
「実行力とスピード感を大事に」石山社長の抱負
──社長に就任してのお気持ちを教えてください。
社長という立場の重みを日が経つほどに実感しています。様々に変化する経営環境の中でしっかり経営のかじ取りをしていかなければならないと思っています。「進化をやめた時点で退化が始まる」という言葉もあるように、私自身も皆さんとともに失敗を恐れずに挑戦する姿勢を持って、実行力とスピード感を大事にしていきたいです。

──グループ戦略部門長やコーポレート担当の副社長として、これまで経営全般を幅広く見られてきましたが、現在の経営環境についてどのように捉えていますか。
昨年女川原子力発電所2号機が営業運転を再開したこともあり、足元の収支や財務状況は改善傾向にあります。一方で、自然災害などに対するリスク耐性を高めていくためにも、安定供給とカーボンニュートラルを両立しつつ成長を目指し、2021年度から2年連続の赤字で毀損した財務状況を早く整えていくことが重要です。今は2026年度の財務目標の達成に向けて、着実に足場を固めていく時期だと考えています。
──中長期ビジョンのターゲットである2030年代、また創立100周年を迎える2050年代を見据えて、社長としてどのような会社にしていきたいと考えていますか。
私は東北・新潟地域の発展に貢献したいという思いを持って東北電力に入社しましたが、その気持ちは今も変わっていません。「東北の繁栄なくして当社の発展なし」という創立以来の基本的な考え方や、経営理念である「地域社会との共栄」、グループスローガンである「より、そう、ちから。」は、当社グループにとって大切なものであり、これから先も変わらない不変の概念です。当社が100年企業として存続していくために、これからもお客さまや地域社会から信頼され、親しまれる会社でなければなりません。今後の経営の方向性としては、「よりそうnext+PLUS」に基づき、カーボンニュートラル(CN)とデジタル技術による変革(DX)を成長の機会と捉え、電気・エネルギーを中心に据えた事業の展開を通じて、2030年代のありたい姿「快適、安全、安心な暮らしを実感できるスマート社会」を実現していきたいと考えています。
東北・新潟地域は今後人口が大きく減少し、少子高齢化が急速に進展していきます。他の地域に先駆けて様々な社会課題が顕在化していきますので、当社が今後も地域の発展に貢献していくためには、地域とのつながりをより深化させながら、地域の課題やニーズにしっかりと応え、持続的に社会価値を創出していかなければなりません。また、一方で、東北・新潟地域は自然が豊かで再生可能エネルギーのポテンシャルが高く、冷涼な気候なことから、半導体工場やデータセンターの進出なども期待されています。地元の再生可能エネルギー電源を活用して、お客さまのニーズに合った電力、エネルギーサービスを提供できるなど、むしろ今後の可能性を秘めた地域とも捉えることができますし、我々にとってのビジネスチャンスにもつながるものと考えています。

──我々社員に期待することを教えてください。
まず、現場第一線を含めて社員の皆さんが非常に頑張っていただいていることに感謝申し上げます。我々経営陣としては、それにどうやって応えていくかということが大事になってくると考えています。
その上で今後、当社グループが成長していくうえで大切なこととして、私から社員の皆さんに期待するのは「物事を前向きに捉えて新しい課題に意欲を持って取り組む姿勢」です。特に大事だと思う要素は3つ、「好奇心」「創造性」「コラボレーション」です。好奇心は色々な事柄に関心を持つこと、創造性は自由な発想、コラボレーションは仲間とのチームワークです。
これまでの会社人生で、私自身、新しい課題に直面し取り組むことが多かったのですが、この3つの要素の重要性を実感しています。当社グループもこれから、前例のない様々な課題に挑戦していきますので、皆さんには物事を前向きに捉えて、柔軟な発想で取り組んでいただき、それぞれが会社の成長の原動力になってもらいたいと思います。
- 企画部時代にデンマークの送配電事業会社を訪問する石山社長(右)左は東北電力ネットワーク山田副社長
- デンマーク・コペンハーゲンの人魚姫像をバックに
──「物事を前向きに捉える」ために、管理職層には特に何を期待されますか。
管理職の皆さんには「変える」という視点を持ってほしいです。
入社して最初は仕事の中身を知ることから始まったと思います。そして仕事を知り、次第に自分でできるようになり、一人前の社員になります。さらに、それを周囲に教えることができるようになり、ようやく管理職になります。しかし仕事を知って、できるようになり、教えられる立場になって終わりではなく、次の大事なステップ「変える」視点を持つことが重要です。現状を良しとせず、新しいことにぜひチャレンジしてほしいです。
「会社員人生最大のエピソード」東日本大震災への対応を振り返る
──これまでで印象に残っている仕事を教えてください。
2010年6月から2年間務めた相双営業所長時代に起きた東日本大震災への対応です。直後に起きた東京電力福島第一原子力発電所(以下、福島第一原発)の事故の影響を受け、営業所長として厳しい対応の連続でした。自分の会社員人生最大のエピソードだと思っています。

