「適切なリスク認識に基づき稼ぐ会社」を目指して ~リスク管理室が発足~

 7月1日に発足したリスク管理室。その使命と業務内容についてご紹介します。

投融資審査を中心とした4つの機能。グループ大のリスクを適切に管理する

 7月1日、グループ大でのリスク管理に関する業務を担うリスク管理室が発足しました。メンバーは室長含め7名というコンパクトな組織です。

 リスク管理室が有する機能は①投融資審査②内部統制③統合リスク管理④市場リスク管理の4つです。

 

① 投融資審査…東北電力グループの主要な投融資案件について、タイムリーな経営判断に繋げることを目指して、主管部をサポートする業務。案件が抱えているリスクを整理するほか、第三者的な視点から客観的にチェックする機能もある。

 

 

 

② 内部統制 ③ 統合リスク管理…全社的なリスクの管理状況を把握するため、制度運用や個別のリスクへの対応状況をモニタリングする業務。横串機能を発揮して、PDCAサイクルを展開する。

④ 市場リスク管理…市場における電気の取引やデリバティブ取引によるリスク分散について、損益の状況やリスクリミット※の遵守状況をモニタリングする業務。市場取引における専門性が求められる。

※予想損失額の限度として設定する金額

 

隠れたリスクを見つけ、主管部をサポートする

 リスク管理室の現在やこれからについて、大塩室長にお話を伺いました。

 

大塩 一進 リスク管理室長

 

──リスク管理室が設置された経緯を教えてください。

 東北電力グループでは近年、従来から行ってきた電力供給事業に伴う設備投資に加えて、カーボンニュートラルへの対応や新しい収益源を獲得するための、再生可能エネルギーや新規事業に対する投融資案件が増えています。

 各主管部の皆さんは目標達成に向けて熱意を持って取り組むあまり、得てして経済性評価の各諸元設定がやや案件推進寄りになっていることがあります。そういった状況に対して経営層から「投融資案件を経営層が重要なポイントに絞って効果的に協議できるよう、前裁きとして第三者的な観点から諸元が適切に設定されているのか事前に確認する機能が必要」というご意見があり、それがリスク管理室設置の契機となりました。

──発足してから5カ月が経過しました。これまでの業務を振り返っていかがですか。

 リスク管理室の審査対象は原則として東北電力グループにおける全ての投融資案件です。

 7月の発足以降これまで関わった案件は約30件。それぞれに対して経済性評価における各諸元の確認や投資ストラクチャーの分析などについて、室内メンバー全員で議論を行い、その結果を所見としてまとめています。

 審査の業務量は当初想定したよりも多いのですが、リスク管理室のメンバーは全員がほぼフラットな形で意見を出し合ってノウハウを共有できていることが奏功して、段々とスピードアップが図られていると感じています。完成した所見は経営層から論点が分かり易いとのコメントをいただくこともあり、細かな書き方など未だに手探りの部分もありますが、手ごたえも感じています。

 所見の作成はリスク管理室の業務ですが、その過程では案件の詳細な内容の確認など、主管部との共同作業も多くあります。どの主管部も迅速にご対応いただいており、感謝しています。

 

本店23階にある執務スペース

 

──投融資審査はどういったタイミングで依頼すればよいのでしょうか。

 総じてなるべく早い段階でご連絡いただいた方がスムーズに進めることができます。全くのアイデア段階でも構いません。

 

検討段階 主管部のニーズなど リスク管理室のスタンス
① 投融資案件の検討を始めた リスクの所在を議論したい。まだコンセプトが固まっていない状態だが、リスク管理室に相談してもよいだろうか。

ここが出発点、勿論喜んで相談に応じます。

② 投融資案件を協業先と検討を始めた 協業先から色々注文がついており、リスク管理室にも意見を聞いてみようか。

勿論喜んで相談に応じます。

③ 投融資案件をカンパニー会議に付議する前 リスク管理室に確認してもらう必要があるだろうか。 全ての投融資案件が審査対象となるので、資料に基づき確認事項のやり取りをさせていただき、所見を回答します。
④ 投融資案件を経営会議に付議する前

事前説明の際、役員からリスク管理室に話をするよう指示があった。これまで相談していない案件。今さらダメ出しされても困る。

細かい案件までリスク管理室に相談しないといけないのは面倒だし、色々言われたくない。

先ずはご連絡ください。限られた時間でのやり取りとなりますが、所見は必ず回答します。

リスク管理室は、決してダメなところを探し出して案件を否定する役割を担っているのではありません。是非一緒に知恵を絞って検討しましょう。

(インタビュー内容を元にBRIDGE編集部で作成)

 

 リスク管理室は必ずしも案件の要所を瞬時に理解できるわけではありませんが、主管部と一緒に考えながら所見の作成に取り組みます。勉強して知識を修得し、他の案件と横串を刺して考え方の平仄を取り、他のメンバーの知見・アイデアを吸収しながら、主管部と一緒にゴールに向かって進む「仲間」となることを目指しています。上述の通り、投融資案件の色々な検討段階に柔軟に参加させていただき、実力をつけていきたいと考えています。

