
植原取締役の主な経歴
2009年4月 株式会社大和証券グループ本社 執行役
2011年4月 株式会社大和証券ビジネスセンター専務取締役(2020年3月退任)
2018年6月 丸三証券株式会社 社外取締役(現在にいたる)
熱中したスキー、初めて買った株
──東北・新潟地域のイメージやこれまでの関わりについて教えてください。
これまであまり東北・新潟を意識したことがありませんでした。でも、振り返ってみるとスキーに熱中していた20代の頃、東北・新潟のスキー場に多いときは毎週のように通っていました。ライセンスを取ろうと雫石(岩手)や浦佐(新潟)のスキースクールにも行きましたね。下手の横好きであまり上達はしませんでしたが(笑)
そんなこともあり、「深い雪と共に暮らす地域」というイメージが強いです。証券会社時代の東北出身の同僚も、全体的に朴訥というか、口数が少なくて忍耐強く、声高なアピールはせず黙々と仕事をしていた印象があります。
地域を色で表すなら、「森の緑」と「海の青」という感じでしょうか。
ちなみに、大和証券に入社して最初に自分のお金で買った株は東北電力の株でした。そう考えると東北にはお世話になっていますし、不思議な縁も感じますね。

──なぜ、就職先に大和証券を選ばれたのでしょうか。
私は経済的な自立を目指して就職活動をしましたが、当時、大卒の女性に広く門戸を開いていたのは、百貨店か証券会社くらいでした。両親の影響からもともと株式には親しみがあったこともあり、内定をもらった証券会社2社でどちらにするか最後まで非常に悩みました。会社の規模で言えばもう一つの会社の方が大きかったのですが、大和証券の「女性が活躍しているオープンな雰囲気」が私にはあっていると直感的に思い、決断しました。
当時の女性社員は結婚を機に退職する「寿退社」が圧倒的に主流でしたので、異動するたびに職場初の女性総合職ということも多く、会社も扱いに戸惑った部分はあったと思います。何度か「辞めたい」と思うこともありましたが、「(女性総合職の)フロントランナーが辞めたら、後輩に道が開かれない。もう少しだけ踏ん張ってみよう」と続けてきて今に至ったという感じです。
多くの「女性初」を経験。希望とは異なる異動先で学んだこと
──大和証券でのご経験の中で印象に残っていることを教えてください。
新設された部署への配属が多かったように思います。例えばコールセンターの設立準備にも携わりましたが、そこには様々な部署から経験もまちまちな社員がオペレーターとして数百人集められ、その指導に当たる経験をしました。
また、特に思い出深いのは2007年に新しく創設された「教育研修部」の初代部長として社員研修プログラムの刷新に取り組んだことですね。2年間という短い期間でしたが、研修のためのWEBシステムを導入したり、支店の空きスペースを活用して新入社員研修施設を運開させたりしました。20名足らずの小さな組織でしたが、部下や上司、関係部署の協力のおかげで何とか形にすることができて、15年以上経過した今も変わらず運用されているのが嬉しいです。実はこの部署は2つの部署を統合してできたもので、最初は文化の違うメンバーの気持ちを1つにすることにも苦労しましたが、それも今となっては良い思い出です。
振り返ってみると、自分は前例のない仕事や新設の職場での経験が多く、またそれが性に合っていたように思います。「こうした方がいいな」と思っても、長い歴史や前例があるとなかなか思うようなチャレンジができないときがあるんですよね(笑)

──当社も組織整備を進める中で、新しい集中センターやシェアードサービスセンターを立ち上げたりしていますが、新しい部署や業務のご経験などを踏まえ、社員が意識すべきことなどがあれば教えてください。
新しい部署での仕事は前例がないため、どのようにすれば良いのか不安が先行するのは当然です。しかし「前例がない」というのは言い換えると「どんなことにも挑戦できる」ということでもあり、仕事の自由度が高いことの証といえます。年齢・性別、業務経験の長さは関係なく、みんなが同じスタート時点から始められるので、特に異動経験の少ない社員や若手の方にとっては自分の力を存分に発揮できる場にできると思います。新しい取り組みに失敗はつきものですが、修正可能であることが殆どなので、ぜひ色々とチャレンジして欲しいですね。
一方で新しい部署、特に「業務集中化」を目的とした部署への異動は、周りの仲間や勤務場所も変わる上、慣れない業務で「なぜ自分が…」というネガティブな気持ちになることがあるかもしれません。私は本社から離れた場所ばかり転々と異動していたので、そのようなことは何度もありました(笑)
でも当時を振り返って思うのは、仕事のやり甲斐や面白さは働く「場所」には関係なく、「自分で見出すもの」だったということです。色々と思うこともありましたが「会社は自分が適しているであろう部署に配属したのだ」と考え、負けず嫌いの性格もあって、そこでいかに自分力を生かせるか、仲間と同じ目標に向かって進んでいくことができるかに気持ちを向けて取り組みました。今になってみると希望とは異なる異動先で積んだ経験の方がキャリア上では役に立っているように思います。
皆さんにも会社で過ごす時間を「自分が生き生きと過ごせる時間」にしていってほしいと思います。新設部署はどんな形になるか完成形が見えないだけにワクワク感が一杯で、目標もより明確なため組織の一体感も高まりやすいです。
──取締役は大和証券におられた際「部門初の女性総合職(1986年)」「社内初の女性為替ディーラー(1991年)」「初の生え抜き女性役員(2009年)」など多くの場面で「女性初」を経験されています。女性社員を取り巻く環境の変化、また今後、企業が目指すべき職場のあり方などについてのお考えをお聞かせください。
「ダイバーシティ」や「インクルージョン」とかよく言われていますが、そういう括り方は正直好きではありません。もう少し広く捉えて、お互いの立場や気持ちを完全に理解することは不可能でも、想像力をもって相手を理解しようとする。そして、それぞれの違いを許容する。こういったことが大事なのではないでしょうか。いろいろな価値観を持った人がいるから世の中が成り立っているのです。お客さまの半数かそれ以上は女性なのにサービスを提供する側の主体は男性多数という「ずれ」を考えると「DE&I」は当然の流れだと思います。企業も様々な価値観を理解できる多様な人材で構成されていないと、消費者に受け入れられる商品・サービスの提供が出来ず、時代に置いていかれてしまいます。ゆえに女性に限らず「人材の多様化」は企業が生き残るために必須です。
こうしたことは、お客さま相手だけでなく、会社やグループの一体感を高めるためにも有効だと思います。当社グループの中でも、会社・部署・上司部下・雇用契約の違いなどそれぞれの立場で主張が食い違うこともよくあると思います。その時も、意見をしっかりとぶつけ合いながら、「想像力」を持ってお互いのことを理解していく。これが一番大事です。

