
将来にわたって安定的に電気をお届けするために、お客さまサービス課を62カ所→27カ所に拠点化
自然災害の激甚化や人口の減少に伴う担い手不足など、送配電事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。さらに昨年度から導入された新しい託送料金制度(レベニューキャップ制度:関連記事)によってこれまで以上にコストの削減が重要になっており、安定供給という使命を果たすことと徹底的な効率化の両立が求められています。
今回拠点化の対象となったのは「お客さまサービス課」。管内全ての電力センター(62カ所)に設置され、電力量の検針や託送料金等の調定・スイッチング(小売電気事業者の切り替え)に係る対応、作業停電のためのお客さま調整など、同じく電力センターに設置された配電部門(配電課、配電管理課、配電工事課)と共に現地性の高い業務を含む多くの役割を担ってきましたが、遠隔での確認や操作が可能なスマートメーターの導入により、これまでお客さまサービス課が事業所で担っていた業務は大幅に減少。その一方で、事故停電対応等の現地性の高い業務を担うため配電部門の人員は引き続き現地に確保していかなければならないという課題に直面していました。
そこで、ネットワークサービス部門と配電部門がこれまでの業務のやり方を部門横断で見直し、電力センターを「拠点電力センター」と「ブロック電力センター」に分けて運用する体制を構築することにしました。具体的には、現地での対応が必要となる突発的な検針や作業、窓口資機材の管理などの業務は、従来からの東北送配電サービス㈱への委託に加え、配電部門への移管を行い、その上で残った机上業務は近隣のお客さまサービス課や支社(お客さまサービス)に集約することで、一部の電力センターのお客さまサービス課を廃止(拠点化)するものです。
拠点化は段階的に進められ、2021年7月(62カ所→54カ所)、2023年7月(54カ所→41カ所)、2024年7月(41カ所→27カ所)を経て現在は27カ所となっています。

お客さまサービス課の廃止事業所と拠点事業所のイメージ図。お客さまサービス課は62カ所→27カ所となる
拠点化当事者の声①~ブロック電力センター配電工事課~
お客さまサービス課が廃止となった電力センターの配電工事課にお話を伺いました。
新潟県央電力センター配電工事課
藤田浩伸副長
金澤優史さん
- 藤田副長
- 金澤さん
──新潟県央電力センターのお客さまサービス課が廃止となることを知った時の受け止めを教えてください。
配電部門の将来を見据えた施策として理解しました。配電部門が今後も現在と同じレベルで現地業務を行っていくためには人員を極力確保していく必要がありますが、効率化やDXで配電部門の業務が減少していく中にあっては、他部門の業務移管を受け入れることも必要だと思っています。(金澤さん)
昔でいうサービスセンターのようなスタイルになるのかな、というのがお話を聞いた時の第一印象でした。例えば計器などの窓口資材管理は今回新しく移管された業務ですが、配電でも資機材の管理業務をしているので、全く知らない業務というわけではありません。その他の移管業務もこれまで我々がやってきた業務についてその運用が一部変更になるといったものが多く、「全く未知の業務」という感じはしませんでした。もちろん業務負担の増加は避けられませんが、それでも会社全体としての最適化の観点からやっていくしかないなと思いました。(藤田副長)
──お客さまサービス課廃止から約2カ月が経ちましたが、今の業務はどうですか。
7月に担務変更があり移管業務を多く扱っていますが、大きな問題は発生していません。拠点化前後でお客さまサービス課の担当者がたまたま同じ人だったということもあり、助かっています。これから経験することになる冬季は、不点や高圧事故が増えがちなため、そうした中でも今と同じような状況が維持できるかが心配です。(金澤さん)

書類の運行方法が変わったことで納期が短くなったりはしましたが、今のところトラブルはありません。一連の引継ぎ対応も丁寧にしていただきましたし、拠点電力センターのお客さまサービス課の皆さんがしっかりと回してくださっているということだと思います。配電部門へ移管された業務は緊急あるいは例外的なものが多いので、安定して処理できるようになるまでにはある程度の慣れが必要だと思っています。今は過渡期だということを念頭に置いて、チーム全体で声を掛け合いながらみんなで協力して処理していこうというムードで頑張っています。(藤田副長)
──お客さまサービス課廃止後の業務運用で気を付けていることがあれば教えてください。
配電工事課は常に誰かしらが外出しているので、移管業務の属人化により対応が滞ってしまわないように気を付けています。(金澤さん)
メールやチャットによる依頼が多いので、とにかく受信漏れを起こさないことですね。担当者は外出していて席にいないことも多いので、私が受信することもしばしばあります。また最近は組織や業務が細分化、複雑化したこともあり、それぞれがつい自分の業務だけを見てしまいがちで、社内で問い合わせをした際にたらい回しにあうこともあります。周りの状況にも目配りして「お互いさま」の気持ちを持ったやり取りを心がけたいですね。(藤田副長)

