
発電カンパニー長として
──就任されてからの所感はいかがですか。
競争環境が大きく変化している中で就任し、難しい舵取りを担う重責を感じています。
これまでの経験を生かして、カンパニーのメンバーや発電設備が持っているポテンシャルを最大限に引き出し、当社の電源が生み出す価値をさらに高め、収益拡大につなげていきたいと思います。
──発電カンパニーを取り巻く経営環境についてどのように考えておられますか。
東日本大震災以降、電力システム改革などにより発電事業を取り巻く環境は大きく変化し、一段と複雑化しています。
データセンターや半導体工場などにより増加する電力需要に応え、かつカーボンニュートラルを推進するための電源ポートフォリオの構築、増加需要や地政学リスクの高まりに対応するための燃料調達や需給調整など、発電カンパニーにおける意思決定には、これまで以上に高い戦略性が求められています。

そのような中、発電カンパニーは体制を再編し、火力に加え、水力、風力などの再生可能エネルギーを一体的に管理、運用していくこととしました。これにより、お客さまのニーズやカーボンニュートラルの潮流に一層応えるとともに、それぞれの強みを生かした相乗効果を高めていきたいと考えています。また同じく4月から、再エネアグリゲーションを始めとする電源リソースを活用したサービスなど、事業創出部門の業務の一部が「ERAB※推進室」として発電カンパニーに移管されました。
新たな発電カンパニーは、電源の開発・運用から卸売・トレーディングまで幅広い事業を通じて、引き続き東北6県と新潟県の社会活動を支え、グループの収益拡大に貢献していきます。
※エネルギーリソースアグリゲーションビジネスの略
──「よりそうnext+PLUS」のターゲットである2030年代に向けて、発電カンパニーが注力していくポイントを教えてください。
大きく3つあります。
カーボンニュートラルの推進と、電力の安定供給
私たちが提供するエネルギーは、将来の地球環境に深く関わっています。社会全体が脱炭素を目指す中で、東北電力が果たすべき役割は大変重要です。発電カンパニーは火力、水力、風力などの電源ポートフォリオ全体で、カーボンニュートラルの推進に挑戦します。
また、「電力の安定供給」は、東北電力グループの社会的価値そのものであり、事業活動の根幹となるものです。競争環境が大きく変化している今だからこそ、グループ全体の「稼ぐ力」を支える不可欠な価値として、今後も守り抜いていく必要があります。
安全の最優先と、コンプライアンスの徹底
東北電力グループを取り巻く環境は目まぐるしく変化していますが、どんな時代においても「安全の確保」はあらゆる事業活動における最優先事項です。仲間を失うことなど到底許されるものではありません。安全が確保されてこそ、私たちは安心して力を発揮することができます。
労働安全を実現するためには、互いに気を配り、助け合い、「おかしい」と思ったら声をあげて、職場全体で安全意識を共有することが大切です。どんなに忙しくても、どんなに大きな仕事でも、安全が最優先であることを忘れないでほしいと思います。
加えて、企業が継続的に発展していくためには、ステークホルダーから信頼され、選択され続けることが必要不可欠です。コンプライアンスの徹底に向けて、発電カンパニーでは顧客情報の不適切な閲覧事案を契機とした行為規制の再発防止を含め、コンプライアンス向上の取り組みを着実に進めています。

「稼ぐ力」の強化
エネルギー資源を取り巻く地政学リスクや市場環境の変化が続く中だからこそ、「稼ぐ力」の強化が欠かせません。そのためには、私たち一人ひとりの専門性と創意工夫が大きな鍵となります。皆さんが日々挑戦し、積み重ねてきた努力こそが、私たちを次のステージへと導いてくれると信じています。
これまでの経歴や思い出、仕事観など
──初任地と最初の業務について教えてください。
初任地は東新潟火力発電所(以下、東新潟火力)で、技術課機械係という部署に配属され、担当業務はボイラーの周辺設備のメンテナンスでした。そこから7年半を東新潟火力で過ごし、蒸気タービンやボイラー本体のメンテナンス、運転業務も経験しました。
- コンバインドサイクルの営業を開始した東新潟火力(「東北電力」1985年1月号より)
- 現在の東新潟火力(2016年7月撮影)
その頃の東北電力の火力発電は、安定運転に加えて熱効率の向上によるコストダウンなど、新たな価値を追求し始めた時期でした。東新潟火力は大容量のガスコンバインドサイクルを国内の事業用として初めて採用した発電所で、最新鋭設備ならではの苦労もありましたが、さまざまな技術革新を目の当たりにすることができて、非常に勉強になりました。
(参考:東新潟火力3号系列が営業運転を開始)Vol.294 1985年1月号|東北電力社内報
入社当時の東新潟火力は、その熱効率の良さを生かしたベース電源として基本的にはフル稼働しており、発電を止めることは極力避ける必要がありました。そのため設備のメンテナンスは年末年始やお盆といった、世間がお休みで比較的電力需要が少ない時期に限られ、時には深夜に及ぶこともありました。

