■日本電気協会東北支部■令和6年度東北電気関係事業考案・研究発表会を開催

 日本電気協会東北支部は2月5日、令和6年度東北電気関係事業考案・研究発表会を開催しました。

3件の技術開発・研究内容について発表。活発な質疑応答も

 本発表会は、東北支部管内における電気関係事業の技術水準の向上と技術開発の推進を図ることを目的に1988年より開始され、今回で36回目を迎えます。発表件数は累計302件に上り、歴史と実績のある発表会となっています。

 

 開催にあたり、あいさつに立った青野日本電気協会東北支部事務局長は、「自然災害の頻発・激甚化、GX 、カーボンニュートラル、少子高齢化、人材不足など電気関係事業を取り巻く環境は大きく変化している。特に電気技術者は担い手不足や高齢化などが顕在化し、安全・保安の確保がこれまで以上に重要。IT ツールはもとより、IoT、AI といった新たな技術も活用し、保安水準、生産性、品質を持続的に向上させていく必要がある。本日の考案・研究発表会のように新たな発想や最新技術などを共有していくことは大変重要で、意義のあるもの。また発表を通じて次世代の人材育成にも大いに寄与するものと考えている」と、発表会の意義を説明しました。

 

 

 

 その後、以下3件について発表が行われました。

 

 工事・工程情報管理システムの開発(東北電力ネットワーク)

 東北電力ネットワークでは電力供給や設備更新など配電設備のあらゆる工事について配電工事設計書を作成して工事発注を行っている。その配電設備工事の工程管理について、これまで紙ベースだった書類運行を電子化し、設計から竣工までのプロセスを迅速化するとともに業務の省力化を図ったもの。年間でペーパーレス効果約2,000万枚と業務時間削減約96,000時間を実現。電子化された設計書情報はパソコンの他、スマートフォン用のアプリを通じての閲覧も可能とし、屋外業務における利便性にも配慮した。(発表資料)

※令和6年度第69回澁澤賞を受賞

 碍子洗浄機の開発(ユアテック)

 電線を支持する絶縁器具である碍子は点検基準にのっとり撤去後のものを再利用しているが、再利用可否を判定するためには碍子に付着した水垢やコケ、油脂を洗い落とす必要がある。これまでは手洗いしていたが洗い残しや作業負担があったため、超音波洗浄を行う専用の洗浄機を開発したもの。一度に多くの碍子を洗えるようになったほかタイマー機能により無人運転も可能なため、洗浄作業の効率化、省力化が図られた。(発表資料)

 変成器付計器結線チェッカー(三相4線式用)の開発(東北計器工業)

 太陽光・風力発電所の増加などを背景に電力取引のための計量器に関わる工事が増加している中、特に超高圧箇所に設置される三相4線式計器を含めた特高計量装置は設置数の少なさにより工事機会が限られていることに加え、製造メーカー間による結線方法の違いもあり、誤結線等のおそれがある。これを踏まえ取り扱いが容易なチェッカーを開発したもの。所定のターミナルにプラグを挿すのみで結線の正誤判定以外にも電圧・電流を始めとする多くの項目の表示・記録ができ、現場の記録負担軽減にもつながった。(発表資料)

 各内容の発表後は、取り組みの詳細などについて委員より質問が行われました。

 

講評など

 発表後、松木委員長(東北大学名誉教授)より、「いずれも電気事業を取り巻く急速な社会情勢の変化の中で、利用価値を向上させる技術研究開発であり、タイムリーなテーマに取り組まれている開発姿勢に敬意を表したい。電気事業を巡る環境変化に即応し、電力設備の安全・安心な保全作業や増設工事にかかわる課題解決に直結する有益な研究成果を大変わかりやすく説明していただいた。また、活発な質疑応答を通して研究成果の共有化が進み、有意義な発表会となったと感じている。これからも電気関係事業の技術開発に精進していただきたい」との講評がありました。

 

 

 その後、各発表者に記念品が贈られました。

 なお、当日発表された研究成果のうち、今年度澁澤賞を受賞した「工事・工程情報管理システムの開発」を除く2件について審査が行われ、優秀な案件については、本年5月の日本電気協会東北支部大会で表彰される予定です。

 

(参考)日本電気協会は、1956年に「澁澤賞」を設け、電気保安に関わる発明・工夫などに功績のある方や団体を表彰しています。本発表会は澁澤賞への登竜門と言える場ともなっています。

イイね!
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