新年仕事始め
~樋󠄀口会長・石山社長・髙野社長年頭メッセージ~

 1月5日に新年仕事始めが行われました。樋󠄀口会長、石山社長、髙野社長による年頭メッセージを紹介いたします。

樋󠄀口会長 年頭メッセージ

はじめに

 皆さん、新年明けましておめでとうございます。

 年末年始は、冬型の気圧配置の影響によって日本海側を中心に降雪が続き、各所において供給支障が発生しましたが、大きな災害や事故はなく、ご家族ご一緒に健やかな正月を過ごされたことと思います。

 一方で、年末年始にもかかわらず、供給支障の解消に尽力いただいた皆さん、また、期間中、設備の運転・保守、宿直・休日待機当番、さらにはお客さま対応、地域対応業務などに従事された皆さんには、ご家族の方々を含めご苦労をおかけしました。心から御礼申しあげます。

 さて、新年仕事始めにあたり、私からは、昨年1年間の当社グループを取り巻く環境の変化を振り返りながら、皆さんに期待することについて、お話ししたいと思います。

 

 

2025年を振り返って

 昨年を振り返ると、国際情勢は、いまだに続くロシアによるウクライナ侵攻、混迷を深める中東地域の紛争、日中関係の悪化など、地政学的なリスクは依然として高く、エネルギー資源を取り巻く環境についても、今後大きく変化する可能性が否定できません。

 また、国内に目を転じると、私たちは、日経平均株価の最高値更新や日銀による利上げなど、経済の景色が一変する、まさに歴史的な「転換点」の中にいました。「失われた30年」と言われたように、長きにわたり日本経済を覆っていたデフレ経済から、物価が上がり、金利がつく「インフレ経済」という新たなステージに入りました。

 特に若手・中堅社員の皆さんにとっては、生まれて初めて経験する経済環境かもしれません。単なる「現状維持」は、インフレ下においては実質的な「後退」を意味します。金利以上のスピードで成長し、価値を生み出さなければ、企業の力は相対的に弱まっていきます。今、私たちは、そのような大きなパラダイムシフトの渦中にいます。

 しかし、どのような激動の時代であっても、リスクをしっかりと認識し、この変化に適切に対応し、更なる成長に向けて取り組む。今年は、その真価が問われる1年となります。

 

東北電力グループ社員の皆さんに期待すること

新たな価値創造に挑戦する

 こうした大きな時代のうねりの中で、私から皆さんに期待すること、そして共に挑んでほしいことについて、2点、お話しします。

 1つ目は、「新たな価値創造への挑戦」です。

 今から10年前の2016年を振り返ってみると、当時の私たちは、ゼロ金利の状態に慣れてしまい、今日のように金利が上昇し、株価が5万円を超える日本経済を想像できていたでしょうか。また、リモート会議が当たり前の風景になり、生成AIが資料作成を助けてくれる現在を、どれだけの人が予測できていたでしょうか。 10年経った今、それらは紛れもない「日常」となっています。また、デジタル化は今後も劇的に進展していくことでしょう。

 

 昨年、ノーベル化学賞を受賞された京都大学の北川進特別教授は、インタビューでこう語っておられました。

 「新しいことをクリエイティブしていくということは、常識との闘いである。学界や一般社会における『そんなものできるはずがない』という常識に対して、一つ一つ実証し、『実はできるんですよ』と示していくことだ」

 これは、私たちの事業にも当てはまります。皆さんは、「電力事業は成熟産業であり、成長は望めない」とか、「東北は人口減少でマーケットが縮小する一方だ」といった考えに囚われてはいないでしょうか。単に電気を売るだけでは、現状を維持していくのも厳しい状況です。付加価値をつけていかなければ、会社の成長は望めないのです。私たちが目指すべきは、電力のプロフェッショナルとしての「原点」と「進化」の融合です。24時間365日、電気を届ける。この安定供給への使命感は、私たちの揺るぎない誇りです。しかし、私たちが持っている力はそれだけではありません。長年培ってきた強固なネットワーク、膨大な設備やデータ、技術、そして地域との深い信頼関係。これらは、新しい価値を生み出すための極めて貴重な「資産」です。

