
メディア対応の極意 [4]言葉以外のコミュニケーションも大切
企業が、新聞やテレビなどのマスメディアを介して情報を発信するのは、より多くのステークホルダーに活動への理解を深めてもらうためです。ステークホルダーへの情報の媒介役を担う記者とのコミュニケーションをどのように進めていけば良いのか。メディア対応の在り方(マスメディア編)について、ジャーナリストの大平宗氏に解説いただきます。(4/5)
【寄稿者】大平 宗 氏
ジャーナリスト。経済・エネルギー、企業・団体などの危機管理(メディア戦略)をフィールドに活動。東北電力「原子力の安全と信頼に関する顧問会議」委員、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)アドバイザー、復興庁参与、厚生労働省参与、高度技術社会推進協会理事などを歴任。ペンネームは河原雄三。
[4]言葉以外のコミュニケーションも大切
コミュニケーションの手段は、言葉だけではありません。言葉で伝えきれない感情などを表情や仕草、視線、姿勢、服装、話し方のテンポ・明快さといった言葉以外の手段で補っています。言葉に出さなくても、ちょっとした表情の変化や立ち居振る舞いが「誠実な人柄」「不遜な態度」などと、その人の印象をがらっと変えてしまうことがあります。
たとえば経営トップが、値上げの方針を表明する記者会見にいつになく険しい表情で臨めば、口に出さなくても厳しい決断だったのかと、心のうちを読み取る記者もいるでしょう。結果、記者会見の狙いを端的に表すシーンとして〝険しい表情〟を切り取ってTVニュースの映像に用い、写真を掲載する新聞も。記者会見やインタビュー(TVカメラ撮影ありの場合)では、撮られていることを常に意識する必要があります。

■カメラの〝眼〟に注意!
記者会見は、開始から終了までの間の報道陣とのやり取りが記事になります。
しかしTVカメラは、会見者が会場に足を踏み入れた瞬間から撮影が始まり、会見が終わっても会場を去るまで撮影が続くと思ってください。新聞社や通信社のカメラ記者も、一瞬のシャッターチャンスを狙っています。
重大な不祥事が発覚した企業のトップが、第三者委員会の報告書公表を受けて記者会見に臨み、報道陣の厳しい追及にたまりかねて「報告書をまだ読んでいない」と告白。一方的に会見を打ち切ったあげく、撮影が続いていることを知ってか知らでか、出口付近で「朝から会議だったんだ!」と捨て台詞を吐いて退出、会見場は騒然となりました。
事故やトラブルをめぐる記者会見では、会見者が報道陣を相手に冷静さを欠くシーンを何度も目撃しました。しかし、厳しく追及する記者に激高し、喧嘩腰で応戦する敵対的な言動はどう考えてもNGです。「マスコミは敵だ!」とばかり、記者を睨みつけるパフォーマンスも、カメラの格好の餌食になってしまいます。繰り返しますが、撮られていることを絶えず意識する必要があります。
服装にも〝落とし穴〟が潜んでいます。冒頭に深く頭を下げ「お詫び」から始まる記者会見に、派手なブローチや明るい色の鮮やかな柄のネクタイ姿で現れれば、どんな印象を持たれるのか分かりそうなものですが、本人が気づかないことが往々にしてあります。
その場合、気づいた人が事前に「ブローチを外して」「ネクタイを替えて」などと助言する。ここでも関係者間の緊密な連携が重要です。
