東北電力フロンティアのいま ~次なるビジネスを切り拓く~

 電気と幅広なサービスの提供を目的に2021年4月に設立された東北電力フロンティア。生活関連サービスの1つとして始めたキャンプ関連事業は様々なニーズを捉え、恋活(独身男女のマッチング)事業へ広がりを見せています。開拓を続ける東北電力フロンティアの「いま」を追いました。

電気と生活関連サービスを次々と展開

 電気と幅広なサービス提供を目的に2021年4月に設立された東北電力フロンティア。現在は電力小売事業の販売拡大に向けて、販売カンパニーと連携した電気プランの提供の他に、インターネット光回線サービスやビーコン端末を利用した小学生見守りサービスなどの生活関連サービスを展開しています。

(参考)

東北電力フロンティア「登下校子ども見守り事業」の社会実証を開始!|東北電力社内報 デジタルBRIDGE (tohoku-epco.co.jp)

■東北電力フロンティア■高速光インターネットサービス「東北電力フロンティア光」提供開始!|東北電力社内報 デジタルBRIDGE (tohoku-epco.co.jp)

 

 その生活関連サービスの1つとして2022年4月に開始したのがキャンプ関連事業。当時のキャンプブームをキャッチしたもので、当初は用品のレンタルや販売などのサービスからスタートしましたが、事業を拡大する中で、出前授業やプロモーションイベントといった地域活性化策につながる事業を手掛けるようになっていきました。主催していたキャンプイベントは更なる集客を狙ううちに「女性限定」や「夏祭り」といったキャンプ以外の要素と組み合わせることが多くなり、そこで得られたノウハウを生かして他企業のアウトドア関連のイベント開催やコンサルティングといった受託事業も行っています。

(参考)

東北電力フロンティアの“挑戦”のいま(上) ~CAMP FRONTIER~|東北電力社内報 デジタルBRIDGE (tohoku-epco.co.jp)

 東北電力フロンティアは多くのイベントを開催するなかで、集客策の1つとして「リアルイベントならではの付加価値」を追求するようになり、独身男女のマッチングイベントである「恋活」事業へも進出します。急速に拡大する婚活市場や地方における出会いの少なさを追い風に、近年はキャンプ場だけでなく、東北・新潟各地の水族館や商業施設でも恋活イベントを開催し、1イベントで1,000人(男女各500人)を集客する成長を遂げています。

 東北電力フロンティアはエネルギーに関連したサービスを事業の軸としながらも、生活関連サービスにおいてはこれまで経験のない事業へ積極的に進出してきました。東北電力グループを取り巻く経営環境が目まぐるしく変化する中、新規事業としてキャンプ事業をスタートさせ、現在は新たな軸として恋活イベントを主催するようになった同社。これまでのお話を伺うべく、BRIDGE取材班は泉区寺岡にある同社の拠点「キャンプフロンティア」にお邪魔しました。

 

キャンプフロンティア外観。この日は前日のイベントで濡れたテントを芝生で干していた

 

「スタートアップの良さと大企業の良さを『いいとこどり』」これまでの成長を振り返る

 東北電力フロンティアが展開しているキャンプ・恋活事業について、マーケティング本部サービス開発部の熊坂 玲衣さんにお話を伺いました。

 

熊坂 玲衣 さん

 

──多くのイベントを主催してきて、どのようなことが得られましたか。

 イベントの運営は予算の制約もあり極力委託せずにやってきたのですが、そのおかげでコストに関する感覚はかなり磨かれたと思います。イベントをやっていると大小様々な企業が接触してきますが、提示された見積内容から相手方の大まかな業務レベルや本気度が伺えるまでになりました。

 また、経験もスキルもバラバラなアルバイトの方達にうまく指示が通じず、お客さまから苦情をいただいた経験から、「きちんと運営する」ことの難しさも学びました。現在はイベント慣れしている業者さんや団体さんを通じて人手を集めることでスタッフのクオリティを確保すると当時に、お客さまと直接触れあう受付ブースなどは東北電力フロンティアの社員で回すようにして、お客さまの体験価値が損なわれるリスクを抑えています。

これまでのイベント経験を物語るように積み上げられた備品の数々

──SNSやホームページといったプロモーション活動も多くが直営だとお聞きしました。

 はい、キャンプ事業に関するアカウントは自前です。

 今でこそ3,000人のフォロワーがいますが、最初の頃は事業報告だけで単なるブログのような、正直言って面白くないアカウントでした。このままではいけないと思って、多くの人に見てもらうためにどうすればいいかメンバーで色々相談して、「宮城県内のローカルなキャンプ情報を発信するアカウント」というニッチなアカウントに育てる方向に舵を切りました。これが功を奏して「耳寄りな情報が流れてきそうだから、とりあえずフォローしておこう」というキャンプユーザーを多く呼び寄せることができ、そこから会社が主催するイベントへの流入につなげています。

 「社会への価値提供をすれば、利益は後から付いてくる」ということが良く分かりました。

 

キャンプ事業のInstagramアカウント

 

──キャンプ・恋活事業における東北電力フロンティアの強みを教えてください。

 「スタートアップ企業の改善スピード」と「大企業のネームバリュー、サービス品質」のいいとこどりをしていることだと思います。

 東北電力フロンティアではこれまで、キャンプ事業ではどちらかというと前者を強みに展開してきましたが、個人情報や男女に関係するトラブルが発生しやすい恋活事業ではイベントの安全性の目安として「主催企業のネームバリュー」が重視されるので、後者が大きな強みになっています。「東北電力グループなら安心」という信頼感を武器に、これからもお客さまが必要とするサービスを発掘して事業を拡大していきたいです。

 

数々の失敗を乗り越えて。飛躍の時は近い!

