
油圧工具把持先端工具(改良型)の開発
配電部門では、間接活線工事の電線接続における圧縮作業では油圧工具が使われています。しかし、これまでの油圧工具把持先端工具は、油圧圧縮工具から油圧ホースを取り外さないと組み合わせることができない構造のため、手間と時間を要していました。また、油圧ホースを取り外した際に、作動油が漏れることにより、手足の滑りによって、怪我や工具の落下につながる恐れがありました。このため、従来の油圧工具把持先端工具に開閉部を設けて、油圧ホースを外すことなく容易に組み合わせ可能な構造へ改良しました。改良に当たっては、特に開閉部のロック機構について検討し、損傷しにくく、誰でも容易に取り扱いできる構造として、つまみ式のサムターンロックを採用しました。
私は、ユアテック教育出向期間中、さまざまな作業を通じて改善余地が多く残っていると感じており、今回の開発に至りました。既存の工具に開閉部を設けるだけのシンプルな構造で大きな効率化効果を得ることができました。今後も小さな気付きを大切に職場の仲間と改善に取り組んでいきたいと思います。
- 柏崎電力センター 配電課 本間 佳さん(当時所属:新潟電力センター)
- 油圧工具把持先端工具(改良型) 左:従来品 右:開発品
- 油圧圧縮工具から油圧ホースを外さずに取り付け可能
無停電工法用ケーブル中間吊下げ支持具(ツレール)の開発
これまで無停電工法用ケーブルを取り付けする際は、仮アームをケーブルの支持具として使用していましたが、仮アームは重い上に、電柱に取り付けすることから電柱周りが輻輳し、作業の支障となっていました。
そこで、「誰でも、どこにでも、楽に、早く」をコンセプトに、低圧線、架空支線など、どこにでも無停電工法用ケーブルを吊り下げることができるような工具があればいいと考え、「ツレール」を開発しました。
ツレールは、仮アームと比較して約81%軽量化(約1.6kg)されているため、重量的負担が無い上に、10秒もあれば誰にでも容易に取り付けすることが可能です。また、電柱から離れた位置(架空線等の任意の位置)で無停電工法用ケーブルを吊ることから、電柱周りの作業範囲が十分に確保され、作業安全の確保と作業効率化に大きく貢献できる工具だと思います。
開発に当たっては、職場や工事会社およびメーカーの方々に多大なるご協力をいただき、試行錯誤を繰り返しながら使い勝手の良い支持具を開発することができました。今後も現場ニーズを踏まえた技術開発を行っていきたいです。
- 仙台南電力センター 配電テクノセンター 今野 綾一さん
- 上:仮アーム(従来使用品) 下:ツレール(開発品)
- ツレール 使用時
短尺形ホットロータの開発
現在、工事用開閉器や高圧電源車用高圧ケーブルの接続器に用いられている被覆貫通型クランプは、間接活線用スティックの「ホットロータ」に「トルクリミッタ」と「CFアダプタ」を取り付けした工具を用いて高圧線への取り付け作業を行っています。この作業を実施する際は、工具全長が他の間接活線用工具よりも約40cm長くなり、高所作業車のバケット内で作業性の低下と重量的負担が課題となっていました。
そこで、この課題を解決するための重点項目として、4つのポイント(①作業時の全体バランス、②重量、③持ち易さ、④ハンドル使用時の扱い易さを考慮した長さの選定)を掲げ、諦めることなく繰り返し検証し「短尺形ホットロータ」の完成に至りました。短尺形ホットロータは、その名のとおり、現行品よりも短尺・軽量化したうえ、操作用ハンドルを左右および底面に取り付け可能なことから、作業性が大幅に向上しています。
最後になりますが、現場の皆さまにはぜひ活用いただき、その効果を感じてほしいと思います。
- 仙台南電力センター 配電テクノセンター 千葉 和雄さん
- 従来品と開発品の比較
- 操作用ハンドル挿入口
