申込件数累計20万件を突破 東北電力フロンティア 小売電気事業の「いま」

 4月、東北電力フロンティアでは電気の申込件数が累計20万件を突破しました。設立から現在までの歩みを振り返るとともに、実績を伸ばす原動力となった他社との協業、東北電力との連携、今後の事業展開について取材しました。

設立から現在までのあゆみ

 東北電力フロンティア(以下、TDF)は2021年、東北電力グループの中長期ビジョン「よりそうnext」で成長事業と位置付けた「スマート社会実現事業」の中核的な役割を担う会社として設立されました。電気と各種サービスを販売し、お客さまの暮らしに新たな価値を提供することを目的としています。

 

 同年11月に事業を開始し、日本初となるNetflixと電気のセットプラン「シンプルでんきwith Netflix」をはじめ、「あおぞらチャージサービス with シンプルeでんき」などを発表しました。

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 2023年には、東北電力グループ初となる家庭向け光インターネットサービス「東北電力フロンティア光」の提供を開始し、電気とのセット販売などを展開しました。

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 このほかにも、幅広い視点と高い機動性を生かし、お客さまの快適、安全、安心な暮らしにつながるサービスとして、キャンプを軸とした事業や、子育て世代のニーズに応えるサービスなどを展開してきました。

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 その後、東北電力グループは、従来の「電力供給事業」と「スマート社会実現事業」という2つの事業ドメインを、電気・エネルギーを中心とする5つの領域、11の事業区分に再整理し、2024年4月に「よりそうnext+PLUS」として公表しました。

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 この中でTDFは、「エネルギー・ソリューションサービス」を担う一員に位置付けられています。現在は東北電力の販売カンパニーのもと、「スマートでんき」や、低圧による東北電力グループ初の県限定再生可能エネルギープラン「水のチカラ~あきたeでんき・いわてeでんき・やまがたeでんき~」などを販売するほか、東北電力と一体となって事業を展開しています。

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累計20万件を突破。北海道で乗り越えた「壁」

 TDFは4月、電気の申込件数が累計20万件を突破したことを発表しました。この功績の大きな支えとなっているのは、他社との協業(以下、アライアンス)です。

 TDFが行っているアライアンスや、今後の予定について、TDFマーケティング本部事業企画部の工藤 隆史 マネージャーに伺いました。

 

TDF マーケティング本部 事業企画部 工藤 隆史 マネージャー

 

──TDFが行っているアライアンスはどのようなものですか。

 地域のお客さまと日頃から接点を持つ企業に、当社の電気を宣伝や販売をしてもらうという契約です。当社にとっては自社にないチャネルを活用することで、これまで接点のなかったお客さまにご案内ができるというメリットがあり、アライアンス先にとっては、アライアンスによる販売活動が既存のお客さまとの関係を深めるきっかけになったり、本業への相乗効果を生み出すことが期待できます。

──具体的にはどのような企業とアライアンスを組んでいるのですか。

 東北6県と新潟県、首都圏ではauエネルギー&ライフ株式会社とアライアンスを組み、共同で電気の販売拡大に取り組んでいます。また昨年11月からは北海道でも販売を開始しましたが、こちらではLPガスや灯油の販売会社である北海道エナジティック株式会社や、クレジットカードの発行などを行う株式会社ニッセンレンエスコートなどとアライアンスを組んでいます。

──首都圏や北海道におけるアライアンス先探しにおいて、印象的だったことはありますか。

 特に北海道では、地域との信頼関係を築くことの重要性を強く感じました。

 北海道には何度も足を運び、アライアンスの可能性がある企業を訪問しましたが、「地元のつながりを大切にしている」という理由から、ご説明する段階に至らないこともありました。また、ご提案の機会をいただけた場合でも、「東北電力のグループ会社が北海道で電気を販売する」というイメージを持っていただくことが難しく、北海道での事業展開に対する当社の姿勢を十分にお伝えできないこともありました。

 そうした中で当社の考えに共感し、契約いただいたアライアンス先の皆さんには、心から感謝しています。

 

 

──北海道におけるアライアンス先との関係はいかがですか。

 現在、アライアンス先とはとても親密な間柄にあり、販売活動についても率直なご意見やアイデアをいただいています。アライアンス先とは担当部署の方だけでなく、各地の営業所へお伺いして販売員の方とも直接対話しており、「北海道での事業を一緒に作っている」という手応えがあります。

 北海道には地域特有の販売事情があります。例えば、2018年の北海道胆振東部地震に伴う大規模停電、いわゆるブラックアウトを経験したことから、「電気の契約先を切り替えたくない」と考えるお客さまも一定数いらっしゃいます。

 そうしたお客さまには、小売電気事業者を変更しても電気の品質は変わらないことを、普段以上に丁寧に説明する必要があります。その際、アライアンス先の皆さんから「私たちも実際に契約を切り替え、問題なく電気を使用しています」と伝えていただくことが、お客さまの安心感につながり、切り替えの後押しになることがあります。これは、アライアンス先からいただいたアイデアです。