拠点化当事者の声②~拠点電力センターお客さまサービス課~
新潟県央電力センター、魚沼電力センター、十日町電力センター。3つのブロック電力センターお客さまサービス課の机上業務を集約した長岡電力センターお客さまサービス課にお話を伺いました。
長岡電力センターお客さまサービス課
海津景子サービス主任
石塚友美さん
- 海津主任
- 石塚さん
──長岡電力センターが拠点電力センターだと知った時の受け止めを教えてください。
私は前任地が柏崎電力センターお客さまサービス課だったので、2023年7月の組織整備でブロック電力センターとして拠点電力センターへ業務を引き継ぐ一連の流れを経験しています。それでも今回の長岡電力センターの拠点化は管内最大規模ということで、うまく引継ぎができるか正直不安でした。(石塚さん)
新潟地域はどうしても冬季に検針関係の業務が増加しがちです。ブロック電力センターの魚沼電力センターや十日町電力センターの地域には山間部が多いので、拠点化により冬季の業務ボリュームが大幅に増えるのではないかと懸念しました。これから拠点化後初めての冬がやってくるので、少し心配ですね。(海津主任)
──長岡電力センターは管内最大規模の拠点化事例です。引継ぎ対応で工夫した点はありますか。
スムーズな拠点化のために、あらかじめ業務の標準化を行ったことです。具体的にはお客さまサービス課と配電工事課間のやり取りなど、部門の標準運用に定めがない細かい部分について、ブロック電力センター3カ所それぞれにローカルルールがありました。拠点化後に業務を効率よく処理できるよう、まずはそれらを一つひとつ解消することから始めました。解消にあたっては長岡のやり方に合わせるのではなく、各種の取り扱いを参考にしながら、それぞれの業務に対してどのような方法がベストかを関係者ですり合わせながら進めました。こういった下準備に加えて時折ブロック電力センターに出向いて「顔が見える関係」を大事にしたこともあって、関係者がお互いに納得感のある拠点化ができたと思います。(海津主任)
──集約から約2カ月が経ちましたが、現在の業務はどうですか。
窓口作業の外部付託関係業務を担当していますが、4事業所分の業務を1カ所でこなすというのは想像以上に大変です。配電工事課さんとのやり取りや東北送配電サービスさんとのやり取りについても、連絡先が一気に増えたことで拠点化直後は四苦八苦しましたね。それでも東北送配電サービスさんや各ブロック電力センターの配電工事課さんは快く作業を引き受けてくださっています。(石塚さん)

検針関係業務では高圧契約の計器取換に関する業務などが事前に想定していたよりも多く、時間外での対応が続いてしまっているところです。現在は課内から応援をもらったり、ブロック電力センターごとの担当者を決めて問い合わせなどの動線を整理することで、少しでも一人当たりの業務量が減るように心がけています。(海津主任)
──集約後の業務運用で工夫していることがあれば教えてください。
作業依頼などの取次は4電力センターそれぞれについて決まった時間に対応する必要があるため、執務室内に進捗状況を確認するためのボードを作成しました。これによりタスクが見える化されて処理漏れが防げるだけでなく、チーム内での業務フォローもしやすくなっています。
また各人がメインで担当する電力センターについても輪番制を取り、業務が属人化しないように工夫しています。これは拠点化の規模が長岡電力センターに次いで大きかった郡山電力センター(白河電力センターと須賀川電力センターをブロック電力センターに持つ)の先行事例を参考にしたものです。(石塚さん)

各電力センターの進捗を管理するボード。担当者は対応中の箇所に名前のマグネットを貼付し、対応が完了した箇所はピンクのマグネットに貼りかえる。
引継ぎの時に留意した「顔が見える関係」という視点は拠点化後の業務運用でも非常に大事だと思っていて、メールやチャットでのやり取りでも担当者の顔が見えるよう、各配電工事課さんには顔写真付きの座席表を配布しています。(海津主任)
- 顔写真付きのお客さまサービス課座席表
──今後予定されている改善等があれば教えてください。
今回の拠点化対応を通じて業務の標準化が図られたのは先ほどの通りですが、拠点電力センターである長岡電力センター内のやり取りについては従来通りローカルルールになっている部分があるので、いずれ同じやり方に統一できたらいいなと思っています。(石塚さん)
記者の視点から
完全自由化、分社化、レベニューキャップ制度の導入と、送配電事業を取り巻く環境は大きな変化を続けています。
電力の安定供給という使命を果たしつつ、業務運営を効率化し、将来にわたって地域の安心、安全、快適な暮らしを支え続けていくこと。東北電力ネットワークではこうしたミッションを達成するため、本記事で紹介したお客さまサービス課の拠点化をはじめとした様々な取り組みが進行しています。
今回の取材では、新体制での安定稼働に向けて力強く歩みを進める現場の皆さんの姿がとても印象的でした。(佐々木達彦)