 説明資料はまずはスキーム図一枚からでもOKですので、お気軽にご相談ください。

 

──業務において大事にしていることや気を付けていることについて教えてください。

 投融資審査においては「リスク・リターンの関係を適切に捉えて経営判断に繋げたい」という思いに尽きます。

 経営層は将来の東北電力グループの成長のために毎年資源配分の議論を行い、様々な案件に資金を振り向けているわけですが、投融資案件が収益を生み始めるまでの期間が長いため、その効果をすぐに実感するのは難しいところがあります。

 もしリスクを過小評価したり、あるいはリターンを過大評価したりして投資判断を続けたとしたら、会社は優先配分されなかった分野への投資機会を失うとともに、将来の利益も想定から外れていってしまうリスクを抱えることになります。そこで、リスク管理室がリスク・リターンの観点から投融資審査を行うことで、可能な限りリスクとリターンを適切に把握し経営判断に繋げられたらと考えています。そのために、リスクとリターンの大小にかかわらずいずれの投融資においても、少し立ち止まって「どこかに隠れたリスクはないか」と注意深く分析することが大事だと考えています。

 

 こう言うとリスク管理室のスタンスが「ダメ出し」のように思われるかもしれませんが決してそうではなく、主管部と課題認識を共有しながら、論点をクリアにして、いかに経営層に伝えるかといった点に留意しながら、主管部の説明を側面支援することも大切にしたいと考えています。

──リスク管理室は他業種での経験も含め、様々なバックグラウンドを持つメンバーが在籍していますね。

 専任メンバーが6人、グループ戦略部門との兼務が1人で計7人の体制です。

 総合商社の経理畑出身でその道40年弱、横浜での在宅勤務メインの者、考査室経験の発展系として内部統制業務を深める者、東北電力エナジートレーディング㈱の創設メンバーや年金運用の熟練者からなる市場リスク管理担当者、再エネやNWほか様々な業務経験を有する統合リスク管理の取りまとめ担当者、加えて、グループ戦略部門にて投資基準を担う者など、それぞれ異なる得意分野を有するメンバーが集まっています。

 所見の作成・取りまとめの際にはメンバー全員が知恵を出し合い、様々な角度から意見を言い合えることが大変重要です。そのため、リスク管理室との打ち合わせでは室長以下全員が参加することも多々ありますが、どうぞ遠慮されることなくお話しください(笑)

 

リスク管理室のメンバー。時計回りに左上から本名課長、大塩室長、岩井部長、金澤サブマネージャー(兼務)、酒井課長、大和田主査、叶さん

 

──室長は金融機関で30年のご経験がおありですが、当社事業や当社の社員を見て感じることはありますか。

 金融機関では投資銀行業務を中心に幅広く経験を積みました。特にストラクチャードファイナンスの分野では、第一線での案件組成と中間組織での審査、第一線支援の後方部隊として業務システムの開発・運用管理を担当しました。

 

 リスク管理室にいて感じるのは、「他部門に対する警戒心の強さ」ですね。金融機関では「審査担当を味方にして案件を通しに行く」というようなことも多くあったのですが、こちらでは別部門を巻き込もうとすることはまだまだ少ないですし、東北電力社員のやや奥ゆかしい気質も相まってか、情報展開のテンポもややゆっくりで、主張の出し方も控えめで大人しい印象があります。リスク管理室は金融機関の審査部門とは異なり、投融資案件の採否を決定する権限は持っていません。ですのでお互いもっと構えずに、主張を出し合って協働できるような関係になれたらよいと思っています。

 

 また指摘されたリスクに対して、「必ず解消しないといけない」と受け止めておられる方も多いように感じます。「適切なリスク認識に基づき稼ぐ会社」を目指して、そのような意識がもっと社内に浸透するよう、当室としても努力していきたいと思います。

 

 「東京から同じくらい離れた地方同士は似ている」と言いますが、九州生まれの私としては東北・新潟の皆さんともっと共通点を見つけたいなと思いながら、日々の業務に取組んでおります。

──リスク管理室の業務における魅力や、今後の力点について教えてください。

 リスク管理室の業務の魅力は一言で言えば「ずっと最新の案件に携わることができる」ということですね。

 東北電力グループが手掛ける新規事業投資に対して、第三者的な立場からではありますが、所見の作成を通じて主管部の取り組み状況を間近に感じることができます。審査業務の中でリスクの見方やリスク・リターンの見極めのノウハウを身に着けることができれば、いずれは第一線で案件の組成や開発の際に大いに役立つと思います。リスク管理室は様々なキャリアパスが開ける業務を経験できる、魅力的な職場です。

 ご関心のある方は是非一緒に働きましょう!

 

 

イイね!
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