東北電力グループに思うこと、社員へのメッセージ
──当社グループの強みや魅力をあげていただくとしたら、どのようなところでしょうか。
何よりもまず東北地域での強い信頼感です。インフラ企業として民間ばかりでなく自治体からもとても頼りにされている。そしてそれに全力で応える社員の皆さんの真摯な使命感は、就任前の想像を超えるものでした。またそれだけ存在感のある会社、グループでありながら社員の皆さんが謙虚すぎるぐらい謙虚で、頭が下がる思いです。そしてこれは度重なる災害を乗り越えてきた経験がなせるものなのか、小さな事に動じずデンと構えた包容力を備えているように感じます。更には、研修などで接した社員の皆さんが、意外に「チャレンジング」な点にも魅力を感じています。

──「よりそうnext+PLUS」では東北電力グループの今後の経営展開が示されました。どのように見ておられますか。
スマート社会の定義と、組織の分類がより明確になった点を非常に評価しています。当社グループは非常に大きな組織で、部門ごとの専門性も高く、優秀な人材が揃っています。ですから業務遂行に関しては不安な点はありません。
さらに望むとすれば「社内やグループ内の連携」と「お客さまや社会とのコミュニケーション」ですね。
人事異動も2~3年で回しているので他部門の業務について理解しやすい環境になっていると思いますが、会社間、部門間の横の連携を更に深めれば、これまで以上にお客さまに「刺さる」サービス、他では追随できないサービスが生まれるのではないかと思います。
そしてこれは証券会社で経験があることですが、お客さまに真に必要なものは何なのか、お客さま自身も気づいていないということがあります。特に専門知識が必要な商材ならば尚更です。お客さまは見聞きした「A」に興味を持ち説明を求めますが、対話を深め、注意深く観察した結果、真のニーズはお客さまがまだ知らなかった「B」というサービスだったりします。言われた「A」を提案するだけでは不十分なのです。ここでも大事になるのは「想像力」です。
当社グループは幸い幅広い分野で業務を展開しています。「想像力」を発揮すればお客さまの抱える問題をよりよい形で解決でき、グループの可能性がもっと広がると思います。そして社会とのコミュニケーションという部分では、東北電力グループの「謙虚」なキャラクターのせいでしょうか、もっと強くアピールしても良いのではないかな?と感じる時があります。電気は生活に欠かせないものなのに、電気が届くまでの大変さをお客さまに十分ご理解いただいているかというとそうではないと感じます。
上手に発信して、当社の応援団がもっと増えたらいいなと思います。
──最後に、社員にメッセージをお願いします。
東北電力が東北・新潟地域の電気全てを賄っていたある意味「良き時代」は終わり、現在はどこからでも電気を買える時代になりました。そのうえ燃料調達の不安定さ、頻発する自然災害、カーボンニュートラルと複雑な課題に立ち向かわなくてはならず、事業環境は正直いって「しんどい」と感じる部分があるのも事実だと思います。
ただ、他の電力会社でも対峙する課題は基本的に同じで、見回せば世界中で「環境に配慮した電気を安く安定的に確保すること」に頭を悩ませているのです。幸い皆さんは東北地域に「より、そう」使命感とピカイチの専門能力を持っています。そして過去の多くの経験から、東北の自然災害に備え、対応する知恵をたくさん持っています。これは他社にはない東北電力だけの力。胸を張ってアピールしていいと思います。
新たな課題に対しても、東北電力グループの総合力を発揮して取り組めば、必ず良い答えにたどり着けると思います。ぜひ自分たちのグループの力を信じ、誇りをもって進んでいきましょう。

【バックナンバーは以下リンクから】
川野邊社外取締役インタビュー ~失敗を恐れずチャレンジしよう~
永井社外取締役インタビュー~「強くてよい会社」を目指して共に頑張ろう~
宮原社外取締役インタビュー ~地域に根差して、これまでも、これからも~