
土木学会「技術賞」・地盤工学会「技術業績賞」・土木学会東北支部「総合技術賞」とは?
土木学会「技術賞」、地盤工学会「技術業績賞」はそれぞれの分野で優れた技術が活用されたプロジェクトを対象とし、土木工学および地盤工学の技術や社会の発展に大きく寄与した画期的なプロジェクトまたは個別技術に授与されるものです。過去には国土交通省や道路事業者、大手ゼネコンなどが関連する大規模かつ困難な工事が受賞しており、非常に栄誉ある賞とされています。
東北電力が土木学会「技術賞」・地盤工学会「技術業績賞」を受賞するのは今回が初めてとなります。
また、土木学会東北支部「総合技術賞」は東北地方の土木技術の発展に寄与する著しい業績や、同支部会員が関与した優れた構造物や施設に対して授与される賞です。
今回受賞した構造物は、10年以上にわたる工事を経て完成したもので、その間に携わった多くの関係者の努力の結晶です。今回の賞は社外からも東北電力の技術力が高く評価されたことを証明するものです。
令和6年度 土木学会「技術賞」・地盤工学会「技術業績賞」・土木学会東北支部「総合技術賞」を受賞! ~受賞概要の紹介~
【土木学会「技術賞」・地盤工学会「技術業績賞」 事業名:女川原子力発電所防潮堤かさ上げ工事】
東日本大震災の震源地に最も近接した原子力発電所である女川原子力発電所は、震災では震度6弱の地震と高さ約13.0mの津波に見舞われました。発電所は深刻な被害こそ受けませんでしたが、東北電力は原子力発電所と立地地域のさらなる安全性向上のため、高さ29.0m、総延長800mの防潮堤を建設することにしました。
防潮堤は東日本大震災で得られた最新の知見を踏まえつつ、さらに過酷な条件でも安全を確保できるよう、最大加速度1000ガルの設計用地震動と、高さ25mの設計用津波を用いて設計されています。加えて防潮堤は津波漂流物(船舶・車両など)の衝突や、地盤液状化の影響も考慮してあり、その安全性は原子力規制委員会の厳しい審査でも確認されています。
実際の工事においては津波に対する女川原子力発電所の安全を早期に確保するために、延長800mにもなる大規模構造物を短期間でかつ高精度に施工する必要があったことや、審査での議論を踏まえた構造変更(当初設計よりもさらに安全性を向上させるための追加補強)を工事途中で加えたことなどにより、多くの困難が伴いました。一部取り壊しての再構築や、通常とは全く逆の手順での施工(地盤の改良が杭の施工後に行われる)など、非常に難易度の高い工事になりましたが、東北電力では試験施工での確認や仮設材の開発により実現性の高い施工計画を立案し、品質・安全を確保しながら工期短縮も達成して完成に至りました。

(左)着工時の計画
(右)審査結果を踏まえたさらなる安全性向上
-
地盤工学会賞授与式における受賞プレゼンの様子
(土木建築部(土木建築業務) 尾崎部部長)
-
土木学会表彰式の様子
(中央左側:土木建築部 尾形部長 中央右側:土木学会 佐々木会長)
【土木学会東北支部「総合技術賞」 事業名:女川原子力発電所復水器冷却施設安全対策工事】
取水路などの耐震補強と津波対策を実施したもの。耐震補強としては地震時に水路などの構造物に作用する荷重を低減するための地盤改良や、構造物の増し厚やあと施工せん断補強筋※による補強が行われ、津波対策としては防潮堤の地下に埋設された水路を通じて津波が敷地内に湧きあがることを防ぐため、防潮堤内側の開口部を取り囲む防潮壁(高さ5~6m)を新設しました。
実際の工事に当たっては原子炉冷却用の海水を確保するために常にいずれかの水路は通水状態を維持しなければならなかったことや、あと施工せん断補強筋は合計16万本も施工しなければならなかったこと、厳しい工程の中で高品質・高精度な施工が必要とされたこと、狭い場所での施工だったことなど多くの課題がありました。これら課題に対し東北電力では振動が小さい施工方法の採用や、工事現場にデータを映し出すMR技術(Mixed Reality、複合現実)の採用、防潮壁支柱を精度よく建て込む工法の考案、開口部も作業ヤードとして有効利用するための構台の設置などを行い課題を克服し、加えて積極的に工期短縮と費用低減にも挑戦しながら、完成に至りました。
※既存構造物の表面から削孔を行い、その孔内に補強筋を挿入し、グラウト材で固定させ、構造躯体と一体化させることで、耐力を向上させるもの。

防潮壁の概要
-
MR技術を用いた位置出し作業状況
(現地の施工面に設計図面をディスプレイ越しに映し出す技術)
- あと施工せん断補強 施工状況

総会における受賞プレゼンの様子
(女川原子力発電所 土木建築部(土木) 阿部 俊逸さん)
土木学会、地盤工学会および土木学会東北支部からは東北電力の自然災害に係る最新の科学的知見に基づいた原子力発電所の安全向上の取り組みや、課題克服に向けた工夫、技術開発が、社会や技術の発展にも寄与したものとして高く評価され、今回の受賞に至りました。
土木建築部では今回の受賞を励みに,今後も各種の取り組みを続けていくこととしています。
(参考)
-東北電力が「土木学会賞」「地盤工学会賞」を初受賞- 女川原子力発電所防潮堤かさ上げ工事 ~国内最高水準・海抜約29mの防潮堤が高評価~ | 東北電力 (tohoku-epco.co.jp)
公益社団法人土木学会 令和6年度土木学会受賞一覧 説明動画(YouTube)