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データセンター建設の現場から①~ユアテック~
ユアテックでは、データセンターの電気・機械設備工事を収益拡大の柱の1つとして位置付けています。データセンター工事の特徴や、事業に対する期待について伺いました。
通常の工事とは異なる対応も。現場で知見を蓄える

ユアテック 空調管設備課古屋 敏宏 専門課長
──どのような工事を担当されていますか。
東京都多摩市に建設中の、地上4階建てのデータセンターで、機械※設備工事を行っています。
※空調、給排水、消火設備など
- 建設中のデータセンター
- データセンターの内部。これから空調機器が設置されるとのこと
──建物の設計や工事における特徴を教えてください。
データセンターは運開後、24時間365日稼働を続ける施設なので、稼働したままメンテナンスできるような特殊な設計になっています。また、このデータセンターは合計10MWのITインフラが設置される予定で、それだけの設備が万一にも止まらないように、電源回線は内外に多くの予備回線を持っていることも大きな特徴です。
また、このデータセンターにITインフラを設置して利用するのは、所有者とは別の事業者だと聞いています。そのためか、施工後には通常の検査に加えて、「コミッショニング」と呼ばれる、第三者による細かな品質の確認があります。こういった確認に対する書類の作成などが、通常の工事と異なるところです。
他の建物工事とは異なり、慣れない部分も多いですが、確実な施工管理で高い施工品質を保ちつつ、データセンター設備工事特有のノウハウを着実に蓄えていきたいと思います。
データセンター関連工事は成長分野。技術力に磨きをかけ「地元誘致」に備える

ユアテック 三浦 康二 取締役専務執行役員営業本部長
──ユアテックにおけるデータセンター関連工事の位置づけを教えてください。
データセンター関連工事はDXなどを通じた社会課題の解決に貢献できるだけでなく、建設費に占める設備費の割合が高く、さらに将来的に市場規模が拡大することが期待できる分野です。そのため、ユアテックではデータセンター関連工事を、中期経営計画の5つの基本戦略のうちの1つである「成長分野への展開加速による更なる事業規模の拡大」の柱として位置付けています。
それを踏まえ、私が担当している営業本部ではデータセンター関連工事の受注拡大を重点施策の1つとして、力を入れています。
──既にいくつかの工事が進行していますが、得られた知見があれば教えてください。
例えば空調の機器について、一般工事ではユアテックで発注することが多いのですが、データセンター工事では、海外製の扱い慣れていない機器が発注者の得意先などから支給されることがあります。また、データセンターの運営者が外資系企業だと意思決定が非常に早く、ユアテックもそれに応じた素早い対応が求められます。
加えて、建物所有者とデータセンターの運営者が異なる場合だと、建設計画の進み方が少し特殊です。まずデータセンターの運営者のニーズがあって、それを基に建物所有者がデータセンターの仕様や工事計画を決定し、次に情報の入出力をつかさどる通信事業者を中心とした多くの企業で各工事を分担していく…という流れになることが多く、データセンターの運営者や通信事業者の存在感が大きいのが特徴です。そのため、ユアテックはデータセンターの運営者や通信事業者とも綿密に連携し、計画段階における存在感を高め、より広範囲の工事に携われることを目指しています。こうした取り組みにより、今後も技術力に磨きをかけて、将来、東北・新潟地域にデータセンターが来た時に備えたいと思います。
データセンター建設の現場から②~東北発電工業~
東北発電工業では、データセンターへの非常用発電機の設置工事を行っています。工事への思いや、事業における位置づけを伺いました。
新たな業務でスキルアップ。社内の先駆者として

東北発電工業 東京支店工事グループ 佐藤 順 主査
──どのような工事を担当されていますか。
千葉県内に建設中の、地上4階建てのデータセンターで、非常用発電機の設置工事を行っています。
具体的には、ガスタービン発電機を、同数の重油タンクと共に設置する工事です。
──普段の工事と異なるところはありますか。
今回の発電機は、建物自体の大きさと比較すると規模の大きなものです。また千葉県での工事ということで、協力会社さんなども初めてのところばかりです。
コミュニケーションを大切にして、円滑に工事を進めていきたいと思います。
──データセンターの工事は社内でも珍しい経験だと思います。どのような思いで携わっていますか。
私は入社以来一貫して原子力発電所の計器関連のメンテナンスをしていましたが、新しい業務でスキルアップしたいと思い、異動を希望して東京支店へ配属されました。こちらでは機械関係の工事や建設工事などを勉強しており、今回のデータセンター工事でも多くのことを学びたいと思っています。
工事が完了したら、工事をした中での気づきや学んだことなどを社内に共有できたらと思っています。
グループ外事業の拡大の柱としての期待