現在の東新潟火力は、天候や時間帯などで変動する再生可能エネルギーの発電量を補う、調整電源としての役割を担っています。フル稼働していた時代を知るものとしては隔世の感があります。一方で、時代の変化に合わせて技術を進化させ、従来のやり方にとらわれず変革に果敢に挑んできたことは、発電カンパニーの大きな強みだと思っています。
──東新潟火力では東日本大震災の後、緊急設置電源の建設にも携わられています。
東日本大震災の発生時、私は新仙台火力発電所にある火力技術訓練センターの所長でしたが、深刻な供給力不足を解消するために緊急設置電源を建設するということが決まり、すぐ東新潟火力に異動になりました。
その前は東新潟火力でコンバインド技術課長をしていたこともあり、現場の関係者にはよく知っている方も多くいましたが、それでも通常は3年ぐらいかかるような一連の行程を「1年で」と言われた時は、本当にできるのか不安だったのが正直なところです。
それでも、深刻な供給力不足を一刻も早く解消しなければならないという強い使命感が、現場にはありました。工程短縮や安全確保のために、当時の関係者の皆さんが知恵を出し合ってくださり、あれだけ短期間での工事の中、労働災害やヒューマンエラーを起こさずに完了できたのは、東北電力グループの技術力とチームワークの良さの賜物だと思います。
(参考:緊急設置電源が営業運転を開始)Vol.624 2012年7月号|東北電力社内報 BRIDGE
──仕事をする上で大切にしていることは何ですか。
厳しい課題に向き合う時こそ、前向きで建設的な雰囲気が必要だと考えています。「明るく、楽しく、気持ち良く」がモットーです。
トラブルや課題にぶつかった時、若い頃は「自分で何とかしたい、認められたい」という気持ちもあって、しばしば一人で抱え込んでしまうことがありました。しかし、年齢を重ねるうちに、自分一人でできることの限界が分かってきて、経験の多い上司や先輩、メーカーや協力会社の方を頼ってみるようにしたら、自分では思いつかなかったようなアプローチが生まれ、一気に解決するということが何度かありました。そこから「自分が直面しているトラブルや課題の多くは、以前に他の誰かが経験している」ということを学びました。
こういった経験から、発生した問題を最短距離で解決するには、多くの人が集まって互いのスキルと経験を生かすことが何より大事だと考えています。東新潟火力のコンバインド技術課長だった頃、トラブルが起きた際は、状況の説明や対応策の協議をするために、協力会社を含めた多くの関係者を呼び、一堂に集まってもらっていました。そして、そんな時にたくさんの知恵を集めるために重要なのは「明るく」「楽しい」職場であること、そして関係者みんなで解決後の「気持ち良さ」を目指すことだと思います。
組織の力を引き出す土台は、日頃からの活発なコミュニケーションにあると思っています。

社員へのメッセージ
当社を取り巻く環境は、絶え間なく変化しています。
しかし、私たち東北電力はこれまで、あらゆる環境の変化に対して、柔軟かつ迅速に対応してきました。特に発電カンパニーは、需給面でも収益面でも、大きな役割を果たしてきたと思います。
これは、発電事業に従事する皆さんが、時代の変化に合わせて設備や運用を進化させてきた技術力と、変革に果敢に挑んできた向上心が、発電カンパニーのDNAとして受け継がれてきた結果だと思っています。
先行き不透明な状況は今後も続くと思いますが、ぜひ組織の力を信じて、前向きに周囲を巻き込みながら、課題に立ち向かってください。
組織を変えるには大きなエネルギーが必要で、失敗を恐れて立ち止まってしまうこともあると思います。だからこそ、最初から完璧を目指すのではなく、まずは一歩、踏み出してほしい。
多くの人の知恵を集めていけば、一見難しく見える課題にも必ず糸口が見えてきます。そうして「解決の喜び」を積み重ねることが、やがて組織を変える力になるはずです。
皆さんの力が結集すれば、乗り越えられない壁はないと信じています。最初の一歩を果敢に踏み出し、共に前へ進んでいきましょう。

オフの日の過ごし方阿部カンパニー長は、健康づくりのために数年前からウォーキングを続けているそうです。平日はなかなか時間が取れないため、週末に奥さまと会話を楽しみながら歩くことが多いとのこと。遠出をして観光を兼ねて歩くこともあり、先日は宮城県加美町でネモフィラ畑を眺めながら散策し、食事や温泉も楽しまれたそうです。「良いリフレッシュになっています」と穏やかに話されていました。 |
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