企業グループ紹介「One Team!!」
■東北電機製造■電力安定供給へのさらなる貢献とともに、製品開発を通して新たな企業価値の創出に挑む

 電力の安定供給に欠かせない配電機器や制御システムの製造・修理、販売、据付工事を担う東北電機製造。現場のニーズに応え、装柱型仮設変圧器(50+30kVA)や、国際規格IEC 61850に適用する監視制御装置など、新たな製品の開発に取り組んでいます。さまざまな課題を乗り越え、これまでの技術と知恵、さらにAIを活用しながら開発を進める同社の取り組みをレポートします。

配電機器・制御システムの製造を軸に、新たな分野を切り開く

 1958年、東北電力と㈱日立製作所の共同出資により、柱上変圧器の製造・販売を目的に宮城県多賀城市に設立された東北電機製造。柱上変圧器や地中化用配電機器を中心とした配電機器事業と、発電所や変電所における電力系統の制御・保護装置、配電盤などを中心とした制御システム事業を軸に、電力の安定供給に貢献しています。2023年には、各種電力機器の製造などを行う㈱ダイヘンと東北電力による経営体制へ移行。高圧配電線用自動電圧調整器(SVR)のOEM生産※を皮切りに、蓄電池パッケージ制御盤・大容量蓄電池システムプリチャージ盤のOEM生産など、新たな分野での実績を積み重ねています。

 
※他社製品の製造を受注すること

 

 

【配電機器事業】現場のニーズに応えて、装柱型仮設変圧器を開発

 柱上変圧器を取り換える際、無停電で交換するために仮設変圧器を使用するケースがあります。しかし、仮設変圧器は工事車両の荷台に積載して使用するため、細い道路ではスペースの確保が難しいことや、工事当日に仮設変圧器を設置後、工事を開始するため、作業時間が圧迫されるなどの課題がありました。そこで、同社はユアテックと共同で、SC型※工事用変圧器(30+20kVA)を開発し、小型・軽量化を実現させました。この知見を生かし、以前から工事会社より要望が寄せられていた、さらに容量の大きい仮設変圧器の装柱化に取り組みました。そうして開発に着手したのが、装柱型仮設変圧器(50+30kVA)です。

 
※SC:Smart Compact の略称

 

 

 開発にあたってプロジェクトチームを結成。「高所作業車で吊り上げられる重さまで軽量化できるよう、一体化していた変圧器と制御部分を分離し、さらに変圧器に使用する電線の太さ、材料を変更するなどの工夫もしました。電線を細くしたことで絶縁油の温度が想定以上に上昇してしまうという課題もありましたが、評価と対策を何度も重ねて、ようやく必要な性能を確保することができました」と、配電機器事業部 技術部 変圧器設計グループの阿部紀彰課長は話します。また、実用化に向け、同社の敷地内で装柱作業性の検証を実施。ユアテックとも協力したことで、「今配備されている工具で作業できるようにしてほしい」など、作業者の視点から改良点が寄せられました。

 開発にかかった期間は約2年。装柱型仮設変圧器(50+30kVA)は、今後は他地域からの引き合いにも期待が寄せられます。将来的には、全国への拡販も視野に入れています。
 現在は、東北電力ネットワーク(以下、東北電力NW)配電部との共同研究により、仕様統一の動きが進められているソフト地中化用変圧器の開発に取り組んでいます。また、物価高騰の影響を踏まえ、海外製の電線の採用などによるコストダウンを推進しながら、市場競争力の強化を図っています。「装柱型仮設変圧器のように、顧客のニーズを反映した使いやすさと利便性を追求した製品の開発に取り組みたい」と、阿部課長は言葉に力を込めます。

 

