ユアテック小林社長インタビュー -創立100年のその先に向かって-

 4月1日、ユアテックの社長に小林郁見(こばやし・いくみ)氏が就任しました。BRIDGEでは社長としての抱負や、会社が目指す将来像について伺いました。

施工部門から管理部門へ。現場の思い出

──これまでの経歴を教えてください。

 ユアテックの前身である東北電気工事への入社は1981年で、最初の配属は宮城支社の内線工事課でした。初めての仕事は仙台市内の百貨店の新築工事で、当時は仕事を覚えるのに必死だったことを記憶しています。そこから15年ほどは現場代理人としてキャリアを積みました。自分の作成した図面が実際に形になること、そしてそれをお客さまに引き渡しすることはとても達成感がありました。

 社名がユアテックになった1991年には女川原子力発電所の工事に携わっていました。原子力発電所の建屋や付帯設備は一般の施設と比べて特別頑丈に作る必要がありましたし、細かな部品の選定においても放射線への耐性などを考慮しなくてはならず、他の現場では得られない経験ができました。また、当時の上司に誘われて、毎週末のように釣りに明け暮れたことも良い思い出です。カレイやアイナメ、ヒラメを釣っては鍋や刺身にして楽しんでいました。

 1999年には施工部門から管理部門へ異動して、経営企画部の中に発足した「経営革新グループ」で中期経営施策や収支計画の策定に携わりました。

 その後は営業所長や支社営業部長、営業企画部長、取締役などを経て、現在に至っています。

 

 

──これまでの仕事で印象に残っていることを教えてください。

 現場代理人として最後に携わった成田国際空港の工事です。

 工事の内容は滑走路の灯火を更新するというものだったのですが、現場が国際空港ということで厳しい制約がありました。工事は最終便が離陸した後の23時に開始して、始発便が動き出す翌朝6時には撤収を完了していなければならず、加えて作業場所の4,000m滑走路にはちりひとつ残すことも許されません。

 緊張感が漂う現場で、夜明け前の暗闇の中、投光器を掲げながら作業者みんなで必死に安全確認したことを覚えています。

 

現場代理人として成田国際空港の指揮をとる小林社長(左端)

 

 そしてやはり忘れられないのは2011年の東日本大震災です。当時は仙台中央営業所長として、配電・設備部門の所員を津波被害が甚大だった沿岸部の事業所に応援派遣として送り出しながら、私自身も復旧現場に入って、安全パトロールと所員激励に奔走しました。

 現場で復旧作業に尽力する社員の姿を目の当たりにして、「電力の安定供給」を支えるユアテックの使命感は本当に素晴らしいものだと感じました。

 

──ご自分のキャリアの中でターニングポイントだと思うところはどこですか。

 施工部門から経営企画部に異動したことです。

 当時の営業本部(現在の営業本部とエンジニアリング本部)は大変厳しい時代を迎えていて、危機を脱するためには変革を必要としていました。どうすれば経営を改善できるのか必死になって考えて、経営環境や自社の分析を行い、経営層ともディスカッションする日々が続きました。その後ユアテックが実行した機構改革や組織整備は効果を発揮し、会社の業績を伸ばすことができました。

 会社としての大きな転換期に携わって、その中で自分なりに全ての部門を見渡すことができたのは貴重な経験でした。今の経営視点はこの時に育まれたといっても過言ではないと思います。

 

創立100周年のその先へ向けて 「全社最適」の視点を大切に

──社長に就任しての抱負をお聞かせください。

 ユアテックはグループ会社や協力会社まで含めると1万人以上の社員が働いています。皆さんの命と生活を守るため、まずは安全を最優先に、これまで歴代社長が築き上げてきた実績を引き継ぎ、長期目標として掲げている「2030ビジョン」の達成前倒しに向けて果敢に挑戦していきます。

 昨年10月にユアテックは創立80周年を迎えました。創立100周年やその先に向けて、足元では中期経営計画の基本となる「既存事業の深化と成長分野の拡大」、「サステナビリティ経営の推進」、「次代を創る人財への投資」をはじめ重点事業の展開による事業拡大にスピード感を持って取り組んでいきます。

 

──ユアテックを取り巻く環境や今後の注力分野を教えてください。

 社員の皆さんの懸命な努力のおかげで、東京都内の再開発工事をはじめとする関東圏の多種多様な現場でユアテックの実力が認められつつあると感じています。株価もこの2年でおおよそ2倍に上昇しました。これは社員の皆さんの日頃の成果と会社の将来への期待に対する一つの評価だと考えています。

 しかしながら近い将来、建設市場は人口の減少に伴って規模減少の一途をたどることが明らかです。社会情勢の変化に対してはこれまで築き上げてきたお客さまとの信頼関係をより強固にするとともに、一層のスピード感を持った事業展開が重要になります。それを踏まえて、次代に向けた柔軟な組織のあり方を検討し、最適な会社体制を築いていくこと、またあわせて再生可能エネルギー事業本部と海外事業部門による積極的な事業展開や、経営企画部門を中心とした新規事業への一層の投資など、「選択と集中」を図って、引き続き企業価値の向上に取り組んでいきたいと考えています。

 

ユアテックベトナムからの出向社員と親睦を深める小林社長(左から2番目)

 

──ユアテックの成長のためには、どのような視点が重要だと考えていらっしゃいますか。

 会社の利益を生み出すのは現場第一線ですが、それだけでは会社事業は成り立ちません。彼らを支える管理間接部門の存在が必ず必要です。経営の企画、立案はもとより、効率的かつ効果的な業務遂行のためのサポート、会社の知名度向上や高い企業評価を得るための連結決算業務やIR活動など、管理間接部門には大きな役割があります。営業部門、技術部門、管理間接部門がそれぞれの役割を果たすこと、そしてそれに合わせて各自が「全社最適」の視点で行動することがユアテックの成長につながっていくと考えています。

 私は取締役就任以降、これまでの経験と視点を生かして、特定の部門に偏ることがないような経営判断を心掛けてきましたが、これからは今まで以上に「全社最適」の経営をしていきたいです。

 

──「よりそうnext+PLUS」の実現に向けて事業としての自律的な収益と成長を目指すうえで、東北電力グループにおけるシナジーの発揮についてどのように考えておられますか。

 ユアテックが密接に関わる送配電事業においては、グループ内で課題を共有し、技術提案や設計協力を通じて連携を一層強化し、安全を最優先に施工の立場から電力の安定供給に尽力していきます。

 また、高経年化設備対策工事や基幹系統整備工事においては、これまでに培ってきた技術力と施工力を最大限に発揮できる施工体制を構築し、電力インフラの整備・強化に努めていきます。

 さらに、一般市場での事業展開においては、事業基盤である東北・新潟でのエンジニアリング事業をさらに深化させることを前提に、東北・新潟以外のエリア展開の強化や海外事業の受注・収益拡大に積極的に取り組んでいきます。加えて、リニューアル工事の提案や今後需要の高まりが見込まれるデータセンター建設に向けた施工経験を着実に積み上げることで、受注拡大を図り、グループ全体の収益向上に貢献していきます。

 

 

イイね!
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