「農業由来カーボン・クレジット」プロジェクト、始動。 ~“ワクワク共創チーム”地域課題解決に挑む~

 東北電力は9月24日、東北・新潟地域におけるサステナブル(持続可能)な農業の実現に貢献するため、「農業由来カーボン・クレジット」の活用をスタートしました。東北・新潟地域において農業は地域経済の根幹を担う重要な産業のひとつですが、近年は収益性の低下や高齢化、高温障害・生育不良などの課題が深刻化しており、経済的安定性や環境保全性などを重視した、サステナブルな農業の実現が必要です。こうした地域課題の解決に資する取り組みを推進するのは、4月に総務・地域共創部門に設置された「ワクワク共創チーム」。地域の未来に“ワクワク”を届けるチャレンジに、ぜひご注目ください!

取り組みの概要

 今回の取り組みは、東北・新潟地域のコメ生産者が「水稲栽培における中干し期間の延長」により削減したメタンの排出量について、カーボン・クレジットの一種であるJ-クレジット制度に基づいて認証を受け、クレジット化されたものを、東北電力が購入するというもの。経済的安定性と環境保全性の両面からサステナブルな農業の実現に貢献できる取り組みです。

 

【中干し期間の延長とは?】

 水田が長期間にわたって水で満たされ、土壌中の酸素が少ない環境となる水稲栽培では、稲わらや肥料といった有機物が微生物により分解され、その過程で温室効果ガスであるメタンが生成されます。

 水稲栽培では通常、田植えの後に水田の水を抜き、田を乾かすことでイネの成長をコントロールする中干し(水抜き)という工程が行われますが、この間は微生物による有機物の分解が進まないため、メタンの生成を抑える効果があります。

 したがって中干しの期間を延長することにより、メタンの排出量削減が期待できます。

 

中干し中の水田

 

 

【カーボン・クレジットとは?】

 カーボン・クレジットとは、温室効果ガスを排出削減または吸収した取り組みについて第三者が認証を行い、その削減量を数値化して企業間での取引を可能にしたものです。企業は自社の温室効果ガス排出量を相殺する手段としてクレジットを購入し、その購入代金の一部は収益として地域や生産者に還元されます。

 

J-クレジットの購入証書

 

【J-クレジット制度とは?】

 カーボンクレジットの一種で、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用、適切な森林管理、農業での取り組みなどによって排出削減または吸収された温室効果ガスの量を、取引可能なクレジットとして日本政府が認証する制度です。

 J-クレジット制度では中干し期間を過去2年間の平均と比較して7日間以上延長したものに対し、メタン排出量の削減分をクレジットとして認証しています。これによりメタンの排出量を3割削減することができるとされています。

 

 

 今回の取り組みにおいてカーボン・クレジットの創出やコメ生産者への収益還元を担うのは、スタートアップ企業である株式会社フェイガー(本社:東京都千代田区、代表取締役:石崎 貴紘氏)。クレジットの生成から販売までを一貫して支援する会社で、農業由来カーボン・クレジットにおいて国内最多規模の認証を取得しており、安定的なクレジット事業運営が期待できます。

 

 東北電力のクレジット購入代金はコメ生産者にとっては新たな収入源となり、就農者の確保や新たな設備の導入などにつながるだけでなく、中干し期間延長の取り組みに対する支援となることで、地域のカーボンニュートラルの推進にも貢献します。
 東北電力は購入したクレジットの使い道として、イベントや事業所から排出される温室効果ガスのオフセットをはじめ、お客さまのニーズに応じた販売などを予定しており、東北・新潟を中心にした有効活用や循環を図っていくこととしています。また、農業由来カーボン・クレジットの社会的意義も積極的に発信していくことで、クレジット創出に取り組むコメ生産者や、クレジットを購入する企業などが増加し、地域全体でのサステナブルな農業の実現促進に寄与することを目指しています。

 

 

担当者に聞きました

 今回の取り組みについて、総務・地域共創部門(地域共創・広報)のワクワク共創チーム小島 彩 主査にお話を伺いました。

 

総務・地域共創部門(地域共創・広報 ワクワク共創チーム)小島 彩主査

 

──ワクワク共創チームについて教えてください。

 今年4月に総務・地域共創部門内に発足した、地域の課題を解決するための専任チームです。メンバーは部長を含めて5人で、それぞれ出身部門は異なりますが、地域課題を解決したいという強い気持ちで一体になっています。新たに発足したチームで初めてのことばかりなので、お互いに声を掛けあいながら仕事を行っています。

