
夢洲(ゆめしま)への道のり
BRIDGE探検隊は空路で大阪へ向かいました。
仙台国際空港から大阪国際空港(伊丹空港)へのフライトは1時間半ほど。あっという間の到着です。
- 雨がパラつく仙台を離れ、いざ伊丹空港へ
- 伊丹空港は快晴。「JALミャクミャクJET」の姿も
空港から万博会場までは鉄道による移動も可能ですが、早くて便利なのは直通の高速バス(要事前予約)。空港から直接会場へ向かうことができるだけでなく、比較的空いている西ゲートが到着先であることもポイント。ちなみに東ゲートはメインルートである地下鉄などで来場する人向けで、電力館もその近くにあります。
- 専用のバス乗り場
- 料金は1,800円
バスに揺られて約50分、BRIDGE探検隊は会場がある夢洲に到着しました。
- 人もまばらな正午の西ゲート
- ゲート前に掲揚されていた“万国”旗
万博会場の様子
西ゲートをくぐり、会場に到着。早速見えてきたのは公式キャラクター「ミャクミャク」像。

多くの人がミャクミャクとの2ショットを撮影していた
- マカプゥとミャクミャク、奇跡の共演?
- 近くにはソーラーパネルを装備した実物大ガンダム像も
ちなみにこの日(5月20日)、大阪府の最高気温は28.7℃。会場は海風こそありますが、一方で照り付ける日差しから身を守ってくれる遮蔽物は多くありません。
- ランチタイムということもあり日陰は人でいっぱい
- 会場の各所にある給水機。どこも列ができていた
そのような会場において大きな日陰となっているのが、全周約2kmの「大屋根リング」。伝統的な貫(ぬき)接合に、現代の工法を加えて建築され、「多様でありながら、ひとつ」という会場デザインの理念を表す大阪・関西万博会場のシンボルです。リングの内側には公式参加国によるすべての海外パビリオンを配置、その外側をホスト国である日本のパビリオンが囲み、リングによって世界がひとつになることを表現しています。
建物が複雑に配置された場内においては歩きやすい通路としても機能し、また高さ約12mのスカイウォークに上れば、会場の内外、瀬戸内海や関西の街並みを一望することもできます。
- 来場者を日差しや雨風から守る大屋根リング
- 柱に記された番号をマップと照らし合わせることで自分の現在地が分かる仕掛けも
- 日差しが和らいだ夕方、BRIDGE探検隊もスカイウォークへ
- スカイウォークでは多くの人が眺望を楽しんでいた
「電力館 可能性のタマゴたち」を体験レポート
入場した西ゲートの反対側、東ゲートに向かって歩いていくと見えてくるタマゴ型の建物が、電気事業連合会の出展するパビリオン「電力館 可能性のタマゴたち」。

到着した我々を笑顔で迎えてくれたのは嶋田 恵子さん。電気事業連合会の大阪・関西万博推進室に出向している、東北電力の社員です。
(参考記事:2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開幕直前! ~万博推進室出向者へのインタビュー~|東北電力社内報 デジタルBRIDGE (tohoku-epco.co.jp))

嶋田 恵子さん
電力館の出展意義について、嶋田さんが説明してくれました。
「電力館は、2050年カーボンニュートラルのさらにその先を見据え、社会の基盤を支える電力業界ならではの視点で未来社会やエネルギーの可能性を描きます。自然の力を利用したエネルギーや身近にあるエネルギー、実用化の途中にある技術など、未来社会を支える可能性をもつ様々なエネルギーについて楽しく学ぶことができるパビリオンです。
国内外から約2,820万人の来場が想定される万博へ出展することは、私たち電力業界が目指すカーボンニュートラルの世界観を広く発信する貴重な機会です。電力館の体験を通じて、特に子どもたちが、普段意識することの少ないエネルギーに興味をもち、身近にある『可能性のタマゴ』を探し、集め、育てていくことの大切さを知ってもらえればうれしく思います」
電力館の入り口に向かいながら嶋田さんは続けます。
「建物の表面は多面体で構成するシルバーの膜構造のため、様々な角度から光を取り込み、天候や時間帯によって多様に見え方が変化するのが特長です。構内は、北陸電力開発のインターロッキングブロックで舗装しています。これは、大量廃棄が課題の太陽光パネルのガラスと、フライアッシュ(火力発電所で石炭を燃やした後に採取される微粉末の灰)をコンクリートに混合することで、一般的にガラスとコンクリートを混合した際に起こる劣化現象を抑え、強度を保つ工夫がされています。さらに、建物を解体した後は、シルバーの不燃膜材は防災テントや防災リュックへリユースすることなども検討しており、閉幕後も見据えた資源循環、環境配慮の取り組みを行っています」
- 電力館入り口。事前予約が必要なこともあり目立った混雑はなく、修学旅行の学生などが集まっていた
- いざ入館!