東北発電工業営業部 吉峯 英一 課長(左)畑中 公昭 課長(右)
──東北発電工業におけるデータセンター関連事業の位置づけを教えてください。
東北発電工業は東北電力グループ外における売上100億円を、遅くとも2035年度までに達成することを目標として掲げています。東北発電工業はこの目標を達成するために、既存顧客のニーズの深掘り、新規顧客の開拓、ボイラソリューション※による受注拡大に加え、売上高の拡大が期待でき、かつ東北発電工業が強みを生かせる分野である「特別高圧受電設備」「系統用蓄電池」「非常用発電設備」の3分野については、重点的に営業活動を展開しています。データセンターはこのうち「非常用発電設備」分野における柱として大いに期待しています。(畑中課長)
※火力発電設備の石炭ボイラなどで、燃焼灰の付着や高温腐食を分析・評価し、低減するソリューション
──目標達成に向け、どのような取り組みを展開していますか。
従来は工事のみで受注していたような案件について、EPC受注※することを目指しています。中でも非常用発電設備は、メーカーと販売店契約を結び、データセンターなどの大型案件に対して計画段階から早期に情報収集を行い、案件に参画できるよう、体制整備に力を入れています。(吉峯課長)
※:EPC受注:設計(Engineering)、調達(Procurement)、施工(Constrction)を一括して請け負う事業形態のこと
誘致の現場から~東北電力 法人営業部~
最後に、東北・新潟地域における大型のデータセンター建設の可能性について、東北電力法人営業部(営業1)データセンタータスクチーム(以下タスクチーム)の佐藤 真悟 副長に再び伺いました。

東北電力法人営業部(営業1)データセンタータスクチーム 佐藤 真悟 副長
──タスクチームが展開している取り組みを教えてください。
昨年7月に立ち上げたこの専任チームでは、データセンターの東北・新潟地域への誘致に向けて、データセンターの建設を検討している事業者などに具体的な候補地の紹介をしたり、データセンターの誘致を目指す自治体と連携して、施策を展開したりしています。またグループ各社とも連携しており、東北・新潟地域に限らず、各社がキャッチした案件をグループ内で共有し、ニーズのある事業者への紹介などにもつなげています。
最近の大きな動きとしては、経済産業省がデータセンターなどの適地を公募して採択する「GX戦略地域制度」があります。まだ有望地域という段階ですが、東北においても2つの地域が有望地域に選定されており、東北・新潟地域におけるデータセンター誘致活動への追い風となることが期待されます。

タスクチームの打ち合わせ風景
──データセンターの適地の条件や、建設上のポイントを教えてください。
データセンターは昼夜を問わずに多くのデータを処理するため、一般的な商店や工場と比較すると、電気の契約容量は非常に大きく、また負荷率も高いのが特徴です。ですので、適地の条件としては、アクセスの良さや土地の広さだけでなく、系統における空き容量が重要なポイントとなります。そのほか、大型のデータセンターは地域住民から「用途が見えにくい無機質な巨大施設」と捉えられ、首都圏などでは建設反対運動が起こっているケースもあり、事業者には事前の丁寧な説明などが求められています。
──東北・新潟地域にデータセンターができることによる意義を教えてください。
東北電力グループにおいては、大きな需要が新たに生まれることで、電気料金や託送料金による収入が期待できます。電力供給に加え、再エネやエネマネ、通信や設備工事など、データセンター事業者のニーズに応じて当社グループの幅広い事業機会が期待されます。
また、自治体においては、固定資産税による収入増加や、雇用創出が期待できます。
さらに、地域におけるエネルギー需給の観点では、24時間365日稼働するデータセンターの需要特性は、例えばゴールデンウイークのような、工場やオフィスが稼働しない時期における再生可能エネルギーの有効活用につながり、出力制御の減少や、エネルギーの地産地消へ寄与することが期待できます。
現在、事業者がデータセンター建設を検討する際には、日本のデータセンターが集中している関東圏と関西圏が候補に挙がることが多いですが,最近はAI向けのデータセンターでエリアにこだわらずに候補地を探す動きも出てきています。今後もさまざまな施策を展開し、まずは東北・新潟地域を関東圏と関西圏に並ぶ選択肢として検討してもらえることを目標に、取り組んでまいります。

タスクチームのメンバー。左から竹内 進 課長、佐藤 真悟 副長、木村 政希 課長、樋野 洋平 副長
【取材を終えて】ニュースなどでよく耳にする「データセンター」ですが、取材を進めるうちに分かったのは、データセンターと一口に言っても実にさまざまなものがあるということでした。一見すると倉庫のような大型のものだけでなく、コンテナサイズの小型のものもあり、あるいはビルの中にテナントとして入居するタイプもあること。また所有者が自らサーバを運用するのは全体の一部で、利用者にスペースを貸し出す形態も多く、更には計算能力のみ貸し出すようなサービスも増えつつあること。規模や用途、サービスの形態はさまざまですが、いずれにも共通していたのは「サービスの品質に加え、災害や不法侵入への強固な耐性も求められる」といった要素で、東北電力グループが強みを持つ分野だと感じました。日本政策投資銀行「東北地域におけるデータセンター適地性についての調査」によれば、東北は北海道や九州と並ぶ適地性を有し、さらに大都市との距離や地価の水準、冷涼な気候などで強みがあるとのこと。将来のデータセンター需要に期待です!(佐々木達彦) |