
生成AIの特徴とは
まずは、生成AIの得意・不得意や、業務で使う際のポイントについて、東北電力DX推進部(AIソリューション)の吉田 和樹 さんに伺いました。

DX推進部(AIソリューション)吉田 和樹 さん
──そもそも、生成AIとはどういうものを指すのでしょうか。
生成AIは、大量のデータを学習し、文章の作成や要約、情報整理、アイデア出しなどを支援する技術です。近年急速に精度が向上し、業務のさまざまな場面で活用が広がっています。
東北電力グループで導入されている生成AIとしては、対話型の「Copilot」があります。また、東北電力では規程基準他を対象とした文書検索AIや、会議議事録作成を支援する音声文字起こしAIも導入されています。さらに、資料作成AIの試行を進めており、全社への展開を検討しています。
──生成AIが得意とする分野は何ですか。
生成AIは、情報を短時間で整理したり、文章のたたき台を作ったりすることを得意としています。例えば、資料作成に向けて類似事例を調べ、成功要因や押さえるべきポイントを整理したり、読み手に合わせた構成案や説明ストーリーを作成したりする場面では大きな力を発揮します。
一方で、倫理面への配慮や複雑な利害調整を踏まえた最終判断は苦手です。生成AIが示した対応方針をそのまま採用するのではなく、あくまでも選択肢を広げるための補助役として使うことが大切です。

──生成AIを業務で活用する上で、注意すべき事柄はありますか。
生成AIは便利な一方で、入力データや生成物の扱いによっては、法令違反や権利侵害につながるおそれがあるなど特有のリスクもあります。そこで、東北電力グループとしての基本姿勢を明確化することを目的に4月に「東北電力グループAI基本方針」を策定し、公表しました。現在は、AIに係る国内・海外の動向を踏まえ、AIガバナンスの確立を目指しているところです。
活用にあたっては、これら最新の情報をよく確認したうえで利用することが重要です。
──Copilotが導入されてから間もなく2年になります。どのぐらいの社員が利用しているのでしょうか。
月間の利用者数で見ると、東北電力と東北電力ネットワーク社員の約半数が利用していることが分かっています。さらに、部門によっては、Copilot以外にも独自のAI施策を展開している部門もあるため、AIに触れている社員という意味ではそれ以上になると考えられます。先に述べたとおり、生成AIには得意、不得意があるので、あらゆる部門や業務で同じように活用できるわけではないのですが、それでも、もっと多くの社員の方々に使ってほしいと思っています。
──生成AIの更なる活用推進に向けた取り組みを教えてください。
DX推進部では昨年度、各部門や職場での生成AI活用事例を広く共有し、生成AIの活用による業務変革を推進することを目的に、東北電力と東北電力ネットワークを対象にした「生成AIコンテスト」を開催しました。応募総数は505件に及び、DX推進部では思ってもみなかったような使い方をされている方もいました。生成AIの活用実態把握のみならず、それぞれの現場における課題や困りごともうかがい知ることでき、得るものの多いコンテストとなりました。
現在は、応募された内容のうち、効果や有用性の高いものについて、Copilotを用いたAIエージェント(Copilotエージェント)の形で再構築し、だれでも使える形で展開することを検討しています。
コンテストは今年度も開催する予定ですので、東北電力と東北電力ネットワーク社員の皆さんにはぜひ奮って応募いただきたいです。
また、東北電力グループ全体に対しての取り組みとしては、ポータルにCopilot特設ページを設け、活用方法などを掲載し、グループ企業における生成AI活用を推進しています。
業務における生成AI活用例
業務において実際に生成AIを活用している社員に、活用している場面や活用の効果を伺いました。
橋渡し業務で生成AIを活用。ポジティブな効果は関係箇所へも
支社配電では、本社配電部と電力センターの間に立ち、通知や依頼、照会をつなぐ業務が多くあります。私は、そのやり取りの整理にCopilotを活用しています。具体的には、本社からの通知や依頼、電力センターからの意見や照会をCopilotで整理し、相手に伝わりやすい文章に整えて共有しています。定型的な処理は「Copilotエージェント」を活用し、文面を貼り付けるだけで整理できるようにしています。Copilotを活用したことで、自分で文章を読み解く時間を削減できただけでなく、言葉不足による問い合わせの減少にもつながりました。支社配電は災害などの際、すみやかに電力センターなどへ出向き、現場と一体になって対応にあたる役割を担っています。定型業務の効率化を進めることで、非常時にもより円滑に対応できる体制づくりに貢献したいと考えています。 |
研修をきっかけにAIを活用。業務への戸惑いも生成AIで解決![]() 東北電力リビング営業部(カスタマーセンター料金2)遠藤 郁子 さん リビング営業部では、カスタマーセンター料金関係業務の分掌最適化に向け、盛岡オフィスが担っていた一部業務について、料金2Gへの移管を進めています。
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新たなAI「エージェント型」とは
現場での活用が広がる一方で、生成AIは次の段階にも進みつつあります。今後の展望について、DX推進部(AIソリューション)の長岡 優斗 さんに伺いました。

DX推進部(AIソリューション)長岡 優斗 さん
──生成AI活用の推進に向けて、新たな動きはありますか。
「エージェント型AI」と呼ばれる、特定の業務目標の達成に向けて自律的にタスクを実行するAIシステムの導入を推進しています。
Copilotのような対話型の生成AIが「ユーザーの質問や指示に応じて回答する」のに対し、エージェント型AIは、与えられた目標に向けて自ら必要な作業を計画・整理し、自律的にそれぞれの処理に特化したエージェントを組み合わせて進める点に特徴があります。例えば会議後のフォローを依頼した場合、対話型の生成AIは会議内容の要約や次に必要となるアクションの提案に留まりますが、エージェント型AIはそこから更に踏み込み、各担当者へのタスクの割り当て、期限の設定とリマインド、定期的な進捗レポートの作成…といったところまで自律的に実行することが期待できます。
現在、エージェント型AIは、一部の室部で導入を進めており、業務処理の自動化が期待されています。
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【取材を終えて】 生成AIは、すべてを任せるためのものではなく、業務を前に進めるための補助役です。 ルールを守りながら、まずは身近な業務から試してみることが、活用の第一歩になりそうです!(佐々木達彦) |
