安定供給に影響を及ぼしかねない。
深掘り⑥「16~18%の値上げ率となったのは?」
■最大限の効率化を織り込みながら、収入と費用の「逆ザヤ」を解消する水準となるよう料金水準を設定した(なお、値上げ率の16~18%はモデルケースに当てはめた場合の数字であり、実際は電気の使用状況などによりお客さまごとに値上げ率は異なる)。