
Biz Syncで加速する「課題解決型営業」
昨年8月に登場した「東北電力Biz Sync(以下、「Biz Sync」)」。お客さまのニーズに合わせたソリューションを提案し、ソリューションサービス提供企業を仲介することにより、法人のお客さまが抱える様々な分野の課題解決をサポートするサービスです。
Biz Syncが果たしている役割と、サービス提供開始から1年が経った現在の状況について担当者に伺いました。
販売カンパニー法人営業部(ソリューション1)齋藤 渚 さん

──Biz Syncを導入した経緯について改めて教えてください。
法人営業部はこれまでもグループ企業の力も借りながら、様々なソリューションをお客さまに提案してきましたが、どうしても対応できる課題に限りがありました。そこで、これまで以上にお客さまのニーズに幅広く応えるための新たなツールとして、Biz Syncを導入しました。
このツールは、リンカーズ株式会社が提供するビジネスマッチングシステム「Linkers for BANK / Linkers for Business」(以下「LFB」という)を活用したもので、様々な課題を解決につなげる商材が数多く登録されています。当社ではお客さまの悩みやお困りごとに合わせてこれらの商材を紹介し、成約した場合は手数料が得られる仕組みになっています。

Biz Syncを通じた商材提案により手数料が得られるまでの流れ
──Biz Syncは普段どのように使っていますか。
お客さま専任担当であるエネルギー・ソリューション・パートナー(以下「ESP」という)が、事前の情報収集やこれまでの面談等を通じてニーズや課題を想定し、合致する商材をお客さまに紹介しています。紹介した商材でお客さまからの商談希望等のニーズが確認できれば、Biz Syncを通してソリューション企業に商談を依頼し、ソリューション企業と一体となってお客さまの課題解決をご支援します。
紹介した商材の興味関心が薄い場合は、その商材をキックとして更なる情報収集を行い、新たな視点も踏まえて再度他商材の紹介を行います。
こういった活動を通じて、お客さまのパートナーになることを目指します。

法人営業部(営業2グループ)阿部駿さん
──Biz Syncを使用するメリットを教えてください。
数多くの商材が登録されているので、これまで当社やグループ企業では提案できなかったソリューションを見つけることができます。また、新たなソリューションを提案するという経験を通じて、ESPの課題解決型営業マインド醸成が期待できると考えています。
──Biz Syncによる成約件数は、サービス開始からすでに50件を超えているそうですが、成約に至っている案件にはどのようなものがあるのでしょうか。
Biz Syncを活用した営業は、ESPによる対面営業のほかに、当社のDR(デマンド・レスポンス)サービスへ申込いただいたお客さまを対象にしたインサイドセールス(非対面営業)があり、成約に至った件数としては半々ぐらいです。
ESPによる対面営業では幅広い商材を紹介していますが、今のところ成約件数が多いのは社内設置型食品の提供サービスや空調の省エネアイテムですね。
インサイドセールスでは、トークスクリプト※による対応のため紹介できる商材が限られることもあり、成約の多くがエアコンクリーニングに関する商材等の省エネ商材となっています。
Biz Syncを活用した提案活動は今年度から成約件数の目標を設定したこともあって、ESPによる成約件数が増えています。お客さまの次年度予算の計画が行われる下期は採用のチャンスなので、更なる成約件数の増加が期待できそうです。
※お客さまとの標準的な会話の流れやご案内する内容を事前にまとめた台本のこと。対応の品質が安定する
──Biz Syncによって営業活動に起きた変化があったら教えてください。
各支店にはコーディネーターというBiz Sync展開のリーダー的な役割を担う社員がいて、本店とのパイプ役として主体的に関わっています。またBiz Syncに商材を登録している企業が自社の商材を法人営業関係者(特にESP)に紹介する勉強会もたびたび行われていて、Biz Syncをどんどん活用しようという機運が高まっていることを感じます。
商材の紹介を受けたお客さまからは「東北電力ってそんなことまで提案してくれるんだ」という声をいただきます。今後は当社の課題解決型営業の認知度をもっと上げていきたいですね。

Biz Syncのロゴをあしらった社員用カードホルダー(試作品)
──商材登録企業がわざわざ勉強会を開いてくださるんですね。東北電力への期待が伺えます。
Biz Syncの元になっているプラットフォーム「LFB」を活用して提案営業を行っている企業は多くありますが、割合としては金融機関が多く、プラットフォームの使い道も自社の顧客同士をマッチングさせる用途が多いようです。その点でいうと当社は登録されている商材を広く紹介していること、またお客さまとの長年の信頼関係によるポテンシャルがあることからも、高い期待をいただいているように思います。
Biz Syncへの期待 ~グループ企業の視点から~
全国各地の企業によるソリューションが登録されているBiz Syncのデータベース。法人営業部での活用を受けて、東北電力グループ内でもソリューションを登録する動きがあります。
商材を登録している(株)東日本テクノサーベイに登録の経緯やBiz Syncへの期待についてお話を伺いました。