 

 大切なのは、これらを最大限に生かし、徹底してお客さまのニーズに立ち返ること。「電気をつくり・送り・灯す」という発想にとどまらず、電気を切り口とした付加価値を徹底的に考え抜く。電気を含めた、商品・サービスの魅力を高めることで、新たな需要を生んでいく。例えば、安定した電力と強靭な系統網を武器に、データセンターや半導体工場などの成長産業を誘致する取り組みも、その一つです。インフラを活用した水道事業者との共同検針、防犯事業の拡大も同じです。

 従来の延長線上で物事を考えるのではなく、自らの強みを生かし、新たな価値創造に挑戦し、成長につなげていく。そうした気概を持って、仕事に取り組んでいただきたいと思います。

 

“伝わる”を意識したコミュニケーションの実践

 2点目は、「“伝わる”を意識したコミュニケーションの実践」です。

 私たちを取り巻く事業環境は目まぐるしく変化し、事業を運営していく上でも難しい舵取りを強いられています。そのような予測困難な時代だからこそ、私たちは、どんな時でもぶれない「軸」を持たなければなりません。その軸こそが、「東北の繁栄なくして当社の発展なし」という東北電力グループの創業以来の精神です。私たちは、何のために挑戦するのか。それは、突き詰めれば、この東北・新潟という地域を豊かにするためです。地域が輝き、産業が興り、人々の暮らしが豊かになってこそ、東北電力グループが成長するのです。

 こうした大きな目的を果たすためには、東北電力、東北電力ネットワーク、そしてグループ企業の全社員が、一体感をもって取り組んでいく必要があります。2020年の発送電分離以降、行為規制の垣根はできましたが、私たちの「志」まで分断されてはいけません。

 

 人口減少による人手不足や設備の高経年化など、現場が抱える課題は複雑化しています。5つの事業領域、11の事業区分に所属する皆さんが、会社や部門の壁を越えて、互いの仕事を知り、互いを尊重し合い、知恵を出し合う。「それは自分の担当ではない」と線を引いて壁を作るのではなく、その壁を越える「橋」を架けてください。その架け橋を機能させるのが、コミュニケーションであります。対面、チャット、メールなど、コミュニケーション手法は多様化していますが、このような難しい環境だからこそ、“どうしたら伝わるか”を考えて、意識的にコミュニケーションを図る必要があります。

 

 “伝える”は一方通行の情報伝達に過ぎませんが、“伝わる”を意識した双方向のコミュニケーションには、相手の理解や共感を生み、さらには心を動かし、行動を変える力があります。私は、「対面のコミュニケーション」が相手に上手く“伝わる”一番の方法だと考えていますが、手段は何であれ、重要なのは、「誰に、何を、どう伝えるか」を工夫することです。社内の架け橋、お客さまとの架け橋、地域の方々との架け橋。これらの架け橋の往来が活発になるよう、皆さん一人ひとりが、相手の心に届く「伝わる」コミュニケーションを実践していただきたいと思います。

終わりに

 最後になりますが、2026年の干支は「丙午(ひのえうま)」です。60年に一度巡ってくるこの年は、古来より強烈なエネルギーと活力が満ち溢れる年とされています。これまでの停滞を打破し、大きく飛躍するには絶好の年回りです。

 一方で、その勢いが強すぎるため、「手綱(たづな)をしっかり握らなければ暴走する」という戒めもあります。私たちで言えば、情熱や挑戦心という「火」を燃やしつつも、安全とコンプライアンスという「手綱」をしっかりと握り締める。この大胆かつ細心なバランス感覚を持って、この1年を駆け抜けたいと思います。

 

