
世界原子力発電事業者協会(WANO)とは
世界原子力発電事業者協会(The World Association of Nuclear Operators : WANO)は、チョルノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所事故を契機として、1989年に世界の原子力事業者によって設立された民間組織であり、商業用原子力発電所の安全性と信頼性を最高レベルに高めることをミッションとしています。
隔年総会は、世界各地の原子力発電所設置国で2年ごとに開催され、日本の各電力会社をはじめとする各国のWANO加盟原子力発電事業者が出席し、世界の原子力安全における会員間の関与や連携を深め、WANOミッションの更なる推進を図ることを目的としています。
今回は、アラブ初の商業用原子力発電所として、2012年に建設を開始し先頃全4基(韓国製140万kW改良型PWR)の運転を開始したバラカ原子力発電所を有するUAEの首都アブダビでの開催となり、35カ国から400人以上が参加した(東北電力は樋󠄀口社長および原子力部関係者が参加)ほか、ポーランドやガーナ、ケニアといった新たに原子力発電の導入を検討している国々からの参加もあり、原子力発電の積極活用に対する世界的な関心の高さや新規導入を検討している国々の存在感を印象付ける総会となりました。

アラブ初の原子力発電所であるバラカ原子力発電所
(画像出典:UAE原子力公社HP,https://www.enec.gov.ae/)
WANO隔年総会の内容
会議では冒頭、WANO議長、WANO総裁(UAE原子力公社CEO)らが、現在60基に及ぶ多数の原子力発電所が建設中であり、さらに多数の新規建設計画が進むといった昨今の世界の原子力動向などについて述べたほか、国際原子力機関(IAEA)グロッシ事務局長がビデオメッセージを寄せ、原子力安全確保という共通の目的に向かって国境を越えて一堂に会するこうした会議の重要性を訴えかけました。
その後行われた講演やQAセッションでは、 WANOが目標として提唱する2030年の「Action for Excellence※1(最高水準の達成に向けたアクション)」に向け、WANOが設定する各種指標などを活用した各国事業者の取り組み状況などについて紹介されました。
会議の最後には、東京電力 小早川社長が新WANO総裁に選出され、福島第一原子力発電所事故およびその廃炉作業について言及するとともに、東京での次回総会への参加を呼び掛けました。
※1「Action for Excellence」
2019年のWANO世界理事会で立ち上がった「2030年までに全ての原子力発電所(運転プラント)が、WANOの評価基準で高評価になることを目指す」というイニシアチブ。

会議における原子力功労者表彰の様子
左2番目:樋󠄀口社長、最左:加藤JANSI理事長(東北電力元常務)、表彰受賞者・右4番目:山崎 元JANSI理事長
海外原子力事業者との交流
会期中には、日米原子力事業者間交流の枠組みで東北電力のパートナーであるサザン・ニュークリア社のセナCEOと樋󠄀口社長が交流し、樋󠄀口社長は昨年春に実施した同社ハッチ発電所への東北電力の原子力発電所運転員派遣訓練(実機体感研修)など※2への御礼を述べました。セナCEOからは、「2011年の東日本大震災以降、数々の困難を乗り越えて道を切り開き女川2号機の再稼働に辿り着こうとしている東北電力の取り組みに深く敬意を表するとともに、目的を同じくする兄弟として引き続き協力を惜しまない」といった発言がありました。
※2 東北電力は、2015年から米国サザン・ニュークリア社と原子力発電所の安全管理について、訪問調査や滞在研修などを通じて、継続的な安全性向上のための取り組みを行っており、至近では、昨年春の実機体感研修のほか、昨年8月には加藤シニアフェロー(当時)がサザン・ニュークリア社本社・発電所を訪問して講演などを行っている。

樋󠄀口社長と米国サザン・ニュークリア社セナCEO