
これまでの経歴や思い出、休日の過ごし方など
──初任地と最初の業務を教えてください。
初任地は青森営業所料金課料金係です。調定業務(電気料金の計算や訂正など)をしたり、お客さまからの問い合わせに対応したり、という毎日でした。青森という土地柄どうしても高くなりがちな冬場の電気料金について苦情をいただくこともありましたが、「お客さまの財布に一番近いところで仕事をしている」という実感がありました。職場の雰囲気はとても良く、日々新しいことが身についていき、やりがいを感じました。
周囲に若い社員が多かったこともあり、寮でお酒を飲んだり、休日は文体行事で汗を流したり、社員同士のコミュニケーションをたくさんとりました。当時はバブル真っ盛りだった(1989年)ので、世の中が明るかったような気がします。

社誌「東北電力 vol.362(1990年9月号)ATTACK&ATTACK 青森営業所料金課」より、入社2年目のお姿

現在のお姿
──当時の思い出を教えてください。
1991年9月、津軽地方はのちに「りんご台風」と呼ばれる大きな台風に見舞われて、大きな供給支障が発生しました。そのとき酪農をしている高齢の方が営業所の窓口にお見えになって、いきなり土下座をされたんですね。聞けば長引く停電で牛の搾乳ができず、このままでは牛の命に関わると。怒鳴られるよりこたえました。電気を送っていることの責任の重さを痛感しましたね。
またあるとき、仕事でミスをして落ち込んでいたところ、違う係の先輩から「どうした、元気がないぞ」と話しかけられました。「実は…」と話したところ、「そんなこと気にするな」と背中をポンと叩いて励ましてくれて、元気が出ました。おそらくその先輩は常に職場の仲間全員のことを見て、日ごろから気にかけていてくれたのでしょう。自分もこういう人になりたい、と思ったことを今でも覚えています。
宮城県出身なので青森は初めての地でしたが、とても懐が深く、自然と文化と人情に恵まれた素晴らしい土地でした。
──これまでの経歴や、社内で携わられてきた取り組みの中で、思い出深いものは何ですか。
その後、青森支店総務部を経て、人材開発部人事課、新潟営業所、新潟支店、人財部、秘書室、企画部、東京支社、電気事業連合会と幅広い業務を経験しました。
思い出深いのはやはり東日本大震災ですね。私は当時人財部の人事計画課長を務めていたのですが、被災した各事業所の被害状況の把握と機能復旧のための計画を行う「業務機能対策班」の事務局という役割を命ぜられました。岩手、宮城、福島の沿岸地域の事業所の状況をつぶさに見て歩き、被害の大きさに絶句しました。しかしながら、そこで働いている皆さんが、自身も大変な状況であるにもかかわらず、それでも自分の仕事にしっかりと向き合っていることに感動して東北電力の底力を感じました。
──休日はどのように過ごされていますか。
じっとしていられない性分で、ウォーキングをしたりゴルフをしたり、身体を動かして心と体をリフレッシュしています。また飼っている犬と遊んだり、散歩をしたりするのも楽しいです。
趣味はもともと多くて、以前は、オートキャンプにはまったり、釣りに熱中したり、鉄道に親しんだり、音楽を聴いたり、エレキギターを演奏することも大好きだったのですが、最近はなかなか時間が取れません。
販売カンパニー長として、「よりそうnext+PLUS」を実現するために
──就任されてからの所感や手応えはいかがですか。
販売の仕事はほとんど初めてと言っていいので、とても新鮮に感じます。事業所へ対話に行くと若い人が自分の取り組みをいきいきと語ってくれて、頼もしく感じています。
販売カンパニー長になったことで責任の重さを痛感する毎日ですが、外から見ていてはわからない販売部門の皆さんの苦労を知り、カンパニー全体が真摯にグループの利益を拡大しようとさまざまな施策に意欲的に取り組んでいることも肌で感じています。昨年度は規制料金の改定、自由料金の値上げ・値戻しで本当に大変な苦労をしたと思いますが、そのおかげもあって会社の業績は好転しました。ひたむきなお客さま対応、交渉をしてきた皆さんの努力と成果には心から敬意を表します。苦労も多いですが、グループ全体の利益創出を支える、やりがいと成果を実感できる魅力ある組織だと感じています。
一方で、事業環境を見ると競争が再び激化しており、そうした中で利益の確保を前提として販売電力量をどんどん拡大していかなければなりません。非常にチャレンジングな取り組みになりますが、皆で汗をかきながらカンパニーが一体となってやり遂げていきたいと思います。