株式会社東日本テクノサーベイ
取締役業務部長 佐藤 俊洋 さん
取締役測量計測部長 丹野 敏郎 さん
測量計測部副長 今野 雄介 さん
測量計測部 小板橋 直暉 さん
- 佐藤部長
- 丹野部長
- 今野副長(二等無人航空機操縦士)
- 小板橋さん(一等無人航空機操縦士)
──今回登録する商材と、その強みはなんですか。
専用のドローンを使用した点検サービスです。
人が立ち入ることができないような場所や天井裏のような狭い空間、あるいは足場を組まないと点検ができないような高所など、これまで長い時間や多額のコストをかけて点検してきた箇所に対してドローンを使用することで、安全かつ短時間のうちに点検を行うことができます。(佐藤部長)
当社独自の強みとしては、ワンストップでの充実した点検体制が挙げられます。点検作業へのドローン活用ニーズは高まっていて、様々なサービス提供がなされていますが、単なる画像や動画の提供、あるいは「ここが壊れていました」程度の軽易な報告に留まることが少なくありません。当社は元々コンクリートや鋼製の土木構造物の点検を行ってきた専門性を生かして、画像や動画の提供だけでなく、更にその巡視結果から壊れた原因を推定し、その対処方法のご提案や、構造物の余寿命診断や健全性の確認までできるのが強みです。
また東北電力グループであることを生かしたセールスポイントとして、東北電力の水力発電所の取水路※1や余水路※2、あるいは火力発電所の煙突内部や復水器※3といった実際の現場において当該ドローンの運用実績があるということも挙げられます。(丹野部長)
※1:水力発電に使用する水を川から取り込むための水路
※2:発電を行う上で余った水を川に戻すための水路
※3:タービンを回した後の蒸気を冷やして元の水に戻すための設備
──先日のサイドジョブチャレンジ制度を題材にした記事でも紹介していますが、ELIOS3は球状をしていて一般のドローンとは若干姿が異なりますね。
当社が使用している「ELIOS3(エリオス3)」は屋内点検に特化した性能を持つドローンです。
例えばホバリング中のドローンが自機位置を保つのに通常はGPSを使用しますが、屋内や地下など電波の悪い場所での使用を前提とするELIOS3はカメラで撮影した周囲の風景やレーダーによって取得した周辺の地形を3次元にてデータ化し認識することで対応しています。また自動車のヘッドライトに匹敵する明るさを持つ照明や、万が一構造物と接触しても機体に影響が出ないように球体状のガードを備えているのも特徴です。(今野さん)
- ホバリング中のELIOS3
- レーダーにより周辺の構造物を把握している状況。点群としての3次元データの取得もでき、内部状況の把握にも役立つ
──ドローンを使用した点検で難しさを感じる部分はありますか。
現状の性能では1回あたり6~7分程度しか飛行できないので、点検は行いつつも、バッテリーが切れる前に確実に出発地点へ戻ってくる必要があるため、バッテリー残量の予測がかなりシビアになります。特に実際の現場だと突風が吹き抜けたり跳ねた水をかぶったりと予期しない障害が発生しがちで、そうなると飛行姿勢を維持するために余計に電力が使われることになりますので、そういった事態も含めて余裕を持った残量予測を行う必要があります。かなり高額なドローンということもあり、現場での操縦には大きなプレッシャーがかかります(笑)(小板橋さん)
──この商材のグループ外での営業活動の難しさはどのようなところでしょうか。
大型設備や構造物を管理する事業者さまをメインのターゲットとして営業を行っていますが、大手の事業者さまは自社での十分な点検手法が確立されていることが多く、当社が新規に参入できる余地はほとんどありません。かといって地元の中~小規模の事業者さまの場合ですと大手と比較すると事後保全の傾向があり点検を外部委託する予算がないことが多く、こちらもなかなか受注に至らないのが実情です。(丹野部長)
──Biz Sync登録に至った経緯や、Biz Syncへの期待について教えてください。
これまで営業活動として、当社のホームページをリニューアルし新たにドローン事業を掲載して当社の最新情報を幅広く発信したり、当社保有技術の導入が見込まれるお客さまに対しダイレクトメールを送付するなど各種対応を進めてきましたが、先述の通りなかなか販売につながっていないところがありました。そのような中、東北電力のグループ戦略部門からBiz Syncのお誘いをいただき、商材を登録する運びとなりました。
Biz Syncに登録することで東北電力がコンタクトする多くのお客さまに対して販売のチャンスが生まれると考えており、自分たちの発想を超える様々な業種や事業者さまから引き合いをいただけるのではないかと期待しています。(佐藤部長)
現在社内のドローンチームは3名体制と少人数ですが、今後は計画的に増員を図りながら、東北・新潟エリアに加えて関東等エリアにも積極的に対応していく所存です。(丹野部長)
記者の視点から
今回ご紹介したBiz Sync、初回の成約商材は意外にもエネルギー関係ではなく「経理システム」だったそうです。
あるお客さまに電気料金に係るインボイス対応の説明に伺ったところ「電気料金の請求書はこれまで通り紙で欲しい」との申出があり、事情を聞いたところインボイス対応や電子帳簿保存法への対応に苦慮されていたそう。そこでBiz Syncから条件に合致した3社を紹介し、そのうちの1社と成約に至ったとのことでした。
電気・エネルギーに関する何気ないやり取りからお客さまのお困りごとに気づき、課題解決をサポートする。Biz Syncの導入によって生まれた新しい「より、そう、ちから。」だと感じました。
東北電力グループの中長期ビジョン実現に向けた今後の経営展開「よりそうnext+PLUS」において、電力小売事業は「エネルギー・ソリューションサービス」の一部として、ソリューションサービスとの組み合わせにより価値提供を行っていくことが示されました。
「東北電力グループだから提供できる価値」その真価が問われています。