 皆さんの日々の仕事は、「地域の未来」を創る、尊い仕事です。皆さんには、使命感と責任感をどの企業よりも強く持って、電力の安定供給を支えていただいています。そのことに是非、誇りを持ってください。そして、仕事をしていく上で最も大切なことは、ご自身とご家族の健康です。明るく元気に、前向きに業務に取り組んでまいりましょう。

 

 東北電力グループの更なる成長と、本年が皆さん一人ひとりにとって実り多き1年となることを心より祈念し、私の年頭のあいさつといたします。

 

石山社長 年頭メッセージ

はじめに

 皆さん、新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 年末年始は、日本海側を中心に大雪の影響による供給支障が発生しましたが、大きな災害や事故もなく、ご家族ともども穏やかな年明けを迎えられたことと思います。

 年末年始にも関わらず、一刻も早い供給支障の解消のために 尽力いただいた皆さん、また設備の運転・保守や、お客さま・地域対応などの業務に従事された皆さんには、ご家族の方々を含め、大変ご苦労をおかけしました。心から御礼を申しあげます。

 新年の仕事始めにあたり、私からは、昨年の振り返りと足元の事業環境について触れながら、今年1年、皆さまにお願いしたいことをお話ししたいと思います。

 

 

昨年の振り返り

財務基盤の回復に向けた着実な進捗

 初めに昨年の振り返りですが、今後の経営展開となる「よりそうnext+PLUS」において喫緊の課題としていた財務基盤の回復に向けて、着実に進捗した1年となりました。

 2025年度の中間決算は、減収減益となったものの、女川原子力発電所2号機が順調に安定稼働したことに加え、電力や燃料の先物市場も活用した需給最適化の取り組みやコーポレートPPAサービスの積極展開、託送料金の見直しなどもあり、ウクライナ危機後に10%台まで落ち込んだ連結自己資本比率は、2026年度の財務目標である20%に迫る19.6%まで回復をしてきています。これは、業務効率化を含めて、グループ全体で取り組んだ努力の成果であり、心より感謝を申しあげます。

 

東通原子力発電所における防護設備の性能試験等の未実施・不適切な試験記録作成について

 その一方で、大変残念なことですが、東通原子力発電所では核物質防護に係る不適正事案が発生しました。当社社員が関与していたこと、長期間にわたり続いていたこと、そして自分達で発見できなかったことなどを踏まえると極めて深刻な問題と受け止めています。この問題に対する地域の皆さまの受け止めは厳しく、当社を応援していただいている方々からも「東北電力がこのような事案を発生させたことはとても残念」「社員が関与したのは驚きで非常に深刻」「これまでの信頼を裏切るもの」「平たく言えば捏造」「かなり悪質」など厳しいご意見を多数いただいています。

 2月末までに改善措置計画を取りまとめ、原子力規制委員会に報告書を提出する必要があります。しかし、信頼回復に向けて重要なのは、同じことを二度と繰り返さないのはもちろん、原子力部門のみならず社員の一人ひとりが、信頼を取り戻すために、常に高いコンプライアンス意識を持ち、忠実に業務を行っていく姿勢を徹底することです。

 

 全体的に昨年を振り返ると、原子力事業が当社の経営に与える影響は、プラス面でもマイナス面でもとても大きいことを実感した1年だったと思います。

 

足元の事業環境について

 次に、足元の事業環境についてです。

 今年度の業績見通しについては、今のところ4月に公表したものを変えておりませんし、一定程度の利益を確保できる見込みです。しかしながら、当社を取り巻く足元の事業環境は、電力取引市場や燃料価格の落ち着きを背景とした販売環境の変化、物価および金利の上昇、米国政策に起因する国内経済の不透明感の高まりなどに伴い、当初の想定以上に厳しくなってきており、足元で当社の稼ぐ力が徐々に落ちてきています。