──「よりそうnext+PLUS」では、電気・エネルギー事業は当社事業のコアと位置付けられました。どのように受け止めていますか。
「よりそうnext+PLUS」では2大事業ドメインを見直し(変える)、電気・エネルギーを中心に据え需要の獲得と付加価値を創出すること(創る)を通じて、財務基盤の早期回復への対応と中長期的な成⻑に向けた事業領域の拡大にチャレンジし、利益・投資・成長の好循環を形成する(挑む)こととしました。これにより、グループとして進むべき方向が明確になったと思います。
今回、電気・エネルギー事業を当社事業のコアと明確化しましたが、ただ電気を売っていけば良いということではないと考えています。例えば今はコーポレートPPAのような新しい事業も生まれており、お客さまの関心も高いです。今後も電気・エネルギーを切り口・キーワードにお客さまの多様なニーズを踏まえ、さまざまなビジネスの可能性を追求していく必要があると考えます。
──今回の「よりそうnext+PLUS」では、電力小売事業はソリューションサービス事業とあわせて「エネルギー・ソリューションサービス事業」として整理されました。どのように受け止めていますか。
私たち販売カンパニーの仕事は、お客さまに電気やサービスを提供して価値を実感していただき、その対価をいただくこと。電気もサービスもお客さまにとってのソリューションでありたいし、そういう意味では「エネルギー・ソリューションサービス事業」という位置づけはとてもしっくりきます。
今後は利益拡大のために、単に電気をセールスするだけではなく、お客さまが抱えている課題を解決するサービスを併せて提供することで、商品価値を高めたいと思っています。そして私たちが提供する商品によって、お客さまの生活や事業の質が高まることは何よりの喜びだと思っています。

──エネルギー・ソリューションサービス事業における東北電力の強みはどのようなところにありますか。また、当社が地域から求められているのはどのようなことでしょうか。
まず何よりの強みは私たちの先輩方が積み上げてきた当社への信頼感だと思います。
家庭用のお客さま向けに展開している「すまい安心サポート」というサービスがあります。この加入者は現在8万件を超えているのですが、他のエリアでも同様に電力会社と組んでサービスを提供している事業者さんに聞いたところ、東北エリアの契約件数は「突出している」そうです。当社がこれまで積み上げてきた地域との信頼関係の証だと思いました。

また、私もESP(エネルギー・ソリューション・パートナー)と一緒に法人のお客さまを訪問する機会がありますが、ESPはお客さまと厳しい衝突を重ねながらもとても良好な関係を構築していることを実感しています。「競合する会社より価格は高いが、東北電力から買いたい」というありがたい声をいただくこともあり、当社の電気とともにESPという人間を選んでいただいていることを肌で感じ、とても誇らしく思います。
また、エネルギーサービスという面でいうと、当社にはexEMS(エグゼムズ)という優れたエネルギーマネジメントサービスがありますし、更に広範なニーズにお応えするため、BizSync(ビズシンク)というマッチングサービスも開始したところです。また、グループとして法人分野では受変電設備などの受託事業、リビング分野ではソーラーパネルと蓄電池や高効率ヒートポンプ機器などのリース事業を行うとともに、エネルギーに関わる課題解決を支援するソリューションの一つとしてガス事業も行っています。
このように、多面的なサービスや商材を用意しておりますが、まだまだお客さまのニーズには広がりがあると思いますので、それを見極めて利益拡大に向けて取り組んでいきたいと思います。
──エネルギー・ソリューションサービスにおいて、利益拡大のためにどのような取り組みが重要でしょうか。
お客さまの属性に応じた価格戦略を取る、あるいは私たちにしかできないエネルギーソリューション、ビジネスソリューション、くらしサービスを提供することで付加価値を高め、お客さまの単価を上げていく、さらには新たなマーケットを求めて東北・新潟以外のエリアにも積極的に進出する、といったことで利益拡大に向けて貪欲に取り組んでいくことが重要です。
さらに、リビング分野では自由料金への移行を積極的に進めることで、お客さまのエンゲージメントの強化に取り組んでおり、6月3日から自由料金プランへ新たにご加入いただいたお客さまの2カ月分の電気料金を15%割引する「いまがカエドキ」キャンペーンを実施しています。

