東通原子力発電所における不適切事案に関わる根本原因分析結果および改善措置活動計画の報告について

 東北電力は、「東通原子力発電所の防護設備の性能試験等の未実施及び不適切な試験記録等作成」(以下、本事案)に関わる根本原因分析の結果および改善措置活動の計画を取りまとめ、2月18日に原子力規制庁に報告しました。今回の事案を「自分事」として問い直し、自らの職場で同様の問題を起こさないために、再発防止策の詳細と、石山社長の緊急メッセージをお伝えします。

事案の概要

 本事案は、東北電力が東通原子力発電所の防護設備における性能試験と保守点検(警報表示機能確認)について、求められる試験・点検の一部もしくは全てを実施していなかった状態で、実施済みとして記録を作成する等、不適切な取り扱いを行っていたものです。

 不適切事案の詳細や関係する用語の解説は、昨年11月21日掲載の記事にて解説しています。

 

 東北電力では社長をトップとした全社体制のもと、事案の確認や原因分析、改善措置の検討を進め、根本的な原因を「PDCAを適切に回すための問い直す意識の弱さ」「核物質防護業務の重要性に対する認識不足」「現場に対する本店や発電所幹部の関与不足」と特定し、内部統制やガバナンス、安全文化、核セキュリティ文化の観点での検証結果、独立検証委員会からの提言を踏まえ、19項目の改善措置を策定しました。

 東北電力では今後、策定した改善措置を確実に実施し、同様の事案が二度と発生しないよう再発防止を徹底することとしています。

事案の詳細

調査(事実確認)、原因分析、改善措置策定のプロセス

 東北電力では昨年6月以降、事実関係の調査を行い、把握した事実関係を整理したうえで、各種原因分析を行い、改善措置を策定しました。調査では、関連書類の閲覧のほか、当時東通原子力発電所に在籍していた社員18名(管理職11名、一般社員7名)を対象に、延べ66回にわたりインタビューを行いました。くわえて根本原因分析を行うにあたり、経営層の関与などを確認する観点から、樋󠄀口会長、石山社長、金澤副社長、青木常務、小笠原所長へのインタビューを実施しました。

 

 

再発防止に向けた全体像

 直接原因分析および直接原因を踏まえた再発防止対策は、昨年9月30日までに実施済です。

 東北電力ではさらなる改善措置の検討にあたり、直接原因を掘り下げ(背後要因の分析・整理)、根本原因を特定しました。また、改善措置としての実効性を高めるため、内部統制やガバナンス、安全文化・核セキュリティ文化の観点からも検証を実施しました。これらにより、抽出された課題に基づき、改善措置を策定しました。

 また東北電力の調査・原因分析および改善措置等の妥当性については、社外の弁護士や核物質防護の専門家、学識経験者の計3名で構成する独立検証委員会が評価を行い、「適切である」「概ね妥当である」等の評価を受けました。最終的に、同委員会の提言も踏まえ、改善措置(19項目)を策定しました。

 東北電力では改善措置を着実に実行するとともに、その状況を確認(モニタリング)していくこととしています。

 

 

根本原因分析

 東北電力では直接原因分析の結果を踏まえ、関連資料の確認やインタビューを通じて把握した事実関係に基づき、背後要因を深掘り(分析)し、整理した結果、3つの根本原因を特定しました。

 

 

 

根本原因と主な改善措置

 東北電力では特定した根本原因を踏まえ、以下の改善措置を策定しています。

 

 

 

内部統制・ガバナンスや安全文化・核セキュリティ文化の観点での課題と主な改善措置

 東北電力では根本原因とは別に、内部統制・ガバナンス、安全文化・核セキュリティ文化の観点からも検証を行い、必要な改善措置を策定しています。

 

 

改善措置計画の概要

 東北電力では今回策定した改善措置(計19項目)について、それぞれ実施計画(アクションプラン)を定めて確実に実施し、再発防止の徹底を図っていくこととしています。

 

 

石山社長メッセージ

 東北電力の石山社長は2月18日、東北電力社員向けに以下のメッセージを発出しました。

 当社は今年で創立75年を迎えますが、先人たちが積み上げてきた「地域からの信頼