 その主な要因として、①電力小売競争の進展、②物価高・インフレなどによる固定費の増加、③金利上昇などによる支払利息の増加、の3点が大きく影響しているものと認識しています。特に、電力小売競争の進展については、当社管内の法人向け標準料金が他社に比べて割高なこともあり、エリア内でのお客さまの離脱が拡大し、新電力のシェア率は20%を超え、東京エリアに次いで高い数字となっています。

 収益力が低下している中でも、女川2号機の特定重大事故等対処施設の設置、再生可能エネルギー電源の開発、東北・東京間連系線の増強などを行っていく必要があり、これら今後の設備維持更新や成長のための投資水準も考慮したうえで2030年度の財務目標として連結経常利益の目標を設定していることは、皆さんもご承知のとおりです。

 

 競争のステージが一段と厳しさを増して足元の収益が減少すれば、今後の投資に充てるキャッシュの減少を招き、将来の事業基盤そのものが揺らぎかねませんし、カーボンニュートラルやデジタル技術による変革など、未来に向けた挑戦の機会を失うことになります。だからこそ、足元の状況に対する危機感は販売部門だけのものではありません。すべての部門が一体となり、収益力の強化に向けた行動を加速させる必要があります。

皆さんにお願いすること

電力のプロとしての誇りと自覚を持って業務に取り組む

 以上お話したことを踏まえ、今年1年、皆さんに心がけていただきたいことを、3点お願いをします。

 1点目は「電力のプロとしての誇りと自覚を持って業務に取り組むこと」です。

 当社グループの強みは、グループ中長期ビジョンでも示しているとおり、「電力のプロフェッショナルであること」そして「地域との絆を有していること」にありますが、この2つは、これまで長い年月をかけて、社員一人ひとりの努力により築きあげてきたものです。

 東通原子力発電所で発生した不適正事案は、当社グループの強みである「地域との絆」を大きく毀損させる事象であり、当社グループの存在意義そのものが問われかねない危機事案と言っても過言ではありません。また、これ以外でも社員による不祥事やヒューマンエラーなどによるトラブル・事故なども発生していますので、地域社会やお客さまから信頼を獲得し、当社グループの強みである「地域との絆」をこれからもしっかりと深めていくため、社員の皆さんには、当たり前のこととして、電力のプロであるという誇りと自覚を持って、日々の業務に取り組んでいただきたいと思います。

 

コミュニケーションを常に意識しながら「気づく・話す・直す」視点で行動する

 2点目は「コミュニケーションを常に意識し『気づく・話す・直す』視点で行動すること」です。

 東通原子力発電所の不適正事案は、担当者の認識誤りや理解不足、現場管理職の確認・管理不足、発電所や本店部門幹部の現場関与不足などが要因と考えられますが、長期間にわたり前例踏襲の形で継続されていたことも大きな問題であると認識しています。

 当社グループは、過去に発生した多くの事案を踏まえて、グループ安全・保安方針を策定し改定してきましたが、「気づく・話す・直す」の3つの視点は、重大労働災害や法令遵守に係る不適切な事案、ヒューマンファクターに起因する設備事故の防止などに共通するものとして、全ての社員に求められる行動指針です。今回の事案は、担当者の「気づく・直す」という発想が背景にあったかもしれませんが、結果として、管理職も含めて「話す」行為が疎かになったことが原因と考えています。

 時代の変化とともに、スマホやネット環境で育った若い世代を中心に人と直接話すのが苦手な社員が増えていますし、パワハラの指摘などを気にして踏み込んだ教育・指導を躊躇する管理職も増えていると思います。

 

 我々の仕事は組織全体で仕上げていくものです。特に現場では、社内のみならず、関係会社や協力会社などとの連携においてもコミュニケーションがとても重要です。「安全確保」の観点でも、「現場が安全の起点」とする考え方や確認会話の必要性が問われる点など、共通しているところがあります。

 今年度は、当社グループにおいて死亡災害ゼロが継続していますが、死亡災害に繋がりかねない重傷災害が発生していますし、電力他社を含む電気事業全体では、残念ながら多数の死亡災害が発生している状況です。

