■安全保安管理室■協力会社の立場から安全とはなにかを問い直す

 安全保安管理室では、7月29日、石田工務店株式会社(長野県信濃町)の石田正士社長を講師として招き、「協力会社の立場から見た安全」について講演会を行いました。石田社長は、東北電力発注工事の元請け、下請けの経験もあり、現場の実態や想いについて率直に語りました。

理想と現実のギャップから見えるもの

 石田社長は、現場での安全に対する理想と現実のギャップを指摘しつつ、協力会社の立場で日頃から考えていることについて以下のように話しました。

 

 提出書類が多すぎて作業員が確保できない?!

 電力関連工事の現場では、二次下請け業者に求められる提出書類の多さが、人手不足の一因となっています。提出書類が14種類に及ぶケースもあり、中には労働基準監督署で取得が必要なものも含まれています。こうした煩雑な手続きにより、「石田のところの仕事はやりたくない」と敬遠されることもあるくらいです。

 特に家族経営や一人親方などの小規模事業者にとっては、書類対応が大きな負担となっており、「体を動かして稼ぐ」という価値観の中で、事務作業は敬遠されがちです。東北電力の案件では問題なく対応できますが、ゼネコンが絡むと書類の多さで下請けが離れてしまうこともあります。

 現場からは「電力会社や元請けでデータを共有し、書類を減らす工夫をしてほしい」「工事規模に応じて必要書類を精査してほしい」といった声が上がっており、工期厳守も求められる中、知恵を絞った対応を望んでいます。

 

二次下請け業者に求められる提出書類

 

 とにかくわかりやすいKY活動を!

 危険予知(KY)活動は「第三者にも現場の安全作業が伝わる」というメリットがありますが、実際に作業員にインタビューすると「これって発注者の東北電力向けの活動だよね」と言われます。作業員としては、従来のKYは項目が多すぎて、頭に入りにくく、心にも響きません。

 現場では、外国人労働者への配慮もあり、多言語化や漫画による周知が好評を得ています。実際に東北電力が作成したわかりやすい漫画を目にした時、「電力が現場目線に立ってくれた」と感じました。また、朝の体操後にKYで伝えたことも、現地に行くと忘れられてしまうので、現地で少人数に絞って行う「現地KY」というのをやっています。ほんのちょっとしたことが事故につながることから、この「現地KY」による各チームごとへの丁寧な周知が成果を上げていると感じています。とにかくわかりやすさを徹底し、現場に即したKY活動の工夫が大事です。

 

外国人労働者にも分かりやすい漫画

 

 安全パトロールが歓迎されている?!

 私は、安全パトロールはとても大事でありがたいと思っています。発注者が現場を訪れ、「マンネリ化していませんか」と声をかけることで、作業員のモチベーションが向上し、「この前より進んだね」といった一言がやりがいにつながっています。

 現場では元請け・下請けといった立場に関係なく、作業員同士が日々の会話や助け合いを通じて、安全作業を支え合っています。上下関係よりも、現場でのコミュニケーションを重視する姿勢が根付いており、発注者との対話もその延長線上にあります。

 安全パトロールの際には、「見てもらえるならきれいにしておこう」と現場を整えるなど、作業員の前向きな行動が見られます。努力を認めてもらえることで、「頑張ってよかった」「次も見せたい」という気持ちが生まれ、安全意識と作業品質の向上につながっています。

 

 

 “マニュアルを越えて「より、そう、ちから。」を磨いていく”

 現場では、作業員同士や発注者とのコミュニケーションの重要性が改めて見直されています。他の業界の事例からもわかるように、相手に応じた対応力は訓練によって培われるものであり、現場でも「ここで一言あればよかった」と感じる場面が少なくありません。

 現在は業務の多くがマニュアル化され、効率は向上していますが、その一方で「声をかける」「思いをくみ取る」といった人との関わりが減少すると、無意識のうちに、そのことが安全を脅かす原因になってしまうこともあります。

 東北電力から発信されている「より、そう、ちから。」は、現場に寄り添い、気づきを共有できる関係性の構築を目指すものです。指示や管理ではなく、現場の声に耳を傾け、共に安全をつくる姿勢が求められています。マニュアルを超えたまなざしを、現場に取り戻すことが今、必要とされています。

 

 

参加者からの声

 講演会参加者からの声を紹介します。

  • 元請け・下請けの立場を経験している視点から、現場の声や発注者パトロールの効果などについて聞くことができ自部門が展開している作業員目線で声を聞く活動の有効性を改めて実感しました。東北電力、元請け・協力会社の立場に関係なく全ては現場のために安全活動していく必要があり、今回の勉強会を参考としつつ来月以降の他業界や他電力との意見交換も含め、現場の声に寄り添った取り組みに繋げていきたい。(配電部)
  • 同じ施工業者の立場として、本日の講演は非常に共感できる内容でした。わかりやすさを取り入れた危険予知活動や、安全パトロールにおける元請けからの声掛け・対話が、作業員に安心感と信頼をもたらし、現場のモチベーション向上につながることを改めて実感しました。また、発注者・元請け・下請けが互いに尊重し、寄り添い、信頼関係を築くことで、より実効性のある安全文化の醸成が図られることを深く感じました。(ユアテック)
―安全保安管理室よりー

 今回いただいたご講演により、私たちが改めて“三現主義”の重要性を認識する機会となりました。安全保安管理室では、今後も現場で働く人に寄り添うという価値観を大切にし、関係の皆さまとより一層の連携を図ってまいります。

 

 
イイね!
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