相双営業所長時代の石山社長(避難区域内双葉町にて撮影)
相双営業所は福島第一原発から直線距離で25㎞ぐらい離れていたため避難区域になることは免れたのですが、地元住民の皆さまは徐々に30㎞圏外に避難されていき、市内は人の数も少なくなり、やがて物流が途絶え、食料や生活物資も届きにくくなりました。また相双営業所が担当するエリアの中で「避難区域」にあった富岡・浪江のサービスセンター社員は営業所への避難を余儀なくされ、相双営業所では各所からの応援隊に加えて避難社員の宿泊施設も確保する必要が生じたのですが、日頃からお付き合いをしていた地域の皆さんから食料の提供や宿泊施設の営業継続などのご支援をいただき、諸先輩方が長年築き上げてきた「地域との絆」の重要性を改めて実感しました。
営業所が屋内避難区域だったことから、津波被害や停電個所の復旧作業にあたっては様々な制約を受け、思うように仕事ができない場面もありました。また周囲では福島第一原発に関する色々な情報が飛び交い、言葉には出さなくても社員は少なからず不安を抱えていたと思います。所長としてとても心苦しかったのを覚えています。
相双営業所は幸いにも最後まで避難することなく復旧作業を継続することができたのですが、南相馬の市街地が地震の被害をほとんど受けず、電気、ガス、水道などのライフラインが無事だったこと、そして前職が女川原子力発電所長だった佐久間洋福島支店長(当時)との毎日のやり取りの中で、報道よりも早く福島第一原発で起こっている状況を正しく理解し関係者で情報共有できたことなどが、その大きな要因と考えています。

前線での対応に当たる石山社長(中央左)。中央右は海輪社長(当時)
当時の過酷な環境下で一緒に設備復旧や停電の解消などに取り組んだ社員や関係者の皆さんは私の中では今でも戦友だと思っています。
石山社長の仕事観
──仕事をする上で大切にしていることは何ですか。
先に話した「好奇心」「創造性」「コラボレーション」に加えて、「素直な心」「謙虚さ」も大事だと思っています。こういう立場になったからこそ、人の話を聞くことを心がけ、社員の皆さんとはしっかりとコミュニケーションを取っていきたいと考えています。
それから人の心を動かすうえで「熱意」「情熱」も大事です。

新仙台火力(発)技術課時代の石山社長(中央)
──愛用している仕事道具を教えてください。
手帳です。
自分の予定を書き込んで管理する他、気になった新聞記事やメモを貼り付けて空いた時間に何度も見返しながら情報を整理しています。手帳が手元にないと不安になるほどで、私にとっては欠かすことができない仕事道具です。

石山社長ってどんな人?

出身:福島県いわき市
趣味:役員になって以来ほとんど行けていない釣り、家族とのドライブ、健康のためのゴルフ、読書
最近の休みの過ごし方:孫と遊ぶ、ゴルフ
平日のランチはどこで何を:妻の作ったお弁当を社長室で食べています
マイブーム:生成AIに興味を持ち、Copilotに色々と壁打ちをしています。皆さんも是非自由な発想で使ってみてください
健康のために心がけていること:毎月通院して医師と対話、機会をみて運動
犬派/猫派:犬派。かつて飼っていたミニチュアダックスフントは17年生きました
最近嬉しかったこと:「妻と私どっちが好きか」と問われた孫の答えが「じいじ」
好きな食べ物:ラーメン
苦手な食べ物:辛いもの
ストレスや疲れがたまった時の解消方法:寝ること。できるだけ寝るようにしています
自分の性格を一言で:社交的。分からない所はとことん突き詰める一方、熱しやすく冷めやすい部分もあります
好きな言葉や座右の銘:「素直な心」(松下幸之助さん);考え方や態度の根底をなす言葉として座右の銘にしています。「知行合一」;「知識と行動は表裏一体。知識は行動に結び付かなければ意味がない」という言葉で、社長となった今、改めて自分に言い聞かせています
- 新入社員研修時の石山社長(左)(配電用木柱の建柱作業)
- 採用時の辞令
学生時代に熱中したこと:アルバイト。一時期は原宿や日比谷でウェイターとしてカクテルを作ったりしていました
子供の頃の夢:強いて言えばエンジニアになりたかったです
東北電力以外に志望していた業界や会社:もともとプラントメーカー志望でしたが、卒論がCO2レーザーの研究をしていたので次第にエネルギーに関心を持つようになり電力会社を志望するようになりました
BRIDGEで印象に残っている記事:社外取締役インタビュー。外の目線から東北電力グループを語ってもらうのはとても新鮮で、社員にとっても良い刺激になると思います