 アライアンス先の皆さんと一緒に考えた施策が現場で実践され、成果につながる様子を見ると、強いやりがいを感じます。

──TDFの販売活動について、アライアンス先からはどのような評価をいただいていますか。

 説明の丁寧さや、契約後のサポートに対する責任感などについて、高い評価をいただいています。

 いずれも私たちにとっては日頃から大切にしていることですが、アライアンス先から評価いただいたことで、東北電力グループが培ってきた信頼や、お客さまに寄り添う姿勢の価値を改めて認識しました。

──今後の抱負や、予定している動きについて教えてください。

 アライアンスを通じた申込件数は着実に増えており、一定の手応えを感じていますが、更なる件数増加に向けて、新たなアライアンス先を探しているところです。

 北海道で得た経験やノウハウについても、他の地域や新たなサービスに展開していけたらと思っています。

 

東北電力との分業でコストを削減。グループ全体の収益拡大のために

 TDFのこれまでの施策や、東北電力との連携について、TDF取締役マーケティング本部事業企画部 狩野 俊行 部長にお話を伺いました。

 

TDF取締役マーケティング本部事業企画部 狩野 俊行 部長

 

──TDFの販売活動の特徴を教えてください。

 いくつかありますが、1つは、当社ならではの特徴のあるメニューの販売です。集合住宅にお住まいの方にピッタリの「スマートでんき」を始め、県営水力から購入した電気を活用した燃料費調整のないプラン「水のチカラ~あきたeでんき・いわてeでんき・やまがたeでんき~」や、光インターネットサービスとのセット販売、東北電力eソライフが提供する太陽光発電サービスである「あおぞらチャージサービス」とのセット販売など、幅広いお客さまのニーズに応えることができるラインナップだと考えています。

 そしてもう1つは、アライアンスを活用した幅広い販売活動です。こちらはTDFの柔軟性や機動性を生かして、東北6県と新潟県のみならず、首都圏や北海道など域外への展開も行っています。

──東北電力と一体的に展開する販売活動において、TDFが果たしている役割について教えてください。

 1つは東北6県と新潟県における役割分担です。東北電力は戸建、当社は集合住宅というふうに大きく分けており、東北電力にご連絡いただいた集合住宅のお客さまに対して、TDFのお得なメニューをご提案しています。この方法により、低コストで当社メニューの販売ができるだけでなく、東北電力グループ全体における自由料金プランの加入率も上げられるというメリットもあります。

 もう1つのTDFの役割が、域外への販路拡大です。首都圏や北海道の有力企業とアライアンスを組むことで、コストを抑えつつ効率的に申込件数を増加させることができています。

──アライアンスの成果について、どのように受け止めていますか。

 アライアンス先は非常に大きな存在で、高い成果をあげていると感じています。

 特にauエネルギー&ライフ株式会社は携帯電話会社の系列ということもあり、販売チャネルが豊富で、申込件数の増加に大きく貢献いただいています。

 

 

 

──TDFは昨年度、設立以来初めてとなる単年度黒字を達成しました。これまでを振り返っていかがですか。

 徹底したコスト削減に取り組んできたことが大きかったと思います。より低いコストでお客さまとの接点を広げるため、ブランドが浸透している東北電力の販売カンパニーと一体となった販売活動を進めるとともに、電源調達を含むさまざまな面で効率化を図ってきました。会社全体として黒字化を達成できたことを、非常に感慨深く受け止めています。

 一方、その過程では、社員の皆さんにさまざまな負担や苦労をかけてきました。これまで一つひとつの課題に向き合い、対応していただいたことに、心から感謝しています。

──現状における課題と、今後の力点について教えてください。

 ありがたいことに、申込件数は順調に増加しているため、これまで以上にお客さま対応のためのリソースが必要となっています。北海道への販路拡大も行っている中、限られたマンパワーでいかに効率的に業務を行うかが、直近の最大の課題です。

 その観点からも、東北6県と新潟県では、前述の通り集合住宅への販売を中心に、その中でも特に東北電力への申込が集中する引越ピークの時期をターゲットとして、申込件数を伸ばすことに注力したいと考えています。また新たな販路である北海道では、集合住宅に限らず、使用電力量が多い低圧事業用の契約をターゲットとした販売に注力していきたいと考えています。

 今後も、新電力としての身軽さを生かして、お客さまやアライアンス先のニーズも踏まえながら、販路拡大に努め、グループ全体の収益拡大に寄与していきたいです。

 

グループの「開拓者」として

 TDFの社員は約50人。契約社員や派遣社員を除くと、全員が東北電力や東北電力ネットワークからの出向者であり、出向元は販売カンパニーに限らず、用地、広報、火力、原子力、変電、配電(過去在席した出向者を含む)など多岐にわたります。さらに、通信事業者やシステムベンダーなど、さまざまな業種から入社したキャリア採用者も在籍し、多様な経験や専門性を持つメンバーが活躍しています。

 TDFは東北電力の持つ知名度や信頼、販売チャネルを上手に生かしながら、コンパクトな組織ならではの機動力やスピード感を発揮し、新たな地域やパートナーとの関係を築くことで、事業の可能性を広げています。多様なメンバーやアライアンス先と力を合わせ、グループ全体の収益拡大に貢献する「開拓者」として、これからどのような道を切り拓いていくのか。今後の挑戦にも注目です。

 

 

 

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