──今回の取り組みを行うことにした経緯を教えてください。

 地域課題解決に向けて検討する中で着目したのが、コメ農家を取り巻く環境でした。米の生産量は地域別では東北地方が、県別では新潟県が最も多く※、稲作は東北・新潟の地域経済の根幹を担う産業ですが、近年では収益性の低下、就農者の高齢化・後継者不足などの課題が深刻化しています。
 こうした状況を踏まえ、東北・新潟における大きな地域課題である農業活性化に取り組み、地域を盛り上げていくとともに、エネルギー事業者の責務として、地域のカーボンニュートラルにも貢献できる、本取り組みを進めようと考えました。

※農林水産省「農業産出額及び生産農業所得統計(都道府県別)」「令和6年度水陸稲の収穫量(水稲)」より

 

 

──「中干し期間の延長」を行うにあたって、コメ生産者に負担はあるのでしょうか?

 J-クレジットの認証を受けるための手続きとして、開始・終了時に水田の写真を撮影し、専用のサイトにアップロードしていただく必要があります。

 また、中干し期間の延長は稲の根の発達を促したり雑草を抑制したりといったメリットがある半面、延長の程度によっては水田が乾燥しすぎてしまうため、稲にストレスがかかって収穫量が減少するおそれがあります。そこでクレジット創出のノウハウを持っている株式会社フェイガーがコメ生産者に適宜アドバイスを行い、影響をコントロールしながら慎重に進めていくこととしています。

 

8/25に行われた農家説明会の様子

 

──この取り組みの意義をどのように考えていますか。

 この取り組みを進め、広がっていくことにより、コメ生産者は新たな収入源を確保することができ、当社も地域のカーボンニュートラルの推進や、サステナブルな農業の実現に貢献することができます。経済的価値と社会的価値の両方を同時に生み出すことのできる、とても有意義な取り組みだと思っています。

 また購入したクレジットの使い道の1つとしてイベントや事業所から排出される温室効果ガスのオフセットを予定していますが、これにより地域から環境に配慮したイベントとして認知されたり、東北電力のブランド価値向上に貢献できたらと思っています。

 

 

ワクワク共創チームとは

 東北電力グループの事業基盤である東北・新潟地域では、人口減少や一次産業の衰退など、地域の持続可能性に関わる課題が顕在化しています。こうした状況を受け東北電力は、地域に根差す企業として地域課題にも向き合い、地域社会に貢献していくことを目指しています。そのような中で2025年4月、地域課題対応の専任チームとして東北電力総務・地域共創部門に発足したのがワクワク共創チームです。

 

ワクワク共創チームのメンバー。髙内 充洋部長(左上)、若佐谷 薫主査(中央上)、太田 凌平さん(右上)、小島 彩主査(左下)、木村 美香サブマネージャー(右下)

 

 ワクワク共創チームは社内外から寄せられた、あるいは自ら発見した地域課題に対して、「CN(カーボンニュートラル)」「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「人財」という3つの切り口から、解決策の立案や実施に取り組んでいます。

 今回発表した「農業由来カーボン・クレジットの活用」はワクワク共創チームの取り組みの第一弾で、地域の主要産業である一次産業の衰退という課題に対してCNの視点からアプローチしたものです。

 

【ワクワク共創チーム 髙内 充洋部長より】

 ワクワク共創チームはありたい地域の将来像である「東北・新潟の繁栄(持続的成長)」の実現に向け、自治体など地域の課題を抱える方々に対して、販売カンパニーなどの事業部門や東北電力グループ内外の企業・団体をつなぐコーディネート機能を発揮しながら、能動的に地域課題解決策を立案・展開していくことをミッションとして活動しています。

 地域課題は東北電力グループの事業と直結しています。人口の減少や産業の衰退が進めば当社の事業基盤である地域は活力を失い、電力需要にも悪影響を及ぼします。東北電力が地域課題の解決に取り組んでいくことで、事業基盤の中長期的な維持・成長、ならびに地域との信頼関係強化、ビジネス機会のきっかけづくりなどにも寄与することができ、東北電力グループの経営理念である「地域社会との共栄」の実現につながっていくと考えます。

 

 

 ワクワク共創チームは「人をつなぎ、ふるさとを興し、歴史を紡ぐ」との思いを胸に、今後も地域課題の解決に貢献する取り組みを進め、持続的なより良い未来の実現を目指してまいります。

 

 

 

 

 

 

イイね!
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