 

 社員の皆さんには、東通の不適正事案を自分事として振り返っていただき、グループ安全・保安方針の最後に定められた「コミュニケーションを常に心がけ、情報を共有する」ことを常に意識し、引き続き「気づく・話す・直す」視点で行動していただきたいと思います。また合わせて、「死亡災害ゼロ」の継続と「感電・墜落災害」の防止に向けて、引き続きの取り組みもお願いいたします。

 

総合力を発揮して本業である電気の販売を強化し収益力の向上を図る

 3点目は、「総合力を発揮して本業である電気の販売を強化し収益力の向上を図ること」です。

 2024年4月に公表した「よりそうnext+PLUS」では、電気・エネルギーを中心に据えた事業展開による需要の獲得と付加価値の創造を通じて、財務基盤の早期回復と成長へのチャレンジを進め、利益・投資・成長の好循環を形成して将来の「ありたい姿」の実現を目指していくこととしています。今後の事業展開の基本は、言うまでもなく本業である電気の販売拡大と、環境価値やエネルギー管理のようなお客さまが求める付加価値の提供による利益の確保になります。

 足元において、電力小売競争の進展に伴い、当社エリア内でのお客さまの離脱が拡大し、収益力が低下してきているのは事実ですが、生成AIやIoT技術などDXの進展により、データセンターや次世代型半導体工場などの立地が進み、電力需要が増大する見通しであり、当社グループにとっては大きなビジネスチャンスが到来しています。

 競争が厳しくなる中で、価格だけで勝負していては、個々のお客さまからの利益の幅は少なくならざるを得ません。これまでどおりの利益を確保するには、販売電力量を更に拡大する努力が必要です。そのため、東北・新潟地域だけでなく、首都圏や北海道、更には西日本地域までエリアを広げて、より多くの電気を販売する体制を整え、営業力の強化を図ってきています。

 

 また、電気の販売はお客さまへの小売という形だけではありません。発電カンパニーによる卸売もありますし、東北電力ネットワークが的確な系統接続を通じて企業誘致などに貢献することは、エリア需要の創出や託送料金収入の増加につながります。

 加えて、重要なことは、電気以外の付加価値の提供によるお客さま単価の向上です。お客さまにとって価格は重要な指標ではあるものの、それだけで企業を選択するわけではありません。信頼や安心感、他社とは違うサービスや丁寧な対応なども評価されます。そのため、お客さまニーズをどん欲なまでに把握する熱意、自社の強みを自覚して徹底的に磨く努力、そして魅力的なサービスや商品メニューなどの提案が求められます。販売カンパニーのみならず、グループ全体で、お客さま起点でのマーケティングの仕組みづくりに向けた更なる取り組みが、これまで以上に望まれます。

 

 そして、皆さんに留意していただきたいことは、総合力の発揮です。お客さまニーズは簡単に実現できるものばかりではありません。だからこそ、それぞれの部署だけで考えるのではなく、関連する部署や仲間と連携することが大切です。組織や部門を超えた協力によって、お客さまとの契約に結びついたケースもいくつか出てきています。こうした取り組みは、私たちが力を合わせることでより大きな成果を生み出せることを示しています。

 現実には、行為規制や内外無差別規制など、考慮しなければならないところもありますが、社員の皆さんには、お客さま起点で、どうすればニーズに応えられるかを考え、総合力を発揮して本業である電気の販売を強化し収益力の向上を図ることに、これまで以上に努めていただきたいと思います。

 

おわりに

 最後になりますが、足元の事業環境が想定以上に厳しくなり、収益力が低下してきている中、電力需要が増大する見通しが出てきていることは、大きなビジネスチャンスです。

 また、東通原子力発電所の不適正事案は、しっかりと反省しなければなりませんが、当社グループの強みを再認識して会社全体でどうすべきかを考え直す契機にもなりました。

 社長として、これまで実行力とスピードを重視した経営を掲げて取り組んできましたが、今年は「午年(うまどし)」でもあり、足元で明確になった課題の解決に向けて具体的に行動・実行し、力強く走り抜いていく年と考えております。

