3件の技術開発・研究内容について発表。活発な質疑応答も
本発表会は、東北支部管内における電気関係事業の技術水準の向上と技術開発の推進を図ることを目的に1988年より開始され、今回で35回目を迎えます。発表件数は累計299件に上り、歴史と実績のある発表会となっています。
開催にあたり、あいさつに立った青野日本電気協会東北支部事務局長は、「電気関係事業を取り巻く環境は、頻発・激甚化する自然災害対応をはじめ国際的なエネルギー価格の高騰、GXを通じた脱炭素社会・カーボンニュートラルの実現、少子高齢化・人材不足に関わるDXの推進や働き方の多様化など、大きく変化している」と述べたうえで、「特に電気技術者にとっては、担い手不足・高齢化など諸課題が顕在化し、これまで以上に安全・保安の確保が重要となってきている。そのため「スマート保安」の確立に向けて、IoTやビックデータ、AI、ドローン等の新たな技術を活用し、保安水準や、効率性・生産性,品質を持続的に向上させていく必要がある。そのような課題を解決していくためにも、本日の考案・研究発表会などの場において、新たな発想や最新技術などを共有していくことは大変重要で意義あるものであり、こうした研究・開発に携わった方々の発表が行われることで、次世代の人材育成にも大いに寄与するものと考えている」と、発表会の意義を説明しました。

その後、以下3件について発表が行われました。
高圧応急用電源車用「電圧・電流センサ」の高度化(東北電力ネットワーク)
高圧応急用電源車に切替する際、配電線との同期調整に必要なデータを取得するための電圧および電流を検知するセンサを無線化したもの。配電線に取り付けしていたセンサの制御ケーブルが不要となったほか、手動だったセンサ電源の入切を配電線からの電圧検出と連動するようにしたことで、作業性の向上に加え、センサの長寿命化が図られた。※令和5年度第68回澁澤賞を受賞(発表資料)
- 東北電力ネットワーク 野﨑 倫宏さん
油圧圧縮ヘッドによる挟まれ防止具の開発(ユアテック)
電線接続作業に用いる油圧工具の可動部に指が挟まれる事故を防止する器具を開発したもの。マニュアルでは可動部に指をかけないよう定めているが、3kgある工具は重心が可動部付近にあり無意識のうちに手や指をかける恐れがある。そこで工具に樹脂製のカバーを取り付け、万が一可動部を把持しても指が挟まれないようにした。(発表資料)
- ユアテック 田子 克也さん
コンテナ型キュービクル配電用変電所向け受変電設備の開発(東北電機製造)
配電用変電所で使用する配電盤部およびキュービクル部などを専用コンテナに収納することで建屋を不要としたもの。設備の収納や動作試験は予め工場内で行い、出荷時にコンテナを分割、現地で復元・設置する。工期の短縮や省スペース化などに寄与する。(発表資料)
- 東北電機製造 平塚 建さん
各内容の発表後は、取り組みの詳細などについて委員より質問が行われました。
講評など
発表後、松木委員長(東北大学名誉教授)より、「いずれも電気事業を取り巻く急速な社会情勢の変化の中で、利用価値を向上させる技術研究開発であり、タイムリーなテーマに取り組まれている開発姿勢に敬意を表したい。電気事業を巡る環境変化に即応し、電力設備の安全・安心な保全作業や増設工事にかかわる課題に直結する研究成果を大変わかりやすく説明していただいた。また、活発な質疑応答を通して研究成果の共有化が進み、有意義な発表会となったと感じている。これからも電気関係事業の技術開発に精進していただきたい」との講評がありました。

その後、各発表者に記念品が贈られました。
なお、当日発表された研究成果のうち、今年度澁澤賞を受賞した「高圧応急用電源車用『電圧・電流センサ』の高度化」を除く2件について審査が行われ、優秀な案件については、本年5月の日本電気協会東北支部大会で表彰される予定です。
(参考)日本電気協会は、1956年に「澁澤賞」を設け、電気保安に関わる発明・工夫などに功績のある方や団体を表彰しています。(記事リンク)。本発表会は澁澤賞への登竜門と言える場ともなっています。
