
東北電力フロンティアの現在地
既にデジタルBRIDGEでご紹介しているとおり、燃料価格の高騰や地震影響等により、当社グループの基盤事業である電力供給事業は非常に厳しい状況です。「よりそうnext」の実現に向けては、電力供給事業の競争力の徹底強化はもちろんのこと、新たな事業・サービスの提供を通して、利益拡大を図り、中長期的な成長へと道筋をつけていくことも極めて重要です。
このような認識のもと、昨年4月に設立された東北電力フロンティアでは、ご家庭のお客さまをメインターゲットに、「じぶん時間・かぞく時間を楽しむ・つくる・ささえる」のサービスコンセプトのもと、お客さまの家計支出や時間消費に着目して、「子育て」「食・流通」「アウトドア・レジャー」「住まい・金融・エネルギー」の4分野を重点領域に、お客さま起点のサービス開発・提供に取り組んでおり、機動性やデジタルマーケティング等のスキルも最大限に生かして、日々、“挑戦!挑戦!挑戦!”し続けています。
同社には、グループ企業を含めた様々な部門からの出向者のほか、専門性を持ったキャリア採用の方も多く在籍。一人ひとりが“稼ぐ”ことを強く意識して、目標達成に向けて尽力しています。
今回は、自らが開発・運営し、お客さまの声を迅速に反映しながら取り組むことで、軌道に乗りつつある2つのサービスを中心に、同社の現状をご紹介します。1つは、これからシーズン到来のキャンプサポートサービス「CAMP FRONTIER」。もう1つは、電気料金にとどまらず家計全般でお客さまのお役に立ちたいとの思いから生まれた「トキメクくらしの家計ご相談サービス」です。
サービス①:CAMP FRONTIER
CAMP FRONTIERは、2022年4月よりスタート。サービスは「キャンプ体験とキャンプ用品レンタル」。仙台市泉区寺岡に実店舗を設置し、同社の社員が常駐しています。今回、取材班が「キャンプ体験基本コース」を体験してきました。

最初にインストラクターから本日の流れ、注意事項などの説明を受けます。
その後、テントの設営を実施。非常に大きなテントのため最初は「大変・・」と思いましたが、分かりやすくテキパキとして説明があり、スムーズに取り掛かれました。
テントを無事に設置。内部を整えるとまるでキャンプ場にいるかのような空間に。
次は「火起こし体験」。2種類の炭を使うのがポイント。実践的な知識を得られ、「なるほど」が止まりません。
担当者インタビュー:サービス開発部 宮崎さん
問.CAMP FRONTIERの開発経緯、目的、背景について教えてください。
答.事業開始初年度は、電気とのバンドルサービス(セット販売)や送客型のサービス(結果的にサービス提供元にお客さまを誘導する)を中心に展開してきました。開発期間が比較的短く、提供までのスピードが早いことから、会社設立から事業開始までの限られた期間のなかでサービスラインナップを用意するという点で、一定の成果を上げることができました。
一方で、フロンティアとして収益をしっかりと確保していくために、並行して自社開発のサービスの検討を続けていました。
様々な検討を進めているなかで、アウトドアに精通した社員から「現在ブームのキャンプを活用したサービスができないか」というアイデアが出され、詳細検討に着手。東北6県・新潟県には、大自然を感じる魅力的なロケーションを持ちつつ、アクセス良好なキャンプ場が多数存在することから、キャンプの活性化により、東北・新潟の交流人口の拡大、地域経済活性化、ワーケーション(旅先で休暇を楽しみながらテレワークも行うこと)などの新しい働き方にもつながるといった可能性を秘めていることが分かりました。これらのアイデアを具現化し事業としてスタートするために、マーケティング戦略をスピーディーに立案。約半年かけてサービスの提供にこぎつけました。

問.目標、達成度など現状はどうですか。どのように自己評価していますか。
答.CAMP FRONTIERの目的は「キャンプを通じてお客さまの豊かな時間を創ること」「売上を上げること」「toC(直接一般消費者へサービスを提供すること)向け自社開発サービスの知見を高めること」です。提供開始から約半年、順調に利用者が増えており、計画した売上目標は達成できる見込みです。
また、経験やノウハウの蓄積という数字では表せない効果は非常に大きいです。毎月の売上管理などを行うとともに、プロモーションとその効果測定を機動的かつ迅速に実施することで、どんどん知見が深まっています。例えば、地域情報誌と地域情報サイトに記事体広告を実施したのですが、費用対効果や持続性などに差があったり、県外からの転勤者ほど、地域情報を欲している(多く閲覧している)などの気づきを得ています。

