
よりそうインタビュー室部長版 第6回
総務・地域共創部門 小野 誠彦 部門長
「より、そう、ちから。」の推進者である室部長の皆さまからメッセージをお届けする室部長版のよりそうインタビュー。今回は、総務・地域共創部門の小野部門長に仕事や地域への思いなどを伺いました。
「常に本質に立ち返ること」 何のためにこの仕事をするのかを見失わないように
―総務・地域共創部門 小野 誠彦 部門長―
出身
宮城県名取市
初任地
釜石営業所 営業課
長年続けていること
・サッカー少年団の指導者を長年務めている(ご自身が同団体の一期生であった)
- サッカー少年団でのコーチング
──仕事をするうえで大切にしていることは何ですか。
本質に立ち返って考えることです。何のためにこの仕事をするのか、何のために会社はこの事業をするのかなど、その本来の目的を意識するようにしています。20代の頃岩手支店在籍時に、「WAVE21」という全社的な企業革新運動の支店事務局を務めました。「会社の旧い体質をぶっ壊そう!」「岩手から会社の維新が始まる!」といった意識革新・行動革新を考える趣旨の活動で、さまざまな企画を立ち上げました(今思うとアオかったなぁと赤面しますが…)。例えば、水沢市(現奥州市)にある禅寺に県内各事業所から若手社員を集めて「会社は何のために在るのか」「これから会社はどうあるべきか」といったことを真剣にディスカッションしたり。当時の経験から、本質に立ち返ると真にやるべきことや、逆にやる必要のないことがクリアになってくると感じ、現在もこの考えを大切にしています。
──本質に立ち返ることの大切さを実感した印象的な出来事を教えてください。
東日本大震災の翌年、相双営業所の所長となりました。その時、原子力災害によってさまざまな被害が出たことはもちろんですが、私が最も悲しいと感じたのが、考え方の違いによる「分断」です。例えば、当時は学校にエアコンが設置されておらず、熱中症予防で授業中に教室の窓を開けることに対して、放射線を懸念する保護者から反対の声が出たりしたんです。これはどちらが善意でどちらが悪意という訳ではなく、両者とも子どもを心配する一心からの行動なんですよね。
「子どもたちを守ること」が本質で、それを共通の思いとして互いにリスペクトできれば、着地点に向けて前向きな議論を重ねられたはずだと思います。これは地域コミュニティで起きた出来事ですが、自身の仕事においても常に人それぞれ「考え方が違う」という意識でいるからこそ、まずは本質に立ち返って考えようと思えるのかもしれません。
──人との「考え方の違い」について意識するようになったきっかけはありますか。
日本貿易振興機構(JETRO)への出向でロンドンに駐在していた時、「違い」について学べたことが大きいですね。日本だと相手との違いを「自分が上か下か」のような視点で見がちなのですが、多種多様な国籍者が暮らすロンドンでは異なっていました。互いに考え方・意見・立場が違うというだけで、どちらが上か下か、善いか悪いかではない。シンプルに「違う」というだけです。これは非常に新鮮な感覚で、今でも大事にしています。こうした人との「違い」に対しての考え方が身に付いてから、身の回りで起きることにあまり驚かなくなったし、自分自身の姿勢としてあまりブレなくなりました。あと、あまり腹も立たなくなったかなぁ(笑)。
新しい世界は自分を成長させてくれると思って前向きに捉える
──若い頃に経験して良かったということはありますか。
どんどん知らない世界に飛び込んでみるというのは非常に価値があると感じています。私はこれまで出向・転籍4回と部門を4つ経験していますが、最初の出向先である海外再処理契約委員会(ORC)は、各電力会社からエッジの効いた人が集まった刺激的な職場でした。そのような環境で、私も「負けてたまるか」という気持ちで頑張りましたし、お互いに切磋琢磨して鍛えられました。当時のメンバーとは、いまだに親交があります。
人間は外的環境の影響を大きく受けるので、自分を変えるのであれば違う世界に身を置いた方が成長すると実感しています。新しい世界に行くと相応のストレスも感じますが、その環境下で何とか生き延びる手法を体得していくうちに自ずと成長すると思いますね。あとは、自分に自信を持たせていくということも、立場が変わるにつれて大事なことだと感じるようになりました。
──自分に自信を持たせるためにどういったことを意識されていますか。