 

 社員一人ひとりが、電力のプロであるという誇りと自覚を持って業務に取り組むことで、地域からの信頼回復に繋がり、その一体感が大きな力となり、グループ全体の収益力の向上、そして将来の成長に結びついていくものと捉えています。

 

 今年のモットーですが、今までお話ししたことを踏まえて「プロの誇りと自覚を胸に、信頼獲得そして成長実現」といたします。

 

 

 未来に向けて、社員が一丸となり、信頼を獲得しながら本業でしっかりと利益を確保し、成長を実現していきましょう。

 今年1年、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 

髙野社長 年頭メッセージ

昨年を振り返って

 皆さん、新年明けましておめでとうございます。

 年末年始におきまして、供給支障の解消、設備の保守・運用、お客さま対応、地域対応業務などに従事された皆さまには、ご家族の方々も含め、大変ご苦労をおかけいたしました。心より感謝、御礼申しあげます。

 

 

 さて、私からも昨年を4つの項目で振り返ってみたいと思います。

 まず災害対応では、2月に大船渡市で発生した大規模火災対応、3月に愛媛県で発生した林野火災における電源車などの派遣対応、12月の青森県東方沖を震源とする地震対応などがありましたが、いずれも関係する皆さんの総力で適時適切に対応いただきました。この他、日常的な供給支障事故の対応も含め、様々な場面で皆さんの安定供給への高いマインドが発揮されております。大変誇らしく、あらためて感謝申しあげます。

 

 次に収支改善への観点では、10月に、高圧・特別高圧の託送料金単価の見直しを実施しました。継続した効率化やカイゼン活動などとも相俟って、レベニューキャップ第1規制期間における当社の収支改善への寄与が見込まれます。

 

 次に安全面では、皆さんのご尽力により死亡災害発生ゼロを継続いたしました。しかし、特に7月に発生した鉄塔作業中の墜落災害は、「奇跡的に命が助かった事案」と言ってよく、私たちは、一歩間違えれば死亡災害につながりかねない事案が発生していることを極めて重く受け止めなければなりません。安全に対しては、決して躊躇することなく、踏み出す勇気をもって、共に行動に移し、死亡災害ゼロを継続するとともに、感電、墜落などの重大災害ゼロを実現しましょう。

 

 そしてコンプライアンスについては、行為規制遵守の観点では、再発防止策を定着する段階に入っているところですが、まだ一部で非公開情報システムにおける情報漏えいが発生していることなどを踏まえると、引き続き情報管理の徹底に万全を期す必要があります。また、石山社長のごあいさつでも言及がありましたが、東通原子力発電所における不適正事案を踏まえて、ネットワーク会社としても、法令上の規制を受ける設備を維持・運用する立場として、決して他人事ではなく、自分事として重く受け止めなければなりません。今後とも、意識と行動の両面で自覚と確認を徹底し、行為規制を含むコンプライアンスの遵守に取り組んで頂くようお願いいたします。

 

東北電力ネットワークの今後の展望

 続いて、送配電事業を取り巻く環境変化と今後の展望について、お話ししたいと思います。

 2026年はまさに正念場の年になる、といっても過言ではありません。

 2023年度から導入された新託送料金制度であるレベニューキャップ制度のもと、2027年度までの第1規制期間の4年目を迎えます。この間、皆さんには、電力の安定供給に対する強い使命感と電力のプロとしての技術力と専門能力を発揮いただき、効率化やカイゼン活動にも継続的に尽力いただいておりますこと、心より感謝と御礼を申しあげます。

