■事業創出部門■泉パークタウン朝日で、家庭向けデマンドレスポンスサービスの実証を開始

 事業創出部門では、宮城県仙台市泉区の泉パークタウン朝日において、家庭向けデマンドレスポンスに係る新サービスの提供に向けた実証を行っています。
 スマート社会実現に向けて、挑戦を続ける事業創出部門(クリーンエネルギーサービスユニット)の担当者に、今回の実証のポイントや意義、今後の展望などについて伺いました。

2025年度のサービス化を目指し実証を開始

 当社は、今年9月から泉パークタウン朝日※1において、東北電力ソーラーeチャージ(以下、T-SeC)、パナソニックと連携し、家庭向けのデマンドレスポンス(以下、DR※2)サービスの実証を行っています。

 T-SeCが提供する「あおぞらチャージサービス」の加入者を対象として、ハウスメーカーなどを通じて参加世帯を募り、事業創出部門が対象家庭のエコキュートの沸き上げや蓄電池の充放電を遠隔制御することで、一般家庭へのDRの導入効果を検証します。

 各世帯での検証期間は1年間を予定しており、「あおぞらチャージサービス」の開始後、準備が整った世帯から順次検証を開始しています。対象は100戸程度を想定しており、当社として、このようにまとまった規模でDRの実証を行うことは初めての試みです。

 全体の実証期間は2025年3月までを予定しています。まち全体で実証を推進することで、エネルギーの自産自消と脱炭素化社会に向けた持続可能なサービスモデルの検討を深め、主に東北・新潟地域を対象に2025年度のサービス化を目指しています。

 

※1 泉パークタウン朝日(HP)

三菱地所が中心となって街づくりを進めている、約1万世帯が居住する郊外型住宅団地。

2019年5月に、国土交通省スマートシティモデル事業の「重点事業化促進プロジェクト」に選定され、泉パークタウンの新住区「朝日」を中心に、既存街区も含めた郊外型住宅団地の社会課題解決に向け、先進的技術の導入やタウンマネジメントの仕組み構築に向けた各種検討・実証実験を進めている。

 

※2 デマンドレスポンス

電力の需給調整のために需要(利用)側の消費電力を抑制すること。

 

泉パークタウン朝日

 

事業創出部門の芋田主任、佐々木さんに実証のポイントについて伺いました!

 今回のDRサービスの実証をはじめ、家庭向けエネルギーマネジメントの検討などを担当している、事業創出部門(クリーンエネルギーサービスユニット)の芋田主任、佐々木さんにお話を伺いました。

 

 

 

―――泉パークタウン朝日で実証を行うことになった経緯について教えてください。

(芋田主任)

 泉パークタウン朝日の開発事業者である三菱地所に声がけをいただいたことがきっかけです。当社とT-SeC、パナソニックは本実証にあたり、まちづくりの段階から参画するとともに、エネルギー分野での先進的なサービスの検討を進めてきました。

 泉パークタウン朝日では、エネルギーの自産自消と街の脱炭素化に向けて、各家庭に太陽光発電設備と蓄電池の設置およびHEMS※3端末「AiSEG2」の設置をタウンルールとしています。

 事業創出部門では、太陽光や蓄電池などの分散型エネルギーリソースを活用したVPP※4のサービスを検討していたことから、泉パークタウン朝日でDRのサービスモデル(電力需給がひっ迫した際などに家庭の電気使用量を調整し、参加者には報酬を還元)の実証を進めることとしました。T-SeCの「あおぞらチャージサービス」の導入も推奨いただき、加入者を対象に実証を行う枠組みを構築しました。

 

※3 HEMS(Home Energy Management System)

家庭で使うエネルギーを節約するための管理システム。電気設備や家電機器とつなぐことでエネルギー使用状況の見える化や家電機器の自動制御が可能となる。

パナソニックHP:AiSEG2で何ができるの?

