東北電力ネットワーク 山田副社長インタビュー
~一人ひとりの知恵を出し合い、更なる効率化・新たな収益拡大に挑戦~

 今年4月に就任された副社長および本部長のインタビューをシリーズでお届けしています。最終回となる第3回は東北電力ネットワーク山田副社長に、新たな託送料金制度を踏まえ策定した事業計画や「よりそうnext」の実現に向けて注力する取り組みなどについて、お話を伺いました。

電力供給事業をベースに、更なる効率化や新たな収益化に向けてスピード感を持ち
対応

── 今年4月に副社長に就任されてからの所感は

 これまでも常務として再生可能エネルギーの導入拡大、需給・系統運用、送変電設備の計画・建設などを中心に対応してきましたが、さらに重責となることを前向きに捉えています。

 今年4月からスタートした新たな託送料金制度(レベニューキャップ制度)のもと、当社の送配電事業における2023年度~2027年度の5年間の取り組みなどを取りまとめた「事業計画」や効率化施策の達成に向けて、社員の皆さんと今後の課題や安全確保などについて積極的にコミュニケーションを図りながら、スピード感を持ちしっかり取り組んでいくという気持ちを新たにしたところです。

 

 

 

──新たな託送料金制度を踏まえ策定した5年間の事業計画や「よりそうnext」の実現に向けて注力していく施策・取り組みは

 認可いただいた託送料金や事業計画に基づき、申請時に織り込んだ効率化施策とその更なる深堀りについて、皆さんと知恵を出し合いながら達成したいと考えています。

 これまでも設備仕様面の工夫、安定供給に影響を与えない範囲での設備の点検周期延伸、工事費低減などに取り組み、成果が上がっています。今後も資材調達の工夫や設備仕様の統一に向けた前向きな検討が必要であり、既成概念にとらわれない発想も重要です。実現は並大抵のことではないかもしれませんが、長いスパンで実現できるよう皆で力を合わせて取り組んでいきましょう。

 カイゼン活動についても前向きに取り組んでいただいており、徐々に定着してきていると感じていますが、継続が重要であり、無意識のうちにカイゼンが図られるようになればと思っています。今後、会社全体として成果を定量的に評価・共有し、称え合う機会も増やしながら、皆さんのモチベーションを高めていきたいと考えています。

 

 「よりそうnext」の実現に向けて、まずは基盤事業である電力供給事業にしっかりと取り組み、安定供給を通して地域社会に貢献していくことがベースとなります。

 安定供給を継続していくためには、当然ながら送配電設備を万全な状態で維持することが重要です。高経年化設備の更新にあたり、工事実施管理の高度化・省略化を図るため、アセットマネジメントシステム※の構築を進めています。先行的な設備改修が思うようにできないとの声もありますが、統一された評価手法により合理的に計画されるものであり、見方を変え、長い目で対応していく必要があります。

 また、スマート社会実現事業について、土地の有効活用による駐車場ビジネス、配電柱を活用した防犯カメラや地上機器の広告、スマートメーターネットワークを活用した水道・ガス共同検針などにより実効性が上がっています。当社が持つアセット(資産)やノウハウを活用したビジネスの拡大、新たなビジネスにもチャレンジができないかと考えています。

 事業所を訪問した際、若手社員の皆さんがAIやDXなどデジタル技術の分野に興味を持ち、それぞれのやり方で多様な取り組みをしていると感じました。自分の仕事を楽にすることや高度化にも繋がりますので、柔軟な考え方で身近なアセットを活用したビジネスやサービスに関するアイデアを提案していただきたいです。

 

※ アセットマネジメントシステム

変電・送電・配電設備の状態を管理するシステムと連係し、設備毎のリスク量を算出し施工力や資機材等のリソースの制約条件を踏まえた合理的な工事計画を策定する新システム。2025年度の本格運用を目指し、構築を進めている。

 

電力の安定供給とレジリエンス強化に向けて、皆で課題を共有し解決を図る

──レジリエンス強化や需給ひっ迫に係る取り組み状況、今後の課題は

 この2点は安定供給への対応力強化という観点で当社にとって根幹を成すものです。

 自然災害は毎年のように発生しています。都度当社として、さらには東北電力と合同で対応にあたっており、事故復旧能力が向上している一方、解決すべき課題も見えてきています。昨年冬の新潟を中心とした雪害では、部門間や自治体との連携、リエゾン・広報対応などの課題が挙げられたことから、これらの対応策を講じ、各所が災害時のシミュレーションを行いながら訓練を重ねるなど、課題を共有し解決していくことが重要です。

