
知っとこ 託送料金制度改革 第4回 ~国の検証結果を反映した「収入の見通し」の承認申請~
東北電力ネットワーク(以下、東北電力NW)は12月8日、経済産業大臣に対し、経済産業省の審議会における検証結果を反映した「収入の見通し」の承認申請を行うとともに、同省に「事業計画」を提出しました。今後、国による審査を経た後に、経済産業大臣の承認を受けて決定されます。
「収入の見通し」を▲57億円補正して申請
「知っとこ 託送料金制度改革 第3回~『事業計画』『収入の見通し』を国に提出~」でもご紹介していたとおり、東北電力NWは、2023年4月から導入されるレベニューキャップ制度に向けて、2022年7月25日、送配電事業における2023年度から2027年度の5年間の取り組み内容等をとりまとめた「事業計画」、および当該期間の託送供給等に係る「収入の見通し」を経済産業省に提出しておりました。
その後、経済産業省の審議会(料金制度専門会合等)による検証が行われ、11月28日に検証結果が示されたことから、東北電力NWは、12月8日、経済産業省に対し、検証結果を反映した「収入の見通し」の承認申請を行うとともに、同省に「事業計画」を提出しました。
今回申請した「収入の見通し」は、7月25日の提出時4,846億円/年と比較して▲57億円/年の、4,789億円/年となりました。これは、現行の託送料金原価(4,638億円/年)と比較すると151億円/年増となっています。

検証結果を反映した「収入の見通し」の内訳について、7月25日に提出した見通しとの比較でみていきます。
◇(電力ネットワークの)次世代化費用の減:▲10億円/年(118億円/年⇒107億円/年)
【解説】
「2050年カーボンニュートラル」実現に向けた再エネの大量導入等の環境変化に適応した次世代型のネットワークへ転換を図るため、送配電網のバージョンアップを進めるための費用を「(電力ネットワークの)次世代化」に係る費用と分類しています。
国の検証では、当初、次世代投資費用として計上した一部の取り組み(具体的には、送電系統の増強、無電柱化、変電所浸水対策、アセットマネジメントシステム構築の一部)について、審査の過程で設備投資関連費用(CAPEX)に区分することが妥当と整理されました。
この指摘を踏まえ、引き続き電力ネットワークの次世代化に資するものと評価し「次世代化」に分類するものと、「既存コスト」に分類するものとに再仕分けを行い、「既存コスト」に仕分けた分が▲10億円/年となりました。
◇調整力費用の減:▲26億円/年(229億円/年⇒203億円/年)
【解説】
再生可能エネルギーの導入が進み、需給バランスを調整するための調整力の重要性が高まっています。また、足元では燃料価格の高騰による調整力調達コストが増加しております。2021年度に需給調整市場が開設され、2024年度からはすべての調整力を需給調整市場から調達しなければならなくなるため、調整力費用は大幅に増加する見込みです。こうした第1規制期間に見込まれるコストを「調整力増分費用」と分類しています。
国の検証では、調整力の調達単価算定に参照したスポット市場価格について補正が行われ、調整力の想定調達単価が減となったことなどから、▲41億円/年となった一方、2022年3月~9月までの最終保障供給に係る損益として15億円/年を追加算入したことにより、合計で▲26億円/年となりました。
◇既存コストの減:▲21億円/年(4,499億円/年⇒4,478億円/年)
【解説】
例えば設備の高経年化対策など、これまでの送配電事業における設備構築・維持・運用に係るコストを「既存コスト」と分類しています。
国の検証では、一般送配電事業者の効率性を横比較で評価した結果に基づく査定や、業界全体の創意工夫・技術革新を見込み、将来的な効率化を促す観点から一律の「効率化係数」を乗じることによる査定が行われ、▲21億円/年となりました。
当初(7月25日)提出していた「収入の見通し」に最大限の効率化を織り込んでいた中で、収入の見通しが57億円/年減となり、東北電力NWにとっては厳しい結果となりました。
このような中でも「安定供給の確保」や「カーボンニュートラル実現への貢献」を実現しつつ、安定的に事業を行っていくため、新技術・新たな知見の活用やカイゼン活動の深化等に取り組みながら、全社一丸となって、更なる効率化や収益拡大に努めていく必要があります。
今後のスケジュール
今後は、経済産業省の審査を経て「収入の見通し」が承認されます。また、その後、電気事業法の規定に基づき、託送供給等約款の認可申請・認可を経て、2023年4月から適用が開始となる予定です。

2022年7月20日 第52回 電力・ガス基本政策小委員会より作成
もうちょっと知りたい(Q&A)
Q.国の検証はどのように行われたの?
A.7月25日の「収入の見通し」提出以降、約5ヵ月間にわたり、経済産業省の審議会(料金制度専門会合)が15回開催され、各一般送配電事業者の収入の見通しに係る検証が行われました。
こうした審議会のほか、経済産業省の事務局との間で、収入の見通しに計上した費用の妥当性・適切性等に係る詳細なヒアリングも幾度となく行われるなど、一般送配電事業者に対する検証やヒアリングは、延べ13,000時間にもおよびました。
これらに対し、東北電力NWは、全社的な対応体制を構築のうえ、テーマに応じて担当部門が迅速かつ丁寧な対応を行いながら、審査にあたりました。
Q.検証結果を反映した収入見通しが現行の託送料金原価を上回っているということは、託送料金は値上げになるの?
A.国による承認はこれからとなりますが、審査結果を踏まえた収入の見通しが現行の託送料金原価を上回っているため、託送料金は値上げとなる方向です。東北電力NWとしては、引き続き徹底した効率化に努め、コスト抑制を図って行く必要があります。
Q.7月25日に事業計画も提出していたけど、事業計画は変わったの?
A.国の検証による収入の見通しの修正に加え、一部目標計画についても、取り組み内容の修正を図っています。具体的には、「安定供給(停電対応)」の施策に「再発防止に対する取り組み」や「停電発生時に対する備え」を明記したり、「安定供給(無電柱化)」の施策に工事実施時におけるコスト低減対策を明記しています。また、目標計画策定に向けたステークホルダーへの意見公募により頂戴したご意見と目標計画への反映状況に関する一覧の追加なども行っています。