■能代・塩釜電力センター■配電事業を取り巻く課題ならびに意見交換会を開催

 能代電力センター(所長 神田 友成)と塩釜電力センター(所長 志摩 修)は、電力中央研究所社会経済研究所(以下:電中研)から6名の研究員を招き、配電事業と関係の深い研究・調査の成果に関する講演と意見交換会を実施しました。

2つの電力センターをTV会議システムで接続

 電気事業制度改革により、配電事業を取り巻く環境が大きく変化する中、所員の意識やモチベーションの向上、部門ルールに縛られない自由な発想、自らの行動を変容する機会の醸成などを目的に開催。電中研からは、能代電力センターに澤部まどか上席研究員ほか2名、塩釜電力センターには後藤久典上席研究員ほか2名が来所し、両事業所をTV会議システムで接続し、2つのテーマについて議論しました。

 

塩釜電力センター会場の様子(スクリーンの先は能代電力センター会場)

 

レベニューキャップの特徴を踏まえた対応策

 澤部上席研究員と田中主任研究員より、日本におけるレベニューキャップ制度導入の背景やCAPEX(資本的支出)単価の統計的査定結果および国内他社との比較による東北電力ネットワーク(以下:東北電力NW)の特徴などについて説明があり、以下の論点で意見交換を行いました。

 

①レベニューキャップ制度について

・第1規制期間の制度設計(2021年)当時は物価上昇がほとんどなかったため制度に反映されていない

・設備関連費は運営費よりも各送配電事業者の地理的条件の影響を受けやすい特徴がある

・足元で金利が上昇しているため、事業報酬率の算定に使用する公社債利回りと乖離が生じている

 

②査定結果の全社比較による東北電力NWの特徴について

・東北電力NWにおいて統計的査定による工事費の査定額は、大きい順に「高圧線」、「地中ケーブル」となっているが、高コストの要因として何が考えられるか

 

③第2規制期間に向けた実行可能な打ち手について

・統計的査定において、査定額が大きかった項目の実費用を下げるためにどのような手段が考えられるか

・査定を回避するための説明ぶりまたは説明変数として、東北電力NW固有の要因(寒冷地特有のコスト増など)はあるか

 

能代電力センター会場:(左から2人目より)澤部まどか上席研究員、田中拓朗主任研究員、辻井佑樹主任研究員

 

電力会社に対する地域からの期待

 後藤上席研究員より、電力インフラ整備に関するアンケート調査の結果について説明があり、電力の安定供給や身近な暮らしを支えるインフラ事業者として、地域から期待されることや今後の地域とのかかわりについて、以下の論点で意見交換を行いました。

 

①災害激甚化よるインフラ被害への住民の懸念は高いものの、“今より負担が増えても、現状の安定供給を維持してほしい”は必ずしも許容されていない(特に東北は、許容しない割合が高い)というアンケート結果が出ているなか、

・現状の安定供給の品質を維持できるのか

・分散型技術と集中型ネットワークインフラとの共存は可能か

・デジタル技術やロボットなど新たな技術の活用余地はあるか

 

②インフラ維持に対する危機感は、他地域に比べて東北地域は高い傾向にある。経営資源が限られるなか、インフラの維持には、従来の供給者と需要者という立場・役割を越え、自治体や住民と協力していく必要があるのではないか(好事例:電柱聖戦)
 また、普段インフラサービスの大切さを意識する機会が少ないなかで、

・住民にいかに関心を持ってもらうか、そしてどのように参加を促していくか

・電気事業の経験やスキルを生かし、逆に住民に協力できる領域はあるか

 

塩釜電力センター会場:(左から)後藤久典上席研究員、古澤健上席研究員、今井龍之介研究員

 

参加者からの声

 

能代電力センター
津幡達也さん

 

 レベニューキャップ制度については、各種数値目標の達成に向けて日々の業務を通じて取り組んでおりますが、今回の意見交換会を通じて制度設計の仕組みをより深く理解することができました。

 また、重回帰分析のパートでは、今後私たちが目指すべき方向性や、過疎地域と都市地域の格差を是正する可能性のある変数について意見交換を行うことができ、非常に有意義な時間となりました。

塩釜電力センター
佐藤淳一副長

 

 電力センターと地域との関係の重要性は十分理解しています。しかし、電力センターも人員数が削減されるなかで、これまでと同様の活動を維持していくことはなかなか困難と感じていました。

 一方、地域も人口減少が進んでいくなかでは、我々と住民が協力して、足りないところを補い合わないと持続不可能という話を聞いて、腹落ちしました。この意見交換を通じて、今後どのような協力関係を構築できるのか模索していく必要があると強く感じました。

 

 

イイね!
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