「よりそうnext+PLUS」解説&関係者インタビュー
~①全体像・事業展開編~

 4月30日に社外公表された今後の経営展開「よりそうnext+PLUS」。2030年代の「ありたい姿」の実現に向けた「進め方」が具体的に示されました。「全体像・事業展開編」と「財務基盤編」の2回シリーズで、これだけは押さえておくべき!というポイントや、私たちのミッションや日々の業務で意識すべきこと、その他気になる点を深掘り解説します。

「よりそうnext+PLUS」の策定経緯

 2020年の東北電力グループ中長期ビジョン「よりそうnext」の策定以降、「電力供給事業の構造改革」と「スマート社会実現事業の収益化」を重点課題としてビジネスモデルの転換に取り組んできました。

 この間、新型コロナウィルスの世界的な流行、2度の福島県沖地震、ウクライナ危機を端緒とした燃料価格の急激な高騰など、「よりそうnext」策定当時には想定し得なかった事業環境の変化に直面。経営は深刻な打撃を受け、毀損した財務基盤の早期回復が急務となっています。

 また「よりそうnext」では大まかな方向性の提示に留まっていた後年度の対応や、2025年度以降の財務目標など、「よりそうnext」実現に向けて追加で示す必要がある内容もありました。こうした背景から今回、これまでの事業環境変化や取り組みの成果と反省、今後の事業環境見通しなどを踏まえた「今後の経営展開」を、「よりそうnext+PLUS」として示したものです。

 

ありたい姿の実現に向けて~「よりそうnext+PLUS」3つの取り組み方針~

 経営理念である“地域社会との共栄”、グループスローガン「より、そう、ちから。」や、「よりそうnext」に掲げた「ありたい姿」※に変わりはなく、引き続き私たちの羅針盤として堅持します。

 そのうえで、「よりそうnext+PLUS」では「事業展開」「財務基盤」「経営基盤」の3つの取り組み方針を設定しました。この3つの取り組みをお互いに連動させながら事業を推進していきます。

 

※2030年代のありたい姿:東北発の新たな時代のスマート社会の実現に貢献し、社会の持続的発展とともに成長する企業グループ(「よりそうnext」から変更なし)

 

 

方針①「事業展開」
~電気事業の枠組みの変化に適応し、自律的に収益・成長を追求する~

 東北電力グループは「よりそうnext」策定以降、「電力供給事業」と「スマート社会実現事業」という2つの事業ドメインを定め、2024年度までを「ビジネスモデル転換期」と位置づけて「ありたい姿」の実現に向けた取り組みを推し進めてきました。

 その中で、電力供給事業は構造改革への取り組みを通じて、当社グループのコアであることが改めて認識されました。またスマート社会実現事業についても、事業創出にチャレンジするマインドがグループ全体に醸成されたほか、各事業部門においてもスマート社会の実現に向けた新たな取り組みが進みました。結果として、現在は電力供給事業とスマート社会実現事業の垣根がなくなりつつあり、コーポレートPPAを始めとした電気・エネルギー関連分野における新たなビジネスが具体化するなど、両者は融合しつつあります。

 

 こうしたことを踏まえ「よりそうnext+PLUS」では、従来の2大事業ドメインをより実態に即した形に見直し、電気・エネルギーを中心に据えた5つの領域、11の事業区分に再整理しました。

 

 

 

 この5つの領域と11の事業区分では、それぞれの事業が変革を続けながら、自律的に収益と成長を追求することとしています。「よりそうnext」で大きな柱だったスマート社会実現事業は主に「グリーンビジネス」「エネルギー・ソリューションサービス」の領域に具体化され、これからも成長へのチャレンジとして、「既存事業の深化」や「事業領域の拡大」などの取り組みを進めていくこととしています。

 また、「よりそうnext+PLUS」において成長への機会として捉えられているのがカーボンニュートラル(CN)やデジタルトランスフォーメーション(DX)です。イノベーションなどを通じた既存事業の強化・拡張や新たな事業領域の拡大などと合わせ、グループ全体で成長へチャレンジしていくこととしています。

 

方針②「経営基盤」~持続的な事業展開を支えるために~

 持続的に事業を展開していくための土台として、サステナビリティ経営を推進し、「よりそうnext+PLUS」ではESG(環境・社会・ガバナンス)を中心としたマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の解決に中⻑期的な視点で継続的に取り組んでいきます。 この中でも特に注力していくものとして挙げられているのが、電気事業の果たす役割が大きいCNへの⻑期的かつ戦略的な対応である「CN戦略」、DXを活⽤したイノベーションや業務変⾰を目指す「DX戦略」、そしてグループの成⻑の源泉である人的資本を強化する「人財戦略」です。

 

 

 BRIDGEではこれらの取り組みについて、引き続きお伝えしていく予定としています。ぜひチェックしてください!

