
「配管の液漏れ検知新システム」とは?
新システムは、配管を覆う外装板の内部に、特殊インキを用いて電気回路を印刷したテープ状の印刷配線を設置。この配線は液漏れが発生すると通電状況が変化する特性を有しており、印刷配線とつながるICタグに専用機器(RFIDリーダー)をかざすことで、無線でその状況を読み取り、液漏れの有無を把握します。
特徴・メリットは次のとおりです。
1.液漏れの「いち早い」「正確な」発見が可能・目の届かない個所の点検が「容易に」「効率的に」
従来の目視点検では、配管を覆う外装板から液体が染み出た状況でなければ発見が困難でしたが、本システムにより、外装版内部での液漏れ量が少ないうちから早期かつ正確に発見できるようになります。また、無線により遠距離から情報を読み取れるため、これまで目が届きにくかった部分の点検や状況把握も容易になります。さらに、点検個所で立ち止まることなく、移動しながら情報を取得できるため、点検業務の大幅な効率化も期待されます。
2.電源やメンテナンスが不要
配管に設置したICタグはリーダーからの電波で起動するため、電源確保や電池交換のためのメンテナンスが不要。よって、電源の確保が必要な従来システムでは設置が難しかった個所でも利用可能になります。
3.従来システムより大幅な価格低減
一般的な金属配線による検知回路に比べ、印刷配線は材料を削減でき、安価かつ大量に製作できるため、大幅な価格低減が期待されます。
担当者に伺いました!
火力部火力業務の石田さんにお話を伺いました。
問.開発の経緯を詳しく教えてください
答.電気新聞をはじめとする専門紙の閲覧やAI、センサー、通信分野の見本市や展示会を視察するなど、「何か活用できるものはないか」と日々リサーチしていたところ、ひとつの新聞記事を発見。そこには、トッパン・フォームズという会社が、水に濡れたかどうかを検知するICタグを開発したとの内容が掲載されていました。
「水濡れ検知」というキーワードから、火力発電所の点検と通じるのでは?と着目し、当社からHPの問い合わせ先に連絡してアプローチ。何回か意見交換を重ねた結果、共同開発することで合意し、2019年12月から具体的な開発に着手しました。

問.共同開発にあたり、苦労した点やここが初!などの特徴を教えてください。
答.火力部門としてトッパンとの共同開発は初めて。お互いの技術や状況を理解することからスタートしました。
既存技術は水のみを検知する仕組みであり、「油も検知」できるようにすることについて、一筋縄ではいかず苦労しました。水とは真逆の電気を通さない油でどうやって通電状況を変化させるか。デモ品の製作・改良を何度も繰り返すなど、試行錯誤しながらも着実に進めていった結果、約2年半かけて実証実験までたどり着くことができました。

トッパンとの打ち合わせの様子
油や水など液体の漏れを検知することを目的としたシステムはほかにもありますが、印刷配線とRFIDとを組み合わせたという点では初のシステムです。両社の努力が実を結んだものと考えています。
問.今後の展開は。
答.長期点検中の新仙台火力発電所で実証試験を始めています。設置のしやすさ、点検のしやすさ、耐久性の確認など、製品として必要な要件や課題を抽出するためです。
現在は配管10個所程度の設置ですが、今後さまざまな仕様・用途の配管での課題を抽出するべく、設置数を増やしていきたい考えです。
- 実証実験の様子
- 歩きながら読み取れるリーダー
実証実験後は、当社内での適用だけでなく、多くの配管があるプラントを持つ石油化学や製薬などの他業種への販売も視野に入れています。
システムの仕組みがシンプルであり、設置や点検作業が容易であるため、油や水などの漏れを検知したいという多数のニーズがあるものと見ています。
将来的な話ですが、現在開発に取り組んでいるドローンをはじめとするロボット技術を活用した設備パトロールの自動化システム(資料はこちら)との組み合わせによるさらなる点検業務の効率化も目指しています。

火力部の歩みは止まりません
最後に、火力部門では、基盤事業の電力供給事業において競争力を徹底的に強化するべく、AIやIoTなどの最先端デジタル技術を活⽤した運⽤⾼度化や効率化に向けた取り組みにも力を入れています(「設備の異常兆候を早期に検知するシステム」および「運転条件の変更により熱効率を向上するシステム」を導入済み(詳細はこちら))
さらには、これら技術を通じお客さまへの新たな価値を提供するべく、よりそうnext実現に向け、取り組みを加速させていきます。