入り口をくぐった我々が最初に手にしたのはタマゴ型デバイス「可能性のタマゴ」(以下タマゴ)。
電力館の来館者はこのタマゴを一人ひとつ持ち、館内を巡り様々な体験をします。
- まずは、体験をともにするタマゴを選ぶ
- タマゴの外装プラスチックには廃材である卵の殻やホタテの貝殻が使用されている
プレショーでこれからの体験とタマゴについての説明を受け、「可能性エリア」に進んだ我々。
ここでは未来社会を支える可能性をもつさまざまなエネルギーに関する体験型の展示があり、来館者は自由に各ブースを巡りながらエネルギーについて学ぶことができます。各ブースにタマゴを置いて体験スタート。展示内容や体験に応じて光ったり振動したりして、その将来性やパワーを感じ取ることができます。
この日は学生を含め幅広い年代の来館者でにぎわっていました。
- 約30の展示体験がある可能性エリア
- タマゴが反応する様子
- 無線給電をモチーフにしたシューティングゲーム。離れたところから電気を送って、自動車やロボットを動かす
- 原子核に見立てた、赤と青に光る球を手でくっつけて大きなエネルギーに。核融合の原理も体験できる
- 振動力発電をモチーフにしたゲーム。「だるまさんがころんだ」の要領で、キャラクターに見つからないようにドタバタ動いてエネルギーを蓄える
- 水に浮かぶ再エネアイコンをタッチ。発生させた水素を中央に送り、車や船などを動かす。水素エネルギー活用のプロセス「つくる・はこぶ・つかう」を表現したもの
一通り体験したら、振り返りの映像を視聴した後「輝きエリア」へ。
このエリアで展開されるのは、空間いっぱいの光と音がタマゴと連動するイマーシブショー。思わず見とれてしまうような幻想的な表現が参加者の目と耳を満たします。
- ショーに合わせて手元のタマゴが光ってふるえる
- 参加者の頭上に「いのちの輝き」を表現するショーが展開される
先に進んで自分が集めたエネルギーの可能性の数を再確認したら、タマゴとはお別れ。嶋田さんいわく、タマゴを手放すのが嫌で泣いてしまう小さな子どももいるのだとか。
最後のエリアでは、「可能性エリア」で体験したエネルギーや技術をパネルや実物展示で解説。展示体験の際は説明を最小限にして楽しむことに重きを置いて、最後のこのエリアで学びも持ち帰ることができるようにしているそう。
これで電力館の見学は終了。このように電力館はタマゴの仕掛けを始めとした多くの工夫があり、驚いたり楽しんだりしながら遊ぶうちに、誰もが自然と「エネルギーの可能性」を感じることができるようになっていました。
取材の最後に、嶋田さんからBRIDGE読者へのメッセージをいただきました。
| 万博は、各国が自国の文化や技術でアピールする場というイメージがあるかもしれませんが、先端技術の交流、次世代の才能やアイディアの創造・発信、ビジネスコミュニケーションの場であり、皆で課題解決を考える場です。コンセプト「未来社会の実験場」のとおり、会場には、未来の食やヘルスケア、スマートモビリティ、デジタル技術など、Society 5.0の姿の一端が散りばめられています。 その場の空気感や、直接見て、触れることの体験価値の高さはなかなか代替の効かないもの。日本でこのような大規模な万博が開催されるのは少なくとも数十年後とも言われています。変化のなかで新たな視点や柔軟な発想が求められる東北電力グループの事業にも、ヒントになるものがあるかもしれません。この貴重な機会にぜひ足を運んでいただければと思います。 |
万博会場と電力館の様子を動画でどうぞ!
