
東日本テクノサーベイとドローン
東日本テクノサーベイの事業におけるドローンの運用について、丹野部長にお話を伺いました。

丹野敏郎 測量計測部長
──まずは東日本テクノサーベイの主な事業について教えてください。
水力・火力・原子力発電所関連の測量および水圧鉄管・水門扉などの鋼構造物調査やコンクリート構造物診断など、メンテナンスにかかわる調査・解析業務を担っています。業務の対象は当社が東北電力グループ会社ということもあり発電所やその関係の施設が多いですが、一般企業や自治体からの依頼などもあります。
(参考)グループ企業特集「One Team!!」東日本テクノサーベイ 進化する技術を生かし測量の高度化へ|東北電力社内報 デジタルBRIDGE (tohoku-epco.co.jp)
──ドローンはどの事業で使用していますか。
当社事業の柱である、測量および点検の業務で活用しています。
──ドローンを活用するメリットは何ですか。
まずは「早さ」と「安さ」です。当社がドローンを使う事業で一番多いのは発電所設備での点検ですが、ドローン登場以前は大変な労力と費用をかけ足場を組んで準備し、数週間かかっていた点検期間がドローンの登場によりわずか数日で完了できるようになりました。点検にかかる日数が短いということは、それだけ費用も少なくて済むということでもありますし、緊急時にも素早く対応できるということです。暑さや寒さ、あるいは粉塵といった過酷な環境でもドローンなら撮影を行うことができますし、万が一の際の人的な被害はありません。
詳細については、実際に運用している当社ドローンチームのメンバーからご紹介します。
ドローンの強みは「早い」「安い」「安全」
- 東日本テクノサーベイ外観
- ドローン運用チームの3名(左から今野雄介副長、小板橋尚暉さん、三浦里夢さん)
──ドローンに関わる資格のようなものはあるのでしょうか。
「無人航空機操縦士」という国家資格があります。私を含め3人とも一等無人航空機操縦士です。(三浦さん)

三浦 里夢 さん
──自動車でいう運転免許のようなものですか。
現在のところはこの資格が無くても飛行させることは可能なので、免許とは少し違います。ですが、当社は専門的な知識や技能があることと、責任あるドローン運用体制を構築していることの証として、ドローンの操縦はこの資格を持っている社員に限定しています。(今野副長)
──ドローンが登場したことで初めて点検ができるようになった箇所もあるとお聞きしました。
はい、とある水力発電所の余水路※1をドローンで点検しましたが、ここは内径約1mしかない暗渠※2で、約50度と急な勾配があり、また地下水などの影響で常に水が流れている場所でした。それゆえに人が水路内に入って点検を行うことは大変危険な作業となり、これまで点検が見送られてきた場所です。今回そこをドローンで点検したのですが、途中に大きな亀裂を発見して、設備管理者の方からも「大ごとになる前に発見できて良かった」とのお言葉をいただきました。(今野副長)
※1:発電を行う上で余った水を川に戻すための水路
※2:地中に埋められた水路のこと
──測量においてドローンをどのように活用していますか。
規模が大きな土地や施設の測量に使用する「航空写真測量」という技術があるのですが、撮影するために飛ばしていたセスナ機やヘリコプターの代わりをドローンで行えるようになりました。これにより必要なコストが下がっただけでなく、低高度から撮影した写真を使うことでより詳細な図面を作れるようになりました。加えて写真から3Dモデルを作成することもでき、建物の修繕や設備レイアウトの設計検討など、これまでの測量を超えたデータ活用ができるようになりました。(小板橋さん)

小板橋 尚暉 さん
──ドローンを運用するうえで東日本テクノサーベイとしての強みはなんですか。
「はかる」ことに対する専門的な知識や技術があるということです。ドローンはあくまでも情報を取得するためのツールであり、お客さまにとってメリットのある効果的な運用をするためには測量や点検、診断に関する細かな専門知識がセットで必要です。
単なるドローンサービスの提供ということではなく、その後のことまで見据えたサービスが展開できる、つまり設備の将来性を見据えた確認やアドバイスができるのは当社ならではの強みだと思っています。(小板橋さん)
──東北電力グループの業務においてドローンを活用する上でのポイントを教えてください。
単なる「飛ぶカメラ」と思われがちなドローンですが、細かな測量やモデル化につながるような精細なデータが取得できる「空中情報収集デバイス」であるという認識をもっていただければと思います。
したがって、ドローンを活用するためには、その業務で求められる情報やその精度を予めよく確認することが重要です。測量や点検と一口に言っても、その対象や必要とされる精度によって必要な日数や予算は大きく異なります。まずは当社にご相談いただければと思います。(今野副長)
ドローンの進化
東日本テクノサーベイが配備しているドローンについて、今野副長に詳しいお話を伺いました。

今野雄介 副長
──これまでドローンの強みやメリットを伺ってきましたが、逆にドローンが苦手とする作業はありますか。
飛行中のドローンは周囲の物体との接触が厳禁なので、対象物を触ったり叩いたり、あるいはサンプルを採取したりといったことはできません。ドローンにマニュピレーターが搭載されれば可能かもしれませんが、重量的に現状は難しいと思います。
──色々なドローンをお持ちですが、ドローンの進化によって可能になったことはありますか。
先に述べた余水路のような屋内、それも狭くて暗い場所での飛行はドローンの進化によって可能になったと言えます。
ドローンは墜落を防ぐために自ら飛行姿勢を維持する機能があり、自機の位置や姿勢を認識するための手段が必要です。一般的にはGPSを使用する場合が多く、GPSを受信できない室内などではGPSの代わりにドローンに搭載されているカメラが撮影した映像から飛行姿勢を維持しますが、このどちらも機能しない環境である「暗い屋内」をドローンは苦手としていました。その課題を解決したのがFlyability社の「ELIOS 3」で、4基の高出力ライトが搭載されています。これにより暗い場所でも鮮明な映像が得られます。また、LiDAR※による空間認識機能もあいまって安定した飛行が可能となりました。
ちなみに暗い場所であっても広大な空間だと壁面を照らすことができないので、活躍できるフィールドはある程度狭い場所に限定されます。大出力のライトは消費電力も大きく、バッテリーの重さとの兼ね合いで搭載は難しかったと思いますが、我々の事業のような設備点検などで需要があったのだと思います。
※Light Detection and Rangingの略。レーザー光を発射し、その光が物体に当たって反射して戻ってくるまでの時間を測定することで距離を測定する技術。

ELIOS 3を飛行させる小板橋さん。手前側左右のライトが点灯している
──ELIOS 3は暗い屋内を想定した珍しい機種とのことですが、配備している会社は少ないのでしょうか。
この機種の販売代理店を除けば、東日本で本機のサービスを提供しているのは当社のみ※のようです。
※2025年9月現在(東日本テクノサーベイ調べ)
──同じように見えるドローンですが、それぞれに得意不得意があるんですね。
そうですね、万能機と呼べるものは現状存在しません。我々の事業以外でドローンが活躍している例として農薬散布がありますが、沢山の農薬を搭載する関係上、大型の専用機を使用しているようです。
- Skydio社のX10を紹介する今野副長
- DJI社のMavix 3Eを紹介する三浦さん
──現場ごとのドローンの選定や運用のポイントについて教えてください。
それはもう実際の現場を見ていただくのが一番ですね。是非いらしてください。
| というわけで次回からは東日本テクノサーベイの点検現場にお邪魔して、実際のドローン運用の様子をお伝えします。お楽しみに! |
