東北電力グループ データセンター事業の「いま」(前編)

 東北・新潟地域における電力需要拡大の柱の1つとして期待されている「データセンター」。東北電力グループにおいても、データセンターの誘致に取り組むことに加えて、データセンターの運用や建設など、さまざまな事業が行われています。データセンターはどういった特徴を持つ施設で、東北電力グループにとってどんなビジネスチャンスが期待できるのでしょうか。関係者に話を伺い、データセンター対応の「いま」をまとめました。前編ではデータセンターの基礎知識や、東北電力グループにおけるデータセンター運用事業についてお伝えします。

市場拡大を続けるデータセンター

 そもそもデータセンターとはどのような施設なのか。データセンターの誘致に向けた活動を展開している、東北電力法人営業部(営業1)データセンタータスクチーム(以下タスクチーム)の佐藤 真悟 副長に伺いました。

 

東北電力法人営業部(営業1)データセンタータスクチーム 佐藤 真悟 副長

 

──データセンターとはどのような施設ですか。

 日本データセンター協会によれば、データセンターとは「サーバー、ネットワーク機器、データストレージなどのITインフラを設置・運用することに特化した専用施設」のことを指します。我々が普段使用するパソコンやスマートフォン上のアプリケーションやシステムとも深い関わりがあります。

 

データセンター外観(イメージ)

 

 近年、デジタル化やAIの利用が加速していることにより、データセンターを使用するニーズは急激に増加してます。総務省「情報通信白書」によれば、日本におけるデータセンターサービスの市場規模(売上高)は2023年には2.7兆円でしたが、2028年には5兆円を超えると見込まれています。

 

──東北・新潟地域におけるデータセンターを取り巻く状況について教えてください。

 データセンターの立地地域は、これまで首都圏や関西圏が大半を占めている状況でした。しかしながら,2025年2月に閣議決定された「GX2040ビジョン」を踏まえ、国内ではGX産業立地政策の検討が進められており、ワット(電力)・ビット(情報通信)連携などを通じたデータセンターの適正立地、地方分散に向けた機運が高まっています。

 こうした状況を受け、東北電力では昨年10月、NTT東日本、日本政策投資銀行と、東北・新潟地域へのデータセンター誘致の推進に向けた業務協力協定を締結し、新たな産業、雇用の創出による地域活性化、産業振興に貢献していくこととしています。(プレス)

 東北電力グループにおいても、誘致活動に加えて、データセンターの運用や建設など、さまざまな事業が行われています。

 

業務協力協定締結式の様子(中央は佐々木常務)

 

データセンターサービスの現場から①~東北電力 事業創出部門「生成AIインフラサービス」~

 東北電力の事業創出部門では2025年2月から、「生成AIインフラサービス」としてコンテナ型のデータセンターを活用したサービスを展開しています。このサービスについて、東北電力事業創出部門(事業開発ユニット)の穂積 慶人さんに話を伺いました。

 

東北電力事業創出部門(事業開発ユニット)穂積 慶人さん

 

──サービスの概要を教えてください。

 提携企業のコンテナ型データセンターを活用し、東北電力が所有するGPU※サーバの高度な計算力をクラウドで提供するサービスです。お客さま自身でサーバなどの構築・運用・保守を行うことなく、GPUの高いパフォーマンスを利用できるため、AI関連のスタートアップ企業や大学の研究室などから好評をいただいています。

※Graphics Processing Unit:高い能力を持つ処理装置のこと

 

提携企業のコンテナ型データセンター(イメージ)

 

──データセンター関連サービスに関する今後の展望を教えてください。

 同様のコンテナ型データセンターを活用して、東北電力が事業主体となり、お客さまのサーバを預かる「ハウジングサービス」の展開も予定しています(プレス)。

 東北電力のように、自社の遊休地やインフラ設備を活用してデータセンター関連サービスへ参入する企業は近年増加傾向にありますが、東北電力は、東北・新潟地域における電気事業を長年にわたって行ってきた信頼と実績に加えて、情報セキュリティにおけるISO認証※も2026年3月に取得しましたので、そういった部分で他社と差別化していけたらと考えています。

 このサービスを通じて利益を上げていくのはもちろんですが、それに加えて、東北電力のデータセンター関連事業が呼び水となり、東北・新潟地域にさまざまなデータセンターが誕生することで、電気の需要が増え、本業である電気の販売増加につなげられたらと考えています。

※提供中のGPUクラウドサービスにおいてISO27001(情報セキュリティマネジメント)を取得

 

データセンターサービスの現場から②~トークネット「仙台中央データセンター」~

 トークネットは、仙台市内に都市型のデータセンター「仙台中央データセンター」を所有し、これを活用したサービスを展開しています。トークネット営業本部営業企画部マーケティンググループの阿見 祐太 主任に、サービスの概要や意義を伺いました。

回線事業者の強みを生かして。東北の、日本の将来のために

 

トークネット 営業本部 営業企画部 マーケティンググループ 阿見 祐太 主任

 

──「仙台中央データセンター」の概要について教えてください。

 仙台市の中心部、仙台駅から徒歩圏内に位置している都市型のデータセンターです。建物の堅牢性、信頼性の高い光インフラ、強固なセキュリティを備えているのが強みで、停電や火災、地震、水害といった事態に対しても安定した電源供給や通信体制を維持できます。

 

仙台中央データセンターの内部。並んでいるラックにはそれぞれサーバが入っている

──「仙台中央データセンター」が展開しているサービスについて教えてください。

 お客さまのサーバを預かる「ハウジングサービス」と、サーバの稼働状況などの目視確認などを専門の人員が行う「運用サポートサービス」を展開しています。ハウジングサービスはラック単位で提供しており、お客さまのサーバに必要なサイズに合わせて、ラック丸ごとではなく、ラックの1/2や1/4、1/8でも契約できます。

 

空いているラックを開扉したところ。サーバ設置後すぐに運用開始できるよう、ラックの内部には電源や通信線が備え付けられている。写真は1/2のラック

──データセンターサービスにおけるトークネットの強みを教えてください。

 トークネットが自社保有している光ファイバー網をベースとした、通信サービスとセットでサービス提供できることです。例えば、データセンターにあるお客さまのサーバを使用しているシステムが使えなくなった場合、通常、お客さまは原因を切り分けるために、回線事業者、データセンターの運営会社、サーバを管理しているベンダーなどの多くの事業者とやり取りをすることになりますが、トークネットでは回線サービスとデータセンターサービスをセットで提供できるため、非常時にはワンストップに近い形でのスピーディーな原因箇所の特定が可能になります。

──仙台でデータセンターサービスを行う意義をどのように考えていますか。

 1つは地域における人手不足の解消です。現在、世の中のあらゆるものがデジタル化されていますが、企業においては情報システム部門の人手不足が進み、会社の規模によっては「一人情シス」と言われるような深刻な状況に陥っています。そのような人手不足の中、自社のサーバ室や通信設備の維持、更新を続けることや、前述した複数窓口による運用工数の増加は、東北の中小企業にとって重い負担です。このデータセンターはそういった状況に対する解決策の1つになるものだと考えています。

 

 2つ目はBCP※対策としての東北の価値の訴求です。日本のデータセンターのほとんどは首都圏と関西圏に集中していますが、首都直下型地震や南海トラフ地震といった災害リスクも取りざたされています。そのため東北にある仙台中央データセンターの価値を訴求し、サービス提供することで、お客さまのBCP対策を支援できると考えています。

※Business Continuity Plan(事業継続計画)

 

 

後編は大型データセンターの建設現場などを紹介します!

イイね!
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