 

気になるところを直撃!関係者インタビュー

 「よりそうnext+PLUS」、まだまだ気になるポイントがたくさん・・・。そこで、策定に携わったグループ戦略部門(戦略企画ユニット)の佐藤主査に、「素朴な疑問」にお答えいただきました。

 

 

──2020年策定の「よりそうnext」との位置関係は。「+PLUS」に込められた思いは。

 今回策定した「よりそうnext+PLUS」の「+PLUS」というタイトルには、中長期ビジョン「よりそうnext」におけるこれまでの取り組みをさらに加速し、前に進めていくという思いが込められています。経営理念である「地域社会との共栄」や「よりそうnext」で掲げた「ありたい姿」は引き続き私達の目指すべき方向を示す、いわば羅針盤です。今回の「よりそうnext+PLUS」は、その実現に向けた後半期の具体的な「事業展開」や「新たな財務目標」を示すものです。

 2024年度のモットー「さらなる成長へ 変える・創る・挑む」と合わせて、「ありたい姿」の実現に向けて前向きに取り組んでいただけたらと考えています。

 

──改めて、“ありたい姿”にある「スマート社会」とはどのような社会なのでしょうか。

 東北電力グループが目指す「スマート社会」とは、「地域の皆さまが快適・安全・安心な暮らしを実感できる社会」です。

 東北・新潟地域は社会課題の先進地であり、人口減少や少子高齢化などの地域経済への負の影響、自然災害の激甚化、脱炭素化やデジタル化といった社会構造の変化に直面しています。その中で東北・新潟地域が持続的に発展していくためには、上記の「スマート社会」を実現していくことが大切です。

 「地域社会との共栄」を経営理念に掲げる当社グループの大事な使命は、電気・エネルギーを中心とした事業展開を通じて、スマート社会の実現に貢献していくことであり、それを「ありたい姿」と定義しています。

 

──「事業の創出」が無くなったように見えますが、今後は電気事業に回帰するということでしょうか。

 従来の電気事業に戻るというわけではなく、変容する電気事業を幅広く捉え直し、事業変革を続けながら「電気・エネルギーを中心に据えた事業を展開していく」ということになります。

 これまでのスマート社会実現事業は「グリーンビジネス」や「エネルギー・ソリューションサービス」などの領域に新しく整理されます。また、これまでの取り組みで醸成された「事業創出にチャレンジする」というマインドを生かしながら、既存事業の強化・拡張や新たな事業領域の拡大など、グループ全体で成長にチャレンジしていきます。

 

──「よりそうnext」において、2024年度は「ビジネスモデル転換期」の最終年度とされていました。ビジネスモデルは転換したのでしょうか?

 ビジョン策定以降、電力供給事業からスマート社会実現事業へのビジネスモデルの転換を目指してきました。しかしその後、新型コロナウィルス感染拡大やウクライナ危機、自然災害など、事業環境は大きく変化しました。想定通りにビジネスモデルが転換したとは言えない部分もあると思いますが、それでも電力供給事業の構造改革や、スマート社会実現事業の収益化に向けた取り組みなど、一定の進展はあったと考えています。

 また「よりそうnext」にあった「成長加速期」という言葉についてですが、2024年度から2030年度までの進め方を「よりそうnext+PLUS」に示したことから、今後は使用しません。

 なお、私たちの取り組む各事業はこれからも絶えず変容していくと思われることから、今後も適宜バージョンアップして環境の変化に適応させていく必要があると考えています。

 

 

──地域との関わり方、地域課題の解決のアプローチに変化はあるのでしょうか。

 当社グループは「地域社会との共栄」を経営理念に掲げ、スマート社会の実現に貢献することで、地域とともに成長を目指すこととしています。これは「よりそうnext+PLUS」においても変わるものではありません。したがって、基本的に地域との関わり方はこれまでと変わるものではなく、日々のお客さまや地域の方への対応の中で、地域の困りごとなどを真摯に受け止めることが重要です。

