経済協力開発機構原子力機関(OECD-NEA)で活躍!出向者レポート

 東北電力原子力部(原子力企画)付でフランスにある経済協力開発機構原子力機関(OECD-NEA)に出向している加藤美紀さんより、出向先の業務やパリ郊外での子育てに関するレポートを頂戴しましたのでご紹介します。

経済協力開発機構原子力機関(OECD-NEA)とは

 経済協力開発機構原子力機関(以下、「NEA」)は経済協力開発機構(以下、「OECD」)傘下の国際機関で、安全なエネルギーとしての原子力の開発を進めるため、OECD加盟国政府間の協力を促進し、行政や規制に係る共通した問題の検討を行う組織です。元々は1958年に欧州経済協力機構(OEEC)のもとに欧州原子力機関(ENEA)として設立されましたが、1961年に組織名が経済協力開発機構(OECD)に変更され、更に1972年に日本が欧州以外の正規メンバーとしてOECDに加盟したことにより名前から「欧州」が取れ、現在の原子力機関(NEA)となりました。

 

 組織の使命として掲げているのは

「国際協力と科学・技術・法の基盤を提供すること」

「共通理解の醸成と政策検討の支援を行うこと」

の2つで、加盟国間での情報・経験を共有・分析するためのフォーラム機能を有するほか、加盟国における技術的専門知識や人的インフラの蓄積・維持支援などを行っています。

 

NEA本部外観

 

 NEAはパリ郊外のセーヌ川沿いにあるオフィスを拠点に活動しており、職員数は約130人(うち日本人は11名)で、専門のワーキンググループが約80組、国際共同プロジェクトを30件弱手がけています。

 

UAEでのリスクコミュニケーション研修

 NEAが実施している業務は多岐にわたりますが、そのうち特に日本や当社に関連するものとしては、12月に東京でフォーラムが予定されている「国特有の安全文化フォーラム(CSSCF)※」をはじめとする安全文化への取り組みや、原子力事故発生後の復旧マネジメントとステークホルダーエンゲージメントに力を入れた国際防災訓練、福島事故後の食の安全・輸入規制に対する取り組み、日本の大学からのインターン受け入れなどがあります。

※各国の国民性が原子力の安全文化、原子力施設の安全な運用にどのような影響を及ぼすかについて、 参加者によるロールプレイ(役割演技)とそれに基づく議論により考察することを目的とするフォーラム

 

NEAでの具体的な業務

 私はNEA内で分野横断的な業務を担っている「Human Aspects of Nuclear Safety(=原子力安全の人的側面)」という部署に所属しており、各種の事務局として加盟国や各国のOECD代表部、政府関係機関、専門家などと調整・連携する仕事がメインです。担当業務によって差はありますが約2ヵ月おきに海外出張があり、これまで、フィンランド、スイス、スロバキア、スペイン、UAE、韓国に行きました。でも、実は日本への出張が一番多いです。

 その他、日本関係の業務(OECD日本代表部との連携、VIP対応等)や予算、インターンなどの管理を行っています。

 

 

 業務においては昼夜問わず受信する膨大な量のメールと会議対応に忙殺されがちですが、それらをスムーズに進めるためには中長期的な視野や政治的なタイミングの見極めが大変重要で、加盟国各国のセンシティブな情報を察知して適切に対応することが求められる場面も多く、繊細な調整能力や交渉力を養うことができました。

 またNEAの職員のほとんどは数年の任期付契約で、1~2年で確実な結果を出すことを要求される弱肉強食の過酷な世界であり(油断していると仕事や手柄を横取りされることも…)、手厳しい直球のコメントにも動揺せず対応するタフさも身につきました。(できない仕事は潔く断る勇気も大事です)

NEAの職場環境 情報交換は朝のコーヒータイムで

 私の所属する部署には日本人の他、カナダ、フランス、アメリカ、ドイツ、アルゼンチン、中国、ロシア、フィリピン、ケニア、トルコ、ウクライナ人がいます。業務で使用する言語は大体が英語か日本語で、フランス語はほとんど使いません。(おかげで2年滞在してもフランス語はなかなか上達せず、最近は学習アプリを始めました)

 勤務時間は原則9時~18時で、週に2日はテレワークです。

 

 

 様々な国の職員がいるNEAでは情報交換は業務上とくに重要で、毎朝9時30分頃から「朝のコーヒータイム」として、その日に出社している同僚有志で一緒にコーヒーを飲みながら情報交換する時間が設けられています。

 また、日本の職場と大きく異なる点として、子供を連れて出社できることが挙げられます。学校が休みの時期はオフィスの子供率が高くなるため、会議等で席を外す時はお互いの子供の面倒を見たり、同じオフィスで宿題をさせたり、上司・同僚と一緒に食堂でランチを食べるなど、自然と家族ぐるみの交流ができます。

 

 

 夏のバカンスは3週間以上取るのが当たり前で、8月は大抵開店休業状態になってしまうのも日本の職場と大きく違うところです。(このように書くとのんびりしていると思われるかもしれませんが、業務では上司のみならず同僚からも頻繁にフィードバックを受ける環境にあり、逆に上司を評価する機会もあるため、職員はお互いに緊張感を持って業務を行っています)

パリ郊外での子育て

 私は子供3人(中学生の長女、小学生の長男、幼稚園児の次男)と暮らしています。

 3人の子供はそれぞれ別の種類の学校(長女はインターナショナルスクール、長男は日本人学校、次男は現地校)に通っているため、学校ごとの特徴や行事の違いを体感しています。また現地のママ友を通じて仕事以外のコミュニティーにも参加するようになり、視野を広げることができました。

 家事全般を手伝ってくれる上の子供2人、シッターさん(仙台出身の方で、旦那さんは石巻出身!)、ママ友、職場の同僚などに支えられ、感謝しながら子育てをしています。

 

海外から見る日本

 海外での業務を行う中で日本国内では得難い日本人ネットワークを築くことができ、また同時に日本という国を外から見ることもできました。(日本は他の国と比べて、残念ながら国際機関をあまり活用できていないと感じます)

 また、日本や日本人に対する海外からの認識を、身をもって知ることができました。よく言われることとしては、

  • 真面目だ
  • 失敗に厳しい
  • 根回し文化だ(ゆえにサプライズが苦手)
  • 組織が複雑で仕事しづらい(ゆえに日本関係の仕事は日本人にまわってきがち…)
  • メールの宛先やCCが関係者でいっぱい などです。笑

 一方で、日本出張の担当者を決める時になると軽く争奪戦が起きるくらい日本が好き(特に日本の食べ物が好き)な人が多いということもよく分かりました。

最後に

 私は異国での仕事と子育てを通して、周囲の人全員(当社、出向先、家族など)への感謝の気持ちを新たにしました。

 福島事故以降、原子力業界は世界から注目されています。日本は外圧に弱く、海外からの影響を受けやすい傾向が強いですが、こういった状況だからこそ、NEAが国際機関として、日本の原子力業界にできることが沢山あると思うので、今後様々な場面で連携できればと思っています。

 また、震災の被害を受けつつも、BWRとして初の再稼働を目指している女川原子力発電所については、以前マグウッド事務局長が女川視察をした経緯もあり、NEAとしても注目しています!

 悲願の再稼働に向け、大変な時期かと思いますが、どうかご安全に。

イイね!
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