
新入社員への基礎教育:冬場の巡視・復旧作業を安全に行うための知識・技能習得
盛岡電力センター配電テクノセンターは、岩手県内に配属されている2025年度配電部門新入社員を対象に、「雪上歩行訓練」を実施し10名が参加しました。
新入社員の教育研修は、総合研修センターでの集合教育、電力センターでのOJT、および各支社の配電テクノセンターが企画する教育訓練があり、約1年かけて配電業務の概要や基礎知識に加え、配電社員として求められる使命感や誇りを身に付けていきます。
今回の訓練は冬季の配電線事故や雪害対応時の巡視、復旧における雪崩や雪上作業時の災害を防止するためのカリキュラムが組まれました。
- 積雪の状況から雪崩発生のリスクを判定する弱層テスト
- プローブの使い方を学ぶ
作業環境が厳しい時こそ「安全最優先」で行動
訓練は2日間の日程で行われ、1日目は「雪崩に関する知識」として、過去の雪崩災害を振り返りながら、発生のメカニズムや発生しやすい条件、巻き込まれないための対策、救助時の基本行動などの講義を受け、翌日の実技に向けて、安全に行動するための基礎知識と冬季間山間部に立ち入る際の装備品について、その取り扱い方法を学びました。
2日目は、積雪の状況から雪崩の起こりやすさを判定する「弱層テスト」と埋没体験、雪上歩行の実技を行いました。
雪上歩行では、積雪が1.9メートルほどあるところを、復旧に必要な資機材を背負い、スノーシューを装着して進んで行きました。配電テクノセンターの指導員からは、「隊列の先頭は雪を踏み込みながら進むため、体力を消耗しやすい。メンバー同士で先頭を交代しながら進むことが重要。また常に周囲の状況に注意を払い、危険の有無を確認する必要がある」などアドバイスがありました。
参加した新入社員は「スノーシューを履き慣れておらず歩きにくい上に、資材が重かった。先頭で歩く時は、周囲の安全を確認しながら、メンバーへの声かけを大事にしたい」と述べました。
指導にあたった配電テクノセンターの岩瀬奨平さんは「普段であれば支障なくできる作業であっても、冬季間や積雪の多い時期など、厳しい環境下においては、労働災害などの発生につながりやすくなる。そのような現場では、危険度が増しているという認識を共有し、安全に対する感受性や知識・知見を広げていく必要がある」と、話しました。
スノーシューを装着しての歩行訓練
管理職・作業責任者を対象:災害の教訓を継承し、職場へ展開する「教える人財」を育てる「雪崩災害トレーナー教育」
岩手支社では、2002年から雪崩災害訓練を継続して実施しています。2017年からは、より高度な知識の習得と実践的な救出技術の向上を目的に外部講師を招き、「雪崩災害トレーナー教育」と題し訓練を実施しています。
この訓練および教育は、2000年12月26日に東北電力「月の沢発電所」(山形県旧立川町、現・庄内町)で発生した雪崩による死亡災害※を決して風化させることなく、「同様の事故を二度と起こさない」という強い思いのもとにスタートしたもので、今回で24回目となります。
※東北電力・東北電力ネットワーク従業員のみなさまは安全作業心得より災害記録をご確認ください。
- 積雪の状況から雪崩発生のリスクを判定する弱層テスト
- 装備実習(プローブ)
教訓を風化させず、現場の安全力を未来へつなぐ“教える人づくり”
岩手支社通信センターおよび県内電力センターの送電部門、配電部門に所属する管理職や作業責任者を担う社員が参加しました。
講義では、北東北エリア雪崩事故防止研究会から講師を迎え、過去の雪崩災害を振り返りながら、発生のメカニズムや発生しやすい条件、巻き込まれないための対策のほか、低体温症などについて専門的かつ詳しい説明がありました。
実技では、雪崩への備えとして、積雪断面を垂直に切り出し、積雪の状態、層の有無や位置から、雪崩の起こりやすさを判定する積雪構造・地形観察、弱層テストを行いました。
また、巻き込まれた時に迅速な探査ができるよう、アバランチトランシーバー、プローブの操作実習、また雪崩埋没者の救助を迅速に行うための、メンバー連携による雪を掘り出す訓練も行われました。
参加者からは、「雪崩発生のメカニズムについて学ぶことができた。今回得た知識を、冬季における現場作業に生かしたい」、「シャベリング実習では、雪崩埋没後おおよそ10分程度で生存率が急に低下することから、捜索時間の厳しさを強く実感した。今回の学びを生かし、万が一の事態に備えていきたい」、「今回、職場のリーダーという立場で参加している。今回の内容については、自身の知識・技能の習得にとどめることなく、職場のメンバーへ確実に展開し、今後も安全最優先で作業に臨んでいきたい」との感想がありました。参加者は、それぞれの職場に戻って学んだ内容を仲間へ展開することで、現場全体の安全水準を継続的に引き上げる重要な役割も担っています。
教育の事務局を務めた岩手支社総務広報の畠山憲一主査は「常に安全最優先で行動することが重要。雪崩に巻き込まれないためには、山間部に立ち入る前の十分な確認や準備が欠かせない。天候や雪質から雪崩発生のリスクを適切に判断するとともに、装備や機器の操作方法を確実に身に付けることで、万が一、巻き込まれた場合でも、冷静かつ迅速な対応ができるようにしていきたい」と述べました。
岩手支社では、来年度以降も本教育を継続していくこととしています。
- 装備実習(アバランチトランシーバー)
- 雪を掘り出す「シャベリング」