また、東北電力フロンティアを販売カンパニーのもと販売を一体的に推進する主体として位置づけを見直しています。デジタルマーケティングやデータ分析など、東北電力フロンティアの強みを活かした販売活動を機動的に展開することで、カンパニー全体として自由料金やサービスの拡大を目指します。
熱源転換が進んでいない東北・新潟は電化のポテンシャルも大きいため、新たな電化戦略のもと需要のパイを拡大していくことも必要です。
もう一つ、大きな成長が見込めるのはコーポレートPPA事業です。再エネ電気が欲しいというお客さまのニーズは高まる一方です。東北電力のブランド力を生かして、この分野でも積極的に利益を拡大していきたいと思います。
そして、これらセールス業務を支えるカスタマーセンターの役割も大変重要です。
3月の組織整備でオペレーション業務はカスタマーセンターへ集中化しましたが、セールス業務とオペレーション業務が販売機能の「両輪」であることに変わりはありません。それぞれの役割と意義をお互いが理解し、ともに意識を合わせて「稼ぐ」取組みにつなげていくことが大事です。
なお今回の組織整備ではカスタマーセンターに業務負荷がかかるなど課題がありましたが、関係者が一丸となって課題解決に向けて取り組んでおり、大変感謝しているところです。

──脱炭素化の展望について教えてください。
脱炭素は電源側の取組みも重要ですが、私たち販売カンパニーとしても需要面の取組みをしっかり行っていきたいと思います。
具体的には、まず電化の推進です。熱源転換、その中でも高効率ヒートポンプ機器の普及促進は脱炭素に大きく効いてくる施策です。また、電力の需給状況に合わせて電力量を調整する取り組みであるDR(デマンド・レスポンス)については、需給ひっ迫時の「下げDR」ではお客さまの電力使用を抑制いただくことで、エコキュートの昼間稼動などによる「上げDR」では昼間帯の太陽光発電由来の電源をより活用できることで、いずれもCO2排出の抑制に寄与します。今後はさらに重要になってくるでしょう。もちろんコーポレートPPAによる再エネ電源や再エネメニューの活用も脱炭素化に貢献できる施策です。
また、ガス事業では、企業グループの東北天然ガスを通じ、石炭・石油から天然ガスへの燃料転換をサポートするとともに、多様なニーズを踏まえた、カーボンクレジット付ガスの販売活動も展開していきます。

社員へのメッセージ
電力システム改革やロシアのウクライナ侵攻による燃料価格の高騰など、当社グループを取り巻く環境は激変しました。これらの苦難にその都度しっかり向き合い乗り越えてきたという経験は誇るべきものだと思います。
一方で、収支は改善しつつあるものの財務基盤の回復は道半ばです。「よりそうnext+PLUS」 で示された財務目標、これを実現することが我々の新たなチャレンジとなります。これまで多くの困難を乗り越えてきたように、今回も、きっとできると思っています。

最近感じることとして、一連の制度改革で電気事業のバリューチェーンが分断されていることによる影響があります。もちろん行為規制や内外無差別といったルールはしっかり守らなければなりません。しかし各種の制度改革では、ともすればバリューチェーンが分断される力学が働きます。電気を作り、送って、お客さまにお買い求めいただく。この複雑で巨大、そして繊細なプロセスはそのどこが欠けても安定供給を損ないかねません。
ルールや規制を守ったうえで「自分の部門以外の仕事や課題がどうなのか」ということにも関心を寄せ、理解を深めることはとても重要だと思いますし、そういうことに想いを馳せることがグループ全体の総合力の発揮につながると思います。その意味で、組織内の、そして組織間のコミュニケーションは大変重要です。
私は東京支社と電気事業連合会への出向で今年3月までの3年間を東京で過ごしましたが、外に出て改めて当社の良さを感じました。東北電力のことを好きだと言ってくださる方が多いことにも驚きました。それは、私たちが持つまじめさや誠実さに加え、忍耐強さや大らかさからくる「懐の深さ」によるものだと思います。この強固な魅力のうえに、さらにアグレッシブさが加われば、当社はより強い会社になれると信じています。
私たちが向き合う課題は多く、難度も高いですが、山が高ければ高いほど山頂に着いた時の喜びは大きいです。グループ全体一丸となって目標達成に向けた諸施策を前向きに実行していきましょう。