その他、見学したパビリオンなど
今回の万博には世界から158の国と地域が参加し、180を超えるパビリオンが出展され、国際的な技術・文化・社会課題への取り組みを一堂に体験できる場となっています。
限られた時間の中ではありましたが、BRIDGE探検隊も事前予約が不要のパビリオンをいくつか訪問しました。
以下にご紹介します。
1.サウジアラビア館
電力館の案内をしてくれた嶋田さん一押しのパビリオンがここ。
サウジアラビアは2030年に開かれる次回万博の開催地ということもあり、日本館に次ぐ第2位の規模を誇るパビリオンは併設のショップやカフェの内容も充実。文化の伝承や地球環境に対する取り組みが熱量をもって伝わってきました。
- パビリオンは現地の石材や素材で造られた複数の建物から構成される。現地の市場「スーク」を思わせる、迷路のような構造
- 館内はサウジアラビアの過去・現在・未来をテーマにしたイマーシブギャラリー
- サウジアラビアの未来都市構想「NEOM(ネオム)」実現への紹介も
- パビリオン併設のカフェ
- サウジコーヒー。カルダモンやスパイスを加えて煮出したコーヒーの上澄みで、漢方のような味わい。添えられるデーツ(ナツメヤシの実)の甘みとよく合う
- マンディ・サンドイッチ。ラム肉にデーツ、玉ねぎ、ルッコラを添え、フォカッチャで包んだもの。独特なスパイスが効いている
2.コモンズA
これは海外パビリオンの一種で、複数の国や地域が共同で出展しているスペースです。大阪・関西万博のコモンズはAからFまであり、BRIDGE探検隊が訪れたのはその中でも最も多い29の出展ブースを持つ「コモンズA」です。
このパビリオンにはガーナやルワンダ、バヌアツやパプアニューギニアなどの出展があり、どのブースも特産品や民族的な展示など特色あるものでした。
- コモンズAは、カヌレパフェやコーヒーなどのグルメも人気
- 広い内部には出展ブースが所狭しと並ぶ
- トンガの伝統的な樹皮布に絵や模様が施されたもの
- 時にはこんな表示も
- 現地の商人と値引き交渉ができる物販コーナーも話題
3.アゼルバイジャン館
入場待ちの列が比較的短かったので入ってみることにしたアゼルバイジャン館。パビリオン入口は美しいアーチ状の骨格で構成され、内部の映像ホールには国の文化や取り組みを紹介する360度映像が流れていました。
- ステンドグラス「シャバカ」をモチーフに装飾されたパビリオン入口
- 360度の映像ホール
- テーマは「持続可能性のための7つの橋」
- 併設のカフェ(ワイン以外全て売り切れでした)
4.マレーシア館(レストランのみ利用)
昼食時間帯はどこのカフェも長蛇の列。そんな中、BRIDGE探検隊の前に現れたのがマレーシア館の周辺で美味しそうなお弁当を食べている人達の賑わい。見るとパビリオン内にお弁当などを販売しているカフェがあり、少し並べばお弁当にありつけそうです。
時計を見ると既に14時近く、すっかり空腹だった我々は一目散に飛び込んだのでした。
- 設計は隈研吾氏。伝統織物をモチーフに、5,000本超の竹を編み込んでいる
- レストランのメニュー(クリックして拡大)
- 郷土料理ナシ ラマ。ココナッツミルクで炊いた米に添えられているのは、韓国料理のコチュジャンに似たやや辛いサンバルソース
- 焼き飯ナシゴレン カンポン。カンポンは「田舎」を意味するマレー語
ご紹介の通りBRIDGE探検隊は電力館以外にもいくつかのパビリオンを見学しましたが、どこも魅力的で、これまであまり知らなかった国や地域のことを知り、考えるきっかけになりました。
出展している国々の経済規模や文化はそれぞれに異なりますが、どの展示も共通して大きく扱っていたのは「地球規模の課題」への挑戦。国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」達成への貢献という、万博がめざす目的との一体感を強く感じました。
以上、BRIDGE探検隊でした!