 東北電力フロンティアのキャンプ・恋活事業におけるこれまでの事業展開について、マーケティング本部サービス開発部の金澤 昌平さんに振り返っていただきました。

 

金澤 昌平 さん

 

──これまでの事業の変遷について教えてください。

 最初に始めたのはこの「キャンプフロンティア」を拠点にしたキャンプサポートサービスで、キャンプ用品の使い方の講習やレンタルなどでした。その後キャンプ場やショッピングモールでのキャンプイベントの主催を行うようになり、次第に女性限定キャンプや防災意識を育む出前授業など、キャンプ以外の付加価値をプラスしたイベントを行っていくようになりました。そんな中で新しいサービスとして打ち出したのが異性との出会いのある「恋活」キャンプです。これは大きな反響があって良かったのですが、会場の様子を見ていると皆さんキャンプよりも「恋活」の方を目的に参加されているようでした。そこに気付いてからはキャンプ要素を外して、アクセスがしやすい水族館やアミューズメント施設などでイベントを開催しています。

 イベントの規模はどんどん拡大して、うみの杜水族館(仙台市)を会場にした恋活イベント「うみのもりむすび」では1,000人を集めるほどになっています。

──新しいテーマとして「恋活」を選んだのはなぜですか。

 元々キャンプ事業では色々な年代に訴求したかったのですが、どうしてもイベントの対象がファミリー層に偏ってしまっていたのが実情でした。手薄だった20代や30代に訴求するためにはどういったテーマがいいのか社員同士で色々アイデアを出し合っていくうち、世の中のイベントではやっているテーマとして「恋活」が選択肢に出てきたという感じです。

加茂水族館(山形県鶴岡市)で行った恋活イベント

──人口減少や少子高齢化といった東北・新潟地域の社会課題に対する1つのアプローチとしても意義のある事業だと感じます。

 集客力のあるテーマと地域の問題というのは共通している部分があるのかもしれません。地域に根差して展開してきたという強みもあるので、今後は各自治体と連携したり、「従業員向けの福利厚生策」として東北・新潟地域の企業に売り込んでいきたいと考えています。

──これまでのあゆみを振り返っていかがですか。

 たくさん辛いことがありました(笑)

 前例のないイベントを開催したら思ったより集客できなかったり、イベントの規模を一気に大きくしすぎて細かいところまで運営の手が回らなくなったりといった失敗もありますし、キャンプブームにも翻弄されました。一番辛いのはイベントが思うように集客できなかった時ですね。私たちは次に向けた改善として前を向くことができますが、現地に集まっていただいたキッチンカーなどを始めとする業者さんにとってはそうではありませんからね。本当に申し訳ない気持ちでひたすら謝るばかりです。

 しかしそういった失敗を重ねてきた一方で、次は失敗しないようにこうしよう、あれを変えようといった改善を素早く行って次のイベントに挑む…というサイクルをずっと回してきたこともあり、お客さまの満足度は確実に高くなってきていると感じます。

──それはどのような時に感じますか。

 お客さまから感謝の言葉を頂戴することが増えました。

 先日行われた「まつりだわっしょいキャンプ2025」では、こういった声をいただきました。これまでの苦労が報われたようで嬉しいです。

 

(お客さまの声)

 昨日の肝試しの際はありがとうございました。すごく良い思い出になりました。

 娘2人がちゃんと怖がって、少し泣いていたのでちょうど良かったです。

 スタッフの方の対応がすごく良かったので「東北電力の社員かもしれないね」と旦那と話していました。

 新規事業大変だと思いますが、今回参加して本当に良かったです。

 楽しかったのでぜひ頑張ってください。応援しています。

 

──キャンプ・恋活サービスにおける、東北電力フロンティアのこれまでの成長を支えているのは何だと思いますか。

 ひと言でいうと「独自路線で自由にやろう」という空気だと思います。東北電力グループには様々な変化が起きていますが、東北電力フロンティアは「『ミニ東北電力』にならないように独自の価値提供をしていこう」というスタンスで、良い意味で変わらずにチャレンジを続けてこられました。

 キャンプ事業を始めて3年が経ち、会社や事業の認知度は段々と高まっています。大きく飛躍する時は近いと思っています。

 

 

記者の視点から

 激動の時代を勝ち抜いていくために必要とされているのは、前例のない発想で新しい事業に挑戦するチャレンジ精神です。

 お客さまや地域のニーズを敏感に感じ取って次々と新しい業態に挑戦し、人口減少や少子高齢化といった地域課題にも挑む東北電力フロンティア。今回の取材では、次なるビジネスを果敢に切り拓くパワフルな姿が印象的でした。(佐々木達彦)

 

 

イイね!
ページトップへ戻る