【制御システム事業】国際規格IEC 61850に対応した制御システム開発の道のり

 もう一つの主力事業である制御システム事業では、国際規格(IEC 61850)※に準拠した監視制御システムの開発に取り組んでいます。これまで、監視制御装置は各メーカー独自の規格で作られていたため、他メーカーとの接続が難しいという状況がありましたが、国際規格の適用が進むことで、さまざまなメーカーの機器を使用してシステムを構築することができます。東北電力NWでも同規格に準拠した装置を変電所に導入する動きが加速しているため、東北電機製造でも2024年から同規格の監視制御装置の開発をスタートしました。
 同社では、これまで自社製の基板やソフトウェアを使用していましたが、他の電力会社の設備見学も行い、検証用機材として新たに海外製の監視制御装置の導入を決めました。「今は、自社の装置の機能を、海外製の装置でどう実現していくのかを検討している状況です」と、制御システム事業部 技術部 電力システムグループの狩野有史主任は話します。しかし、国内でも国際規格の開発が進行段階であることや、他メーカーとの接続に関しても未知な部分が多いため、他社でも開発に苦労する部分が多いと言います。同社では、ダイヘングループでもあるという強みを生かし、IEC 61850関連の開発に取り組んでいるグループ企業と定期的に情報交換をしながら開発を進めています。「2026年度内には、部分的にでも製品化を実現したい」と狩野主任。自社で開発してきた技術や経験を武器に、引き続き開発を進めていきます。

 
※国際規格IEC 61850とは、主に監視制御装置(IED:Intelligent Electronic Device)の相互運用のための国際規格

 

【制御システム事業】生成AIも活用し、途絶えた技術を未来へつなぐ

 過去の技術を未来へつなぐ取り組みも始まっています。水力発電所において、発電された電気を送電し、異常があった際には機器を停止するなど重要な役割を担う発電機盤。東北電機製造でも1978年から製造を開始しましたが、1995年を最後に本格的な生産・納入を休止しました。それから30年後の2025年7月、売上拡大のために水力発電所向けの発電機盤の製造を再開するためのプロジェクトが立ち上がりました。
 しかし、当時の技術者はすでに引退し、技術継承が途絶えている状態でした。プロジェクトに携わった制御システム事業部 技術部 電力システムグループ寒澤亮太課長は「社内にある図面や参考になりそうな資料をかき集めて、自分なりに解釈することから始めました」と振り返ります。しかし、当時の図面は、知識がないと分からない専門書のような状態で、さらに、発電機盤の回路は分かっても、その先の水車や発電機とどのように連動しているのか、現在の新しいシステムと連動できるのかといった課題がありました。そこで、まずは東北電力がサービス提供している生成AI「exaBase」を活用し、図面から導き出した発電機盤がどのように水車や発電機と連動するのかを可視化してシミュレーションを重ねました。さらに、東北電力管内の水力発電所の協力を得て、発電機を見学。これまでの知識に確証を得ることができました。
 これから、2027年の納入に向けていよいよ開発・生産が始まります。技術資料や基本図面も固まりつつあり、実際の製品づくりや、お客さまとの仕様確認が本格的に進められる予定です。同社がこれまで培ってきた技術資産が、次のものづくりへ受け継がれようとしています。

 

経営理念のもと、地域とともに歩む

 東北電機製造の経営理念「信頼性の高い製品づくりを通じて 電力の安定供給と地域社会の発展に貢献する」。公共性の高い製品を扱う企業としての使命を胸に、東北電力グループの「より、そう、ちから」のもとで、清掃活動や本社が建つ多賀城市で行われる「史都多賀城万葉まつり」への参加、多賀城市が市内の乳幼児向けに実施するブックスタート事業への支援金贈呈など、地域貢献にも力を入れています。
 2023年に新体制で中期経営計画「“変革への挑戦”新たな企業価値の創出でつなげよう未来へ」を掲げてから3年。より高みを目指し、新しい技術をひたむきに取り入れながら、同社の取り組みは進んでいきます。

 

東日本大震災時に津波が押し寄せた同社の敷地内に建つ復興記念樹

 

絵本を開く「体験」と「絵本」をプレゼントするブックスタート事業

 

史都多賀城万葉まつりの様子

 

地域の街並み美化を目指し、会社周辺の清掃活動も行う

イイね!
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