■塩釜電力センター■将来の配電事業の動向や課題にかかる講演ならびに意見交換会を開催

 11月20日、塩釜電力センター(志摩 修所長)では、一般財団法人 電力中央研究所社会経済研究所の澤部まどか上席研究員、後藤久典上席研究員、田口裕史主任研究員の3名を講師として招き、これまでの研究・調査の成果に関する講演および意見交換会を開催しました。

能代電力センター、古川電力センター、長岡電力センターとの合同開催

 塩釜電力センターでは、近年の電気事業制度改革(レベニューキャップや行為規制など)により、配電事業を取り巻く環境が大きく変化する中で、所員の意識やモチベーションの向上、将来に対する不安の解消、部門ルールに縛られない自由な発想と自ら行動する姿勢の醸成などを目的に各分野から講師を招き、勉強会や意見交換会を開催しています。

 今回は塩釜電力センターだけでなく、能代電力センター(25名)、古川電力センター(8名)、長岡電力センター(9名)の3事業所からもTV会議システムを通じて参加し、講師からの問いかけに応じる形式で意見交換会を行いました。

 

TV会議システムにて4事業所を接続

 

 

 

司会・進行 塩釜電力センター 志摩 修 所長

 

海外の配電事業者の試⾏錯誤 ~地域関連事業を中⼼に~ 澤部上席研究員

 澤部まどか上席研究員からは、英国の配電事業者が、利害関係者の便益に資する事業へのインセンティブ付けを重視した「新しいレベニューキャップ制度」の下、地域関連事業として行っている取り組みについて紹介がありました(地域基金、弱者への優先サポート、教育支援など)。また、これらを実施する際の課題や解決方法、評価に際して、金銭的利益ではなく社会的便益を加味した指標「社会投資利益率(SROI)」を用いているとの説明がありました。加えて、英国の配電事業者であるUKPN社は「従業員の強靭化」を重視し、レベニューキャップ項目に入れるよう働きかけるとともに、従業員の能⼒開発や社会的接点の強化など⼈材重視の取り組みを行っているとのことでした。

 講師からは紹介内容について“東北電力ネットワークにも適用できるか”との問いかけがあり、参加者で意見交換を行いました。

 

澤部まどか上席研究員

 

人口減少とインフラ維持 ~配電事業への示唆~ 田口主任研究員

 田口主任研究員からは、人口減少は、配電事業にとって「需要」と「供給(労働力不足)」の面でインフラの持続性に関わる問題となり、事業者は「①供給の効率化」「②値上げなどによる収入の確保」「③収入減に見合うサービスの縮小」の組み合わせで打開するしかないという話がありました。それに対する具体的な方策として「水道など異なるインフラサービス事業との統合(マルチユーティリティー)」、「人口減少地域への分散型サービス提供(オフグリット)」、「都市のコンパクト化」という3つの案が示され、その実現性について意見交換を行いました。

 

田口裕史 主任研究員

 

電気事業・配電事業に対する顧客の期待や評価 後藤上席研究員

 後藤上席研究員からは、配電事業を円滑に進める上で、地域・顧客との良好な関係の構築は欠かせないという観点で、電力中央研究所が定期的に実施しているアンケート結果から、地域・顧客からの期待や評価についての紹介がありました。そのうち、

・安定供給に対する評価は依然高いものの、自由化前に比べ低下

・地域貢献活動の認知度は、「具体的活動を知らない」との回答が半数を超える

・東北地域は、特に停電対策(PV・EV・蓄電池の設置)に対する高い関心がある

という3つの評価に、どのような打ち手が考えられるかについて意見交換を行いました。

 

後藤久典上席研究員

 

~参加者の所感~

塩釜電力センター 配電工事課 及川 雄大さん

 

・イギリスの配電事業では、弱者へのサポート(手続き支援、停電時の発電機対応、家族や介助者への連絡代行)を配電事業者が実施するなど、お客さまに寄り添ったサービスを提供しており、とても共感できました。また、レベニューキャップ制度の中に人材強靭化の項目があり人材を大切にする思いが込められていました。是非とも日本のレベニューキャップ制度にも取り入れてほしいと思います。

・将来の配電事業の可能性や課題については、人口減少が進む昨今、現状の設備維持が厳しく、効率的な運用・コスト削減が課題であり、独立した系統のオフグリッド型供給が望まれると感じました。また再生可能エネルギーの利用拡大に対する期待も高まっており、環境に配慮した配電事業が評価される時代と感じました。ハードルは高いですが実現することで持続可能な配電事業を目指していきたいと思います。

 

 

 

塩釜電力センター 配電管理課 猪又 和彦さん

 

 今回の講演「海外の配電事業の動向」では、普段目にすることない貴重な情報を知り得る機会となり大変勉強になりました。配電事業に関する制度が国ごとに違うということはありますが、地域関連事業としてさまざまなことに取り組んでおり、東北電力グループの経営理念「地域社会との共栄」に通じるものがあると感じました。後半の意見交換では、分散型のインフラ整備や多能工、顧客からの期待などに関して他電力センターの意見も知ることができ有意義な機会となりました。

 普段は目の前の業務を処理することで精一杯ではありますが、意見交換会に参加し、自分たちの生業である配電事業の将来やあるべき姿を考える良い機会を得られたと感じます。今回をきっかけにして、私達の配電はどうありたいか職場の仲間と明るく前向きに話し合いたいと思います。

 

 

<編集後記:塩釜電力センター 吉田 課課長>

 将来の配電事業は、多くの可能性と課題を抱えていますが、各自が積極的に学ぶなかで、外部からの知見や視点を知ることにより、より良い事業活動を展開するためのヒントが得られると思います。今回の講演会・意見交換会を良いきっかけとして、地域やお客さまの声にもっと耳を傾けてみましょう。今回ご参加いただきました、能代電力センター、古川電力センター、長岡電力センター3事業所のみなさまご協力ありがとうございました。

 

イイね!
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