W-CVT(遮水層付高圧用架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)用シース剥ぎ取り工具
地中高圧配電線に導入されている「W-CVTケーブル」のシース(外装)部はCVTケーブルと比較した場合、非常に硬く、マンホール内の狭小個所での作業や厳寒期などの悪条件が加わることで、「作業時間の延長による疲労」、「カッターナイフによる切創リスク」、「技量の差による施工品質のバラツキ」等の課題がありました。
このため、これら課題を解決するために、施工者の技量によらず、安全かつスピーディーに施工できる工具開発に取り組みました。開発に当たっては、特にケーブルの性能を低下させないために「切込み刃の深さ調整」、「力を入れやすく持ちやすい形状」という難題について、メーカーや工事会社と綿密な打ち合わせを行い、検証と改良を重ねることで、開発に携わった仲間全員が納得できる工具に仕上げることができました。
本開発品は、従来のシース部剥ぎ取り作業と比較し、作業時間が1/10程度に短縮される上、安全性の向上、作業環境や技能レベルによる施工品質のバラつきが解消されるといった、さまざまな効果が期待できる工具です。
- 天童電力センター 配電技術サービス課 佐藤 謙賢さん(写真右)、猪股 博充さん(写真左)(当時所属:両名とも山形電力センター)
- W-CVT剥ぎ取り工具使用方法
変台組立吊上工具の開発
変圧器を設置する場合、安全かつ効率的にハンガバンド(変台)を組み立てする必要がありますが、実作業における安全性および作業性の向上を目的に検証を行い、3つのコンセプト(①地上で容易に変台を組み立て、②碍子等の重量物があっても安定した状態で吊り上げ、③容易に電柱に設置できること)を掲げ、試行錯誤と検証を繰り返し、2019年に組み立て時は台として使用し、吊り上げ時は吊上部・締付部を一体化した変台組立吊上工具を開発しました。
この工具開発に当たって苦労した点は、ハンガバンドを電柱に設置する際、ハンガバンドの設置方向に「容易に回転」させ、設置が完了するまでアーム把持部が「緩まない」構造を実現することでした。思い描いた工具の開発から改良・全社導入まで長い年月を要しましたが、改めて「技術開発の楽しさ」「PDCAの大切さ」を感じております。今後も、常に問題意識を持ち、配電部門の進化のために精進していくとともに、若手社員にもこの楽しさを伝えていきたいと考えております。
- 八戸電力センター 配電技術サービス課 島川 健 副長(当時所属:五所川原電力センター)
- 変台組立時
- 変台吊上時
耐塩用CF(カットアウト遮断器)密閉蓋取付工具の開発
耐塩用CF(柱上変圧器1次側にあるカットアウト遮断器)は、塩害による不要遮断を防止するために本体の底面に密閉蓋を取り付けする構造となっております。耐塩用CFにヒューズ投入後は、本体から紐でぶら下がった密閉蓋を間接活線工具で掴んで取り付けしていましたが、風の影響があると蓋が掴みづらく、大幅な作業効率の低下が発生していました。さらに、開発当時の気仙沼電力センター管内は震災復興工事が盛んで、耐塩用CFのヒューズ操作が頻繁に行われていたことから、作業時間の短縮と作業環境のカイゼンを目的として、間接活線用スティック一本で簡単に取り付け出来る工具を開発することとしました。
開発に当たっては、さまざまなメーカー・種類の密閉蓋を収集して、フックの角度や最適な形状を割り出し、滑り止めを加えるなど、多くの作業検証を重ねて工具を開発しました。作業検証は強風環境下で確認していることから、作業性は問題なく、悪条件下でこそ密閉蓋取付工具の効果が、より発揮されるものとなっております。また、使い方に不明な点がある場合は、メーカー取扱説明書や製品側面のQRコードから動画確認出来る工夫もされていますので、ぜひ現場で活用いただければと思います。
- 気仙沼電力センター 配電課 猪又 崇 配電技術長
- 従来工法
- 耐塩用CF密閉蓋取付け工具