 5年間の収入の見通しとして承認いただいた計画ですが、足元では、当初想定していなかった物価や金利などの上昇といった環境変化による影響が大きく、早期の打開策が必要となっています。制度上、タイムリーに収入に反映されないため、現断面では、当社がその影響を吸収している形となっています。必然的に当社収支や財務が圧迫されるため、その影響を少しでも緩和するには、投資物量や修繕費などの固定費の削減に踏み込まざるを得ない一方で、投資物量などを抑制すれば、特に当社エリアにおいて顕著な施工力・担い手不足がますます拡大し、サプライチェーンを棄損してしまう恐れが高まります。

 当社は今、サプライチェーン維持と収支・財務基盤の安定との両立を求められるという大変難しい局面にあります。この状況は国とも共有しており、国においても早期の制度措置に向け枠組みの在り方などの議論が進められています。2026年は、この議論に一定の方向付けが行われる見通しですので、当社としても大きな関心を持って注視してまいります。

 

 また、もう1つは、2028年度から2032年度までのレベニューキャップ第2規制期間に向けての準備を本格スタートさせる年になります。第2規制期間に向けては、あらためて効率化努力や送配電事業他社の状況と比較評価されますので、私たちは、電力の安定供給、効率化やカイゼン活動など、不断の努力をし続ける必要があります。一方で、第1規制期間におけるこれまでの知見・経験を踏まえ、先に触れた環境変化などにも即応できる制度への訴求など、見直すべきと思われる点が反映されるよう、当社としてもスピード感をもって的確に対応してまいります。

 

 私たちは、レベニューキャップ制度導入を前提として、変化する時代の中にあっても、経営の羅針盤ともいうべき「私たちの目指すもの」を策定しております。具体的には、「電力の安定供給・レジリエンス強化」「カーボンニュートラルへの貢献」「強靭な事業基盤の構築」という3つの使命を達成することにより、電力の安定供給を維持しつつ、安定した収益を確保し、事業基盤を強くすること。さらには、お客さまや地域社会、東北電力グループに貢献していくこと、につなげることを目指しております。

 私たちの日々の業務は、これら使命と密接不可分につながっており、使命を果たすことが「地域社会との共栄」につながっていき、地域に貢献していく、というこの関係性を、あらためて皆さんとともにしっかりと確認しておきたいと思います。

 

 私たちの事業活動には、何より「信頼」が大事です。皆さん一人ひとりの日々の努力が、各ステークホルダーからの「信頼」を強固にし、中長期的に安定した事業運営のベースになるものと考えております。引き続き、的確な業務処理、丁寧なお客さま対応をはじめ、効率化や高度化などの業務変革、新規事業や需要の拡大に向けた取り組みなどをお願いしたいと思います。

結びに

 最後になりますが、送配電事業は、中長期的に安定した設備形成、事業運営を継続していくことが重要です。安定的な事業を維持するために必要な礎が、先ほども述べた日常業務であり、3つの使命へのつながり、そして「地域社会との共栄」へのつながりであると考えております。そして、これらすべての根底にあるのは、地域とのかかわりの中で「信頼」がなければ成り立たないことです。

 例えば、昨年の振り返りで触れた4つのポイントに照らしてみると、仮に「災害対応」で早期復旧など貢献できたとしても、日常的に人為ミスが多発している会社は大目にみてもらえるでしょうか。「当社収支が改善する手立て」は、お客さまにとって負担増になる場合もあり、許容してもらえるでしょうか。説明性を高める必要があります。「安全面」で死亡・重大災害が多発している会社は人を大事にしていると見られるでしょうか。「コンプライアンス」意識の低い会社は事業活動全体に理解を得られるでしょうか。

 私たちは、信頼なくしては「地域とともに歩く」などできないことを、皆さんとしっかりと確認したいと思います。

 

 繰り返しますが、私は、貪欲に愚直に、日々の業務を積み重ねることで、「地域社会と共栄」できる安定的な送配電事業が実現できるものと考えております。皆さんとともに、今年も気持ちを新たにして頑張りましょう。

 今年1年、どうぞよろしくお願いいたします。

 

イイね!
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