
事務所設立から現在までの経緯 ー藤原所長ー
2019年頃より、燃料費の一層の低減を追求するため、東北電力ではエネルギー取引の世界的中心地であるシンガポールへ進出することを検討してきました。まずは1名の出向者(現:燃料部燃料購買グループ橋本主査)を派遣し、進出の意義や効果を確認した上で2021年に同国に拠点を設けることを決定しました。拠点設置にあたっては電源の競争力強化に資するLNG調達のコスト低減を主軸とした需給最適化のサポート機能に加え、カーボンニュートラルに向けた検討などをサポートする機能も備えることとし、2022年4月に「燃料部シンガポール駐在員事務所」を3名の駐在員体制でスタートさせました。ニューヨーク事務所の廃止以来、約20年ぶりの東北電力直営の海外拠点となります。
当時はコロナ禍での立ち上げだったことから、駐在員の住居やオフィスの選定および口座開設、携帯電話などのインフラのセットアップは、全て現地入りしてからのスタートでした。“東北電力”の名前が通じない異国の地では苦労の連続でしたが、今では自社オフィスも構え、人員も3名から5名へ増え、ようやく業務活動も安定化してきました。

事務所設立時メンバー(池田所長〔現:東北天然ガス 社長〕、中村 副調査役〔現:火力部 火力企画グループ 副長〕、佐藤 副調査役)と当時シンガポール留学中の佐々木 愛美さん〔現:事業創出部門 事業開発ユニット〕
-
既に派遣されていた橋本主査と合流
〔左から中村 副調査役、池田所長、佐藤 副調査役、橋本主査〕
- 東北電力シンガポール事務所があるビジネスエリア
LNG業務 ー佐藤副調査役ー
シンガポールはLNG取引の世界的ハブであり、世界各国からLNGプレーヤーが集まっています。特に、当事務所が居を構えるラッフルズ・プレイスエリアには徒歩10分圏内に多くのエネルギー関連企業が集まり、至る所で商談が行われています。
私がシンガポールに来てから約3年が経過しますが、これまで80社のLNG関連企業とコネクションを築き、日々、各社のトレーダーやアナリスト、記者などと連絡を取り合いながら最新市況の把握、当社の需給最適化のために貢献できることを探しています。ようやく業界内でも“東北電力”の名前と、私の顔が浸透し、各方面の情報や取引の誘いが集まり始めたことにやりがいを感じています。
当社のLNG調達を“外”から見た気付きは多々あるのですが、“東北電力”のネームバリューは思っていたよりも大きく、「東北電力のような信頼のおける会社と取引したい」といった声をよく掛けられます。自分の勤める会社がこのような評価を受けることは、一社員としてもとても嬉しく感じますし、もっと頑張らなくてはといったモチベーションにもつながっています。今後も、当社の良さを生かした活動を行っていきたいと思っています。
.jpg)
ドイツエネルギー企業との面談〔右:佐藤 副調査役〕
.jpeg)
ロンドンで開催されたLNGトレーダー研修に参加〔前列左端:佐藤 副調査役〕
-scaled.jpg)
スイストレーディング会社での面談〔右:佐藤 副調査役〕
カーボンニュートラル業務 ー中村 副調査役(現:火力部 火力企画グループ 副長)ー
シンガポールは、「東南アジアの玄関口」と言われ、東南アジアのどの国へも6時間圏内で移動することができます。
シンガポール事務所では、この地の利を生かし、当社のカーボンニュートラルに貢献し得るネタを各国飛び回りながら探索しています。
至近では、石炭火力発電所向けのブラックペレットと呼ばれるバイオマスに着目し、東南アジア各国でのサプライヤーの発掘に取り組んでいます。これまで、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピンでの現地調査を行い、得られた情報やネットワークを本店関係部と繋ぎ、ブラックペレットの利用可能性の検討に貢献しています。
加えて、シンガポールでは、カーボンニュートラルに関する多くの国際カンファレンスも行われ、人的交流・情報交換の場となっています。こうした機会も捉えながら、最新のカーボンニュートラルに関する動向や各種プレイヤーとのネットワーキングも積極的に行っています。
今後は、こうした関係性を深化させつつ、当社のカーボンニュートラルに貢献できるよう、引き続き広い視野で調査活動を進めて参ります。
.jpg)
タイ 木質ペレット生産者 現地視察〔右から藤原所長、中村 副調査役〕
.jpg)
ベトナム SIGMA社との面談〔左奥:藤原所長、左手前:中村 副調査役〕
.jpg)
インドネシア チレゴン発電所 現地視察
〔右:中村 副調査役〕
電力業務 ー黒田 副調査役ー
シンガポール事務所における仕事のひとつに“需給最適化”があり、その両輪である電力・燃料のうち、私は電力の担当として2024年12月に着任しました。需給最適化スタッフを兼務しながら、事業戦略部や東北電力エナジートレーディング(以下、TET)とも連携のうえ、取引機会の拡大・追求の一助となるようネットワーキング活動を展開しています。
昨今、電力事業におけるリスク管理の重要性の高まりから、日本の電力先物市場は急成長(下図参照)しており、取引量は急拡大しています。EEX※における直近2024年の取引量は72.9TWh(前年比300%増)となり、そのうち約3割がここシンガポールからの取引で、当地での日本の電力先物市場への関心の高さが伺える状況です。
以上から、プレーヤーとのネットワーク構築、新規参入を検討しているプレーヤーの後押しなどを通じて、市場の流動性を高め、東北電力の収益機会を拡大することが私のミッションです。まだ着任して数ヶ月ですが、「日本のトップランナーである東北電力・TETの意見を聞きたい」というリクエストも多数受けており、このチャンスを生かして今後も最適化に貢献していきたいと意気込んでいます。
※European Energy Exchange:欧州を中心に展開するエネルギー取引所

- マーケットに関する意見交換風景〔左:黒田 副調査役〕
- プレーヤーとのネットワーキング風景〔右:黒田 副調査役〕
今後の展望 ー阿部 所長代理ー
「シンガポール事務所で求められるものは英語力ですか?」と良く聞かれます。個人の意見とはなりますが、英語は話せるに越したことはないですが、むしろ求められるのは言葉以外のコミュニケーション力だと思います。事務所の皆さんの、人の懐に入って打ち解ける姿、好奇心を持ち続け活動する姿にはいつも感服しています。まさに適任の人財が集結し「ネットワーキング活動 ここにあり」の感があります。
LNG業務、カーボンニュートラル業務、電力業務他でシンガポールにその名を馳せつつある当事務所。駐在員事務所からスタートし、難しくもやりがいのある仕事に邁進して来た我々ですが、現状に満足することなく、常に、ありたい姿、を追求しております。シンガポールという拠点の更なる体制強化には何が必要なのか、どう変化していくか、燃料部にとって、発電カンパニーにとって、そして会社全体にとって、最適となる解を求め、5人一丸となって挑戦して参ります。
-scaled.jpg)
米国エネルギー企業との面談〔右:阿部 所長代理〕

左:事務所が入居するビル(真ん中茶色) 右:夜のマーライオンとマリーナベイサンズ
.jpg)
石山社長IR活動による来所(左から、中村 副調査役、佐藤 副調査役、藤原所長、石山社長、グループ戦略部門 丹野マネージャー〔現:大曲電力センター 所長〕、阿部 所長代理、黒田 副調査役)