 需給面については、昨年3月と6月に天候悪化に伴う太陽光発電出力の減少と需要増加などにより、需給的に厳しい状況となりました。いずれも電源の安定運用、国の支援も含めたお客さまの節電効果により、無事、乗り切ったところです。東北エリアでは今年の夏の厳気象を想定した場合でも、電力の安定供給に最低限必要とされる予備率3%を確保できる見通しです。大規模な自然災害やトラブルの発生により、厳しい需給状況に陥るリスクもあるため、当社としては設備を万全の状態で維持し、電力供給に支障がないよう、緊張感をもって対応していきます。

 

雪の中を徒歩で復旧に向かう社員(佐渡電力センター)

 

 

──カーボンニュートラルに向け加速する再生可能エネルギーの導入拡大に係る設備形成・系統運用の取り組み状況、今後の課題は

 再生可能エネルギーの導入拡大に関連して、各事業所の皆さんには相次ぐ連系申込に対し、アクセス検討や工事対応、運開後の系統運用・停止調整など、大変な苦労をおかけしているところです。すべての案件が実現するとは限りませんが、国および東北電力グループが目指すカーボンニュートラルへの貢献の観点、東北エリアの再エネ導入のパイオニアであるという自負のもと対応してほしいと思います。今後も課題があれば都度共有いただき、解決策を一緒に考えていきます。

 現在、東北東京間第二連系線や東北北部募集プロセスによる再エネ拡大策として、基幹系統整備工事を着実に進めているところです。長丁場となりますが、安全確保を大前提に計画通り対応するとともに、経営としても進捗を確認しながら、必要に応じて国や全国への説明なども行っていきます。

 大規模工事も含めた効率化施策として、ロボット化、デジタル化にも注力していかなければなりません。ドローン・スマートグラス、鉄塔の昇降アシスト装置などを中心に導入や検討をしており、人手を少なくすることで、経費節減はもちろん、安全面の向上も期待しています。

 また、今後の再エネ連系量拡大のため、既存の電力系統を最大限有効活用することも重要であり、ノンファーム型接続※1などのルールに対応するためには、系統運用の高度化が必須です。現在、DLR※2技術を用いた効率的な送電線容量の管理について研究を進めているところですが、現有設備の最大限の活用、託送電力量や広域取引の拡大にも寄与し、ひいては収益拡大にも繋がると考えています。

 一方、電力広域的運営推進機関で検討が進められている広域系統整備に関するマスタープランでは、洋上風力のポテンシャルが高い北海道や東北から首都圏に向けて、高圧直流送電海底ケーブルを整備する案が示されています。当社として、まずは技術的課題の対応を中心に協力しながら、具体的な関わり方を検討していきます。

 

※1 ノンファーム型接続

他の電源が稼働していない間など、電力系統に混雑が発生しない時間帯を活用し、新規の接続を可能にする⽅法。

 

※2 DLR(Dynamic Line Rating)

気象条件等により送電線等の容量を動的に扱う手法。

 

 

一人ひとりの力は小さくても、知恵・力が集まれば大きな成果に

──従業員へのメッセージを

 事業環境の変化が激しく、経営状況が厳しいなかにあっても、安定運用・安全確保が根幹をなすことに変わりはなく、皆さんには前向きに業務に取り組んでいただいています。一方で、変化に対する漠然とした不安を抱えている方もいらっしゃると思います。

 当社としてはこのような不安などを解消し、「電力ネットワークを通じ、地域社会の安全・安心・快適な暮らしを支え、ともに発展・成長する」という当社の存在意義を再認識し具現化することを目的に、業務を行う上での指標となる「私たちの目指すもの」を策定しました。本内容や社長メッセージを都度確認していただき、安定供給・安全確保を最優先に、中期経営計画などに示すKPI目標の達成に向け業務にあたってほしいと考えています。

 安全面には当てはまりませんが、あまり考えすぎず、石橋をたたき過ぎず、スピード感ももってまずはやってみるという精神も重要です。さまざまな取り組みのなかで課題があれば積極的に発信し、皆で解決に向けて対応すれば自ずと道はひらけます。

 松下幸之助の著書「道をひらく」には、いつの時代も心がけていくべきことが記載されており、私も参考にしています。「日々是新ひびこれあらた」、「一陽来復いちようらいふく」などの言葉や、仕事をより向上させるためのキーワードが凝縮されていますので、参考にしてはいかがでしょうか。

 いつも申し上げていることですが、社員一人ひとりの力は小さくても、約7千名の知恵・力が集まれば大きな成果に繋がります。これからもコミュニケーションを図りながら、課題解決や収益拡大、「よりそうnext」の実現に前向きに取り組んでいきましょう。

 

※本インタビューは2023年6月に実施しました

 

 

イイね!
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