 

※4 VPP(Virtual Power Plant)

自治体や企業、家庭が保有している発電設備や蓄電池、電気自動車など地域に分散しているエネルギーリソースを、IoTなどの新たな情報通信技術で相互につなぎ、遠隔制御を行うことで、従来の発電所と同様に電力の需要と供給のバランス調整に活用する仕組み。

 

―――今回の実証の目的や当社が実施する意義などについて教えてください。

(芋田主任)

 検討を開始した当初、DRサービスの対象は高圧・特高など大規模の需要家が中心でした。しかし、2021年度冬の需給ひっ迫や、ロシアのウクライナ侵攻による燃料価格の上昇などを背景に、徐々に一般のご家庭や店舗などのお客さまにも拡がっていきました。

 DRは、電力会社が指定する時間帯にお客さまの節電行動などにより電力の消費を調整する「行動変容型」と、蓄電池やエコキュートなどのエネルギー機器を遠隔からコントロールする「機器制御型」があります。

 機器制御型は、行動変容型に比べて対象者は限定されますが、お客さまの行動に依らないため、確実な応動が期待されます。今回の実証では、あおぞらチャージサービスを採用されたお客さまを対象に、蓄電池やエコキュートを遠隔制御し、一般家庭へのDRの導入効果を検証することを目的としています。 

 これらの取り組みをまち全体で行うことで、電力調達コストの削減や電力需給の安定化、再生可能エネルギーの有効活用に貢献することを目指しています。

 

今回の実証のイメージ

 

―――家庭の機器の遠隔制御は具体的にどのように行っていますか。実証ではどのような点を確認していきますか。

(佐々木さん)

 事業創出部門の社員が専用のシステムを使用し、各家庭のHEMS端末(AiSEG2)を介して機器(蓄電池・エコキュート)を制御(運転スケジュールの変更)します。このシステムは当社とパナソニックグループが共同開発したものです。

 制御を行う頻度は週2回程度です。例えば、前日までに電力市場価格を想定し、電力価格が高くなる(当社の調達コストが高くなる)時間帯には、市場からの調達が少なく済むように蓄電池からの放電で家庭の電力を賄い、太陽光発電による余剰が多く発生するなど電力価格が低くなる(当社の調達コストが低くなる)時間帯にはエコキュートの沸き上げを行うように機器の稼働スケジュールを変更します。季節・気象条件によっても適宜、電力調達価格を抑えるための制御をします。

 この実証結果を分析しDRの効果を検証することで、最終的にはサービス化につなげていく考えです。今回の実証では、参加いただいたお客さまには謝礼として商品券を進呈していますが、サービス化にあたっては、DRで得られた利益をお客さまへ還元する仕組みについても検討していく予定です。

 なお、実施の枠組みは異なりますが、本実証の他にリビング営業部や支店・営業所などと連携し、節電キャンペーンにあわせて、節電が必要な時間帯に蓄電池の放電を行うなどの実証も実施しています。

 

 

制御のイメージ

 

―――実証やサービス化にあたって課題やハードルなどはありますか。

(芋田主任)

 やはり、実証においてはモニターとして参加いただく家庭を集めることが重要です。以前よりは、DRという言葉を知っている方も増えてきましたが、仕組みまでは理解していないという方がほとんどです。そのような方に、いかに当社の取り組みや実証の意図を理解していただけるかが課題となります。朝日地区では、対象のお客さまにDRに関する説明チラシなどを配布し、理解浸透を図ってきました。これからも、お客さまに丁寧に分かりやすく説明することを心掛け、色々なツールを活用しながら参加世帯を募っていきたいと考えています。

 なお、実際にサービスとして収益化させるには、数千~一万程度のユーザーを集める必要があります。

 

 

―――現時点で想定しているサービスについて、お客さまのメリットや社会に与える影響についてどのように考えていますか。サービス化に向けた展望などをお聞かせください。

(佐々木さん)

 お客さまには家庭向けDRサービスに参加いただくことで、当社が削減した電力調達コストの一部を報酬として享受していただくことを志向しています。太陽光の自家消費を増やすことで、電気代の削減にもつながります。

 また、DRで効果的に需給調整を行うことで、需給ひっ迫の解消に寄与するとともに、発電単価が高い火力発電の焚き増し等を抑制したり、再エネの出力制御量を減少したりすることで、中長期的に、より効率的な電力システムの構築につながることが期待されています。

 

 

―――どのような想いで取り組んでいきますか。

(芋田主任)

 泉パークタウン朝日地区の地域の皆さまに寄り添い、DRサービスに参加いただいたお客さまに、「参加して良かった」と思っていただけるよう、日々検討していきたいと考えています。

 

(佐々木さん)

 朝日地区での実証を通じて、当社とお客さまとでWin-winの関係を築けるようなサービスが実現できればと考えています。また、新たなサービス開発にも今回の実証結果を生かしていけるよう、さらなる実証・結果の分析に取り組んでいきたいです。

 

 

イイね!
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