【地域の魅力発信シリーズ#1.5】「もち」がごちそう!? 岩手県一関市の食文化に迫る!!

 「鬼死骸」のロマンあふれる伝説に触れたBRIDGE取材班は、同じ一関市に伝わる全国でも珍しい「もち」の食文化の取材へ向かいました!そこで出会ったのは、江戸時代から脈々と伝わる、ユニークかつ奥深い文化でした!!

江戸時代から続くもち文化

一関のもち文化について教えていただいた、世嬉の一酒造の岩渕 美幸さん

 「一関市では、年間60回も『もち』を食べると言われていますが、実際はそれ以上かもしれません。仙台藩の伊達家がこの地に持ち込んだのが、江戸時代。それから400年もの間受け継がれてきました。今でも『もち本膳』といって、仕切り役の口上から始まって、決められた順番通りにもちを残さず食べていくという作法も残っているんですよ」と教えてくれたのは、世嬉の一酒造の蔵元レストラン「せきのいち」の岩渕美幸さん。元々仙台藩は米の生産が盛んで、もちを毎月1日と15日に神仏に供える習慣があったそうです。そんな背景もあって、一関では、もちは神聖なもの、「ハレ」の食べ物と捉えるようになったのだとか。お正月だけでなく、季節の行事や冠婚葬祭、お客さんが来た際にもふるまっているそうです。もちは一関市の人々の生活に深く根付いているんですね。

 

千本杵を用いたもちつきの様子

 一関のもちつきは、その道具も独特です。もちつきには一般的な「杵」ではなく、「千本杵」と呼ばれる複数の真っすぐな棒状の杵を使うのが習わしなんだそうです。「これは、神様の力をまっすぐ餅におろしてあげる、という意味合いが込められているんです。千本杵を使うことで、もちには神聖な力が宿ると信じられています」。こんなところからも、一関ではいかにもちが特別なものとされているかが伝わってきますね。

いざ実食!!

 話を聞けば聞くほど食べたくて仕方がない取材班の前に、ついに一関のもち料理が…!豪華なお膳には、色々な味付けがされたもちが8つ(真ん中は口直しの大根の酢漬け)、そしてお雑煮も!

蔵元レストランせきのいちの「果報餅膳」

 

 一口食べてみると…、未体験の食感にビックリ!!とてもなめらかで、まるでアイスみたいに?溶けていくような食感です!その秘密を岩渕さんに伺うと、「一関のもちは、つきたてがポイントです。当店も、毎日もちをついて仕込んでいるんですよ」と嬉しそうに教えてくださいました。

もちを通して、人と人をつなぐ

 絶品のもちに舌鼓を打ちつつ、ふとお店の中で視線を上げてみると…、「もちマイスター」なる額縁が!岩渕さんはこの「もちマイスター」の資格を持っていらっしゃるんです!「この検定は、もち文化に関する知識習得のほか、餅つきや儀礼作法の実技試験も含まれているものです。地域住民がもちの伝統を守り、次世代に伝えるための重要な取り組みとなっているんですよ」

 

 秋には「全国もちフェスティバル」なるお祭りも開催され、地域おこしにも一役買っています。「もちフェスでは、もち料理だけでなく、キッチンカーやステージイベントも楽しめます。観光客の方も多く訪れてくれて、もち文化を外部に広める絶好の機会となっています」。例年10月頃開催されるというこのイベントも、とても見逃せないですね!!

 「もちは一関市民にとって、ただの食べ物ではなく、地域の誇りでもあります」―。岩渕さんの言葉にも表れているとおり、一関のもち文化は、単なる食文化にとどまらず、地域の伝統を受け継ぎ、人と人をつなぐ「架け橋」となっていることがわかりました。皆さんも、ぜひ現地を訪れて、(『鬼死骸停留所』にも立ち寄りながら)このもち文化を体験してみてはいかがでしょうか!?

編集後記

 絶品のもちを堪能したBRIDGE取材班が吸い込まれるように向かったのは、レストランに併設されている売店。日本酒の良い香りが立ち込める店内では、自慢の日本酒や看板商品である「蔵ビール」の他に、今人気上昇中のクラフトジンまで。お話を伺うと、クラフトジンは、コロナ禍に消毒用アルコールを精製していた技術を応用して始めたのだとか。おみやげにおすすめです!

 

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