 そのうえで、地域・お客さまとともに成長していくためにも、地域課題についてはビジネスベースで解決策を見出すことが基本となります。一方、ビジネスベースでの解決が難しい事案については、当社の円滑な事業活動やプレゼンス向上などの観点から、個別に対応方針を検討していくことになります。

 地域のリーディングカンパニー・地域の一員として、お客さま・地域社会のために何ができるかを考え、地域社会のためにより良いものをつくりたい、提供したいという想いを持ち続けながら、丁寧に対応していくことが重要ではないかと考えています。

 

──事業ドメインの見直しにより、組織の形や経営資源の配分は変わっていくということでしょうか。

 今回の「よりそうnext+PLUS」はあくまでもこれまで取り組んできた事業などを具体化するものであり、事業形態の見直しや大きな組織整備を予定しているものではありません。現行の組織体制・これまでの事業への取り組みをベースとしながら、各事業が自律的に収益と成長を追求していくこととしています。

 また経営資源の配分においては、各事業をそれぞれ期待する役割に応じて「利益コア分野」と「利益創出拡大分野」とに分け、経営資源を配分していく考え方としています。特に利益コア分野においては、電力の安定供給を継続していくため、徹底した効率化や競争力の維持に取り組むことが重要と考えています。

 

──電気事業における競争力強化とは、具体的にはどのようなことを指しているのでしょうか。

 コスト削減や業務効率化、付加価値向上につながる取り組みを各事業において引き続き進めていただきたいと考えています。具体的な例としては、火力発電事業であれば経年火力の休廃止やリプレース、電力小売事業であれば自社電源だけではなく、外部からの安価な電気の調達、送配電事業であれば設備形成の効率化や運用の高度化などです。さらに、デジタル技術を最大限活用して、業務運営の効率化や高度化に取り組むことも重要だと考えています。

 「よりそうnext+PLUS」により、これまでと全く異なる対応を新たに始めるというよりは、各カンパニー・本部の中期計画において掲げた取り組みを着実に実施いただきたいと考えています。

 

 

──東北電力フロンティアはスマート社会実現事業の中核的な役割を担う会社を目指して設立されました。今後の役割はどのようなものでしょうか。

 東北電力フロンティアは販売カンパニーのもと電気とサービスを一体的に推進する主体、というのが今回の事業ドメインの見直しを踏まえた新たな位置づけとなります。今後はエネルギー・ソリューションサービス領域における電力小売・ソリューションサービスの2つの事業を販売カンパニーと連携しながら取り組んでいくこととなります。

 エネルギー・ソリューションサービス領域では需要拡大の可能性も見据えて電化推進や域外での販売拡大を志向し、ソリューションサービス事業では社会・お客さまニーズを的確に捉えながら積極的に拡大していく方向性としており、販売カンパニーとの具体的な役割分担は今後詳細を検討していくこととなります。

 

──今後の業務にあたって、私たちはどのような点に留意したら良いでしょうか。

 今回の「よりそうnext+PLUS」では事業ドメインを見直していますが、これは現在取り組んでいる事業を改めて括り直したものであり、「よりそうnext」で示したありたい姿を引き続き掲げて、電気・エネルギーを中心とした事業・サービスを展開していくことから、基本的に現在取り組んでいる業務は継続していくことになります。

 そのうえで、業務にあたっては、現在大きく変化している事業環境や電気事業の枠組みに柔軟に適応していくことが重要だと考えています。所属する事業・部門の役割に応じて、既存のやり方や枠組みにとらわれることなく、業務の効率化やコストダウン、収益拡大、安定供給の確保などに、前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 

 

 佐藤主査、ありがとうございました。

 

 インタビューをまとめたポイントは以下の3つ。

  • 「よりそうnext」で示す経営理念、ありたい姿を引き続き堅持
  • 事業ドメインは「電力供給事業」と「スマート社会実現事業」から「電気・エネルギー」を中心とした5つの領域・11の事業区分に見直された
  • 一人ひとりが「変える・創る・挑む」をモットーに成長を目指す必要がある

 

 次回は財務基盤編。

 現在の状況、新たな目標、求められるマインド…素朴な疑問から未来像まで、気になるところを関係者にインタビューしています。ぜひお読みください!

イイね!
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