地域情報誌(S-Style)への広告出稿
問.PDCAを回してみて、今注力していることや当初の戦略から変更している点などはありますか。
答.元々toC向けサービスは黒字化が非常に難しい分野と考えています。例えば、他社ではメルカリが未だ赤字ですし、PayPayもやっと利用店舗から手数料を課してマネタイズ(収益化)しはじめました。あの規模でも…と感じますが、過度に恐れず・意識せず、このCAMP FRONTIERでどうやったら1円でも多く稼げるのかという観点で日々“挑戦”しています。
現在は、toCを軸に①BtoBtoC(企業を介して一般消費者へサービスを届けること)と②BtoC(Community)toC(地域団体を介して一般消費者へサービスを届けること)への広がりという視点に可能性を見いだしています。
①は、既に実績があり、近隣の仙台ロイヤルパークホテル様から「庭園のキャンプゾーンのプロデュース」を請け負いました。②は、町内会や企業イベントなど各地で行われているイベントの機会を狙うということ。地域イベントの担い手不足や、内容の検討に苦労しているなどの課題が顕在化しており、本サービスが入り込む余地は十分にあると思っています。
先日、仙台市中心部の公園で行われた「オクトーバーフェスト(ビールのイベント)」にも出展しました。きっかけは、業務上で関係ができた在仙メディアからのご紹介。これらの経験から、外部との交流機会を流すことなく、一期一会の機会として捉えることが肝要だと改めて気づきました。

仙台ロイヤルパークホテルでのキャンプゾーンの様子
問.今後の展望は。
答.我々はシンプルに「収益を上げる」ことを目標にしていますが、どうやったら稼ぐことができるかに苦労しているところです。「アウトドアメーカーとコラボしてグッズを作る」「県内のキャンプ情報を発信するローカルデジタルメディアを立ち上げ広告収入を得る」「キャンプ場をつくる」など、様々なアイデアから初期投資・費用・売り上げ・回収期間・運営体制など種々勘案すると、事業として企画を練り上げていくことが非常に難しいと感じています。
私は現在、本事業のみに関与していますが、これまでもいろいろと試行錯誤してきました。例えば、「海上釣り堀」を事業化できないか漁港や漁協に伺い実地調査したり、ピッチイベント(スタートアップ企業が投資家等にプレゼンテーションするイベント)に参加して様々なベンチャー企業とお会いしたりなど。やはり、サービスの提供まで行き着くのはなかなか厳しいというのが実情です。ベンチャー業界には「千三(せんみつ)」という言葉があります。「千個取り組んで三個成功すれば御の字」という意味です。
ただし、当社グループの状況やフロンティアの位置づけを考えると、これまでの常識を打ち破る勢いで“挑戦”していかなければなりません。

問.企業グループの社員へメッセージをお願いします。
答.様々な分野のプロフェッショナルが集っていることが企業グループの強みかと思います。それぞれの場所やご経験から、こういったサービスがあったら嬉しいなどのご意見がありましたら是非ご連絡ください。お客さま起点のサービスの提供により、難局を乗り越えていけたらと思います。
また、CAMP FRONTIERは開店以来、多くのお客さまからご好評いただいており、「アウトドアに疎かったがキャンプのハードルが下がった」「こんなサービスあればと思っていた」「子供たちもとても喜んでいて、『次いつ行くの?』とせがまれている」などの嬉しい声をたくさんいただいています。お子さま連れの方、キャンプに興味のある方、是非一度遊びに来てください!
【編集部こぼれ話】
・泉パークタウン内にあるCAMP FRONTIER。建物だけでなく、存在自体が街に溶け込んでいました。取材中にはご家族で遊びに来られる方がいたり、店内には子供たちからのお手紙も掲示されています。
・メンバーの3人は、BBQ検定、キャンプインストラクター、食品衛生管理者の資格を取得。取材をお受けいただいた宮崎さんのキャンプの説明は、とても分かりやすいだけでなく、ユーモアたっぷりで時間を忘れてしまうほどでした。
・取材前日もレンタル利用があったようで、自前で資材を洗濯、掃除されていました。
・「お客さまと直に接することは非常に経験になる」と皆さまお話しされていました。