自分に与えられた権限を確実に使い切るというのも一つかと考えています。これを心掛けていないと、自身で判断する経験ができず、結果的にいつまでも自信が持てなくて不安になる。与えられた権限=責任なので、その責任を果たすといった意味で、リスクも取るし、取ってはいけないリスクはきちんと避けるように検討する。そういった経験を重ねていくことで、だんだんと検討や判断のプロセスの感覚が分かり、自信がついてくるのだと思います。

「電力さんの言うことなら信頼できる」と後押しいただける関係性を目指す
──総務・地域共創部門では「より、そう、ちから。」はどのように実践されていますか。
例えば原子力事業において、安全対策工事に数千億円といった多額の費用を投じても、地元の方々からご理解をいただけなければ最終的な起動スイッチは押せませんよね。また、東北電力ネットワークにおいて立木の伐採をするにも、ご理解をいただけなければ切らせてもらえない。その枝1本を伐採できないことで多くの家庭が停電になったり、そこに病院などの重要な施設があれば市民生活への影響も大きくなります。そして何よりも我々が電力のプロとして誇りとする安定供給が損なわれてしまいます。
そのために総務・地域共創部門としては、各種媒体での発信もさることながら、自治体や株主様を含むステークホルダーとの対話や地域活動を通して積極的なコミュニケーションを行っています。地域の方々に私たちの説明を全てご理解いただけるかと言うと恐らくそうではないでしょう。場合によっては、「何だかよく分からんけど、電力さんの言うことなら信頼できる」と言って後押しいただけるような、そんな関係性を目指していきたい。端的に言えば、当社企業グループのビジネスを信頼面で支えるコミュニケーションインフラでありたいと思います。
──東日本大震災の時も広報をご担当されていましたね。地域の方からの信頼を考えるうえで、当時のコミュニケーションで苦労されたことはありますか。
当時は本店広報・地域交流部の課長でした。未曽有の災害による混乱のなか計画停電の可能性が切迫する局面で、広く世の中に節電のお願いをする必要があったのですが、日本海側など直接の津波被害がなかった地域に対する訴求の仕方が大変難しかったことを覚えています。太平洋側沿岸設備の凄惨な状況をビジュアルで訴えるようなメディア媒体を作れという指示・要請もあったのですが、冊子の配布やCMで放映するとどんな方が目にするか分からない、特にまだPTSDも癒されないなか、被災して大変な思いをして新潟などに避難している方が見たら胸が塞がれる思いをするだろうと考え躊躇したところ、社内からは厳しい意見も言われました。しかし、こうしたさまざまな思いをしている方への配慮の部分はどうしても譲れず、結局そういった訴求手段は選びませんでした。どちらが正しい・正しくないというのは今でも分かりませんが、さまざまな状況にある地域の方の目線に立って考えることは当社への信頼にもつながってくるものと考え、これからも大切にしていきたいです。
POWER COMPANYとして地域に提供する価値を考えて
──社員へ向けてメッセージをお願いします。
電力会社は、英語圏では“Electric”を省略して単に「POWER COMPANY(パワーカンパニー)」と呼ばれます。このパワーカンパニーについて、電力供給事業以外の別の意味も考えてみると面白いと思っていて、もちろん「より、そう、ちから。」にも通じるし、当社の存在意義や期待役割といった本質的な問いかけにも通じるように思えます。例えば、何より東北・新潟の民間企業で年間数千億円規模の投資を続けている会社は恐らく当社くらいかと思いますが、これは単に大企業だから、設備産業なんだからと、そこで問いかけが止まってまってしまう話ではないと考えています。ステークホルダーへの投資に対する責任や、それを75年も続けていることに意味があり、事業を通じて地域の産業と暮らしに電気と元気(=POWER)を届け、支える、こうした唯一性が本質的な存在意義になるのではないでしょうか。皆さんも、地域にどのような価値を提供し、パワーカンパニーとしての期待役割を果たせるか考えてみると面白いんじゃないかと思いますね。
私が当社に入社した動機は、会社を「自分を入れる器」あるいは「ステージ」だと考えて、それであれば大きい方がいいし刺激的な方がいいと考えたからです。そして今振り返ってみて、この選択は間違っていなかったと感じています。さまざまなフィールドでたくさんの人に巡り会えたし、その出会いから多様な考え方を知り、苦労もありましたがその分成長できたと思っています。皆さんも、せっかくこの会社にいるのだから、存分にこの器・ステージを使い切る覚悟で挑戦し自分の成長につなげていきましょう。大丈夫、器はとても使い切れないぐらい大きくて丈夫です。あなたの挑戦や成長を包み込んで、ますます大きく、強くなっていくと思いますよ。

