
「光」の技術で次世代を支える研究・新商品開発を行う
北日本電線は、電力の安定供給の一翼を担う配電線・送電線の製造・販売といった電線分野のほか、そこで培った技術と信頼をベースに「融雪商品」「床暖房」「省力化装置」「光デバイス」などの分野に進出しています。
特に光デバイス分野においては、「光」をキーワードに新商品開発に取り組んでおり、「よりそうnext」にも掲げられているスマート社会実現に向けて研究開発・新商品の投入にも力を入れています。その業務を中心となって行っているのが、我々新事業開発部です。

北日本電線 新事業開発部 荻野悦男部長
新事業開発部は、もともと国内FTTH※1インフラ整備に貢献する光スプリッタ※2の製造・供給を担う部署としてスタートし、2000年に宮城県柴田町に工場を新設して事業を本格化しました。当社において比較的新しい分野ではありますが、光学技術を中核とする複数の基盤技術のもと「光通信分野」「レーザー応用分野」「センシング分野」「メディカル分野」の4つの市場をターゲットに、さらなる技術革新を目指しています。
昨年5月からはスマート社会の実現に我々の技術で貢献できるよう、様々な取り組みを始めています。
※1 FTTH(Fiber To The Home)…光ファイバーによる家庭向けのデータ通信サービス
※2 光スプリッタ…データ通信を行う上で回線を分離したり混合したりするために設置される機器
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新事業開発部にて製作している光デバイス関連部品
先端には目で見えないような細かさの溝が彫られている
- 北日本電線 新事業開発部 事業創出グループ 佐々木恵逸グループリーダー
世界でも高評価のLiDAR技術
スマート社会実現に向けた事業として①視覚センサーとそれを応用したLiDARの開発 ②メディカル部材の開発 ③東北電力グループ4社での共同研究によるモビリティ事業関連テーマの研究 ④東北電力研究開発センターとの光技術を応用したセンシングに関する共同研究に力を入れています。
特に大きく期待しているのが、視覚センサーとLiDARの開発です。LiDARとはLight Detection And Ranging(光による検知と測距)の略称で、対象物に光を照射し、その反射光を光センサーで捉えて物体との距離を測定し、3次元イメージとして認識することができるセンシングシステムのことで、数年後に本格的に市場が立ち上がると予想される自動運転の「眼」となる技術としても全世界で活発に商品化が進められています。今年1月にラスベガスで開催された世界最大級の国際的な電子機器の展示会「CES(Consumer Electronics Show)2022」に北日本電線と共同開発企業が開発した製品をデモンストレーションした際には、小型で、200mを超える長い距離をセンシングできること、さらにシステムの信頼性に優れるという点が高く評価され「これが実用化出来れば素晴らしい製品だ!」という驚きの声もあったそうです。

LiDARのセンサー部分とCESでの展示の様子
自動運転用途のほかにも、ファクトリーオートメーション用ロボットの視覚センサー用途、橋や線路などのインフラのリモート保全監視システムとしての応用に期待されています。東北電力グループ内の業務では鉄塔や変電所等の経年劣化について人を介さずに監視できるシステムとして応用できると考えています。
グループ企業と共同研究
モビリティの分野では、東北電力グループの製造系4社(通研電気工業、東北電機製造、東北計器工業、北日本電線)で取り組んだ共同研究にて、今後の成長市場として期待される電気自動車の普及に不可欠な充電インフラ整備とサービスの構築を狙ったEV急速充電スタンドを安価に製造するための検討を行ってきました。既に他の電力会社では、EV急速充電スタンドの先行メーカーとの協業によるビジネスモデルを確立する動きもあります。私たちは、まずはコストダウンや長寿命化を実現するための検討を行ったところです。この共同研究を通して、東北電力やグループ企業とのパイプができ、これまでとは違った提案ができる環境が整いつつあると感じています。
- 北日本電線 新事業開発部 事業創出グループ 宮田隆典さん
オンリーワンの製品でスマート社会実現に貢献
最後に、皆さんへ今後の展望や目標を伺いました。
「今後は、研究・開発を進めている事業の実用化はもちろん、他社が手をつけていないニッチな市場で、オンリーワンや先駆者となれるような製品や技術を開発したいと考えています。また、これまでの一般市場をターゲットとしたビジネスに加え、昨年から東北電力が掲げるスマート社会実現に貢献するための製品開発や研究開発が増えてきました。企業グループと連携しながら地域の課題解決等に貢献するとともに、当社のプレゼンスもあげていきたいと考えています」(荻野部長)
「入社からずっと光デバイス分野に携わってきました。その頃から考えると、スマートフォンのような技術は考えられませんでしたし、今後もさらに技術革新は続くと思います。私たちの事業が技術革新や社会に貢献し、スマート社会実現につながっていくよう、これからも尽力していきます」(佐々木グループリーダー)
「クライアントの要望をくみ取って商品開発するというのは答えがないことが多く、苦労もあります。一方で、今まで世の中になかった技術を開発し、提供していくことはやりがいでもあります。これからも縁の下の力持ちとして、世の中の役に立つ技術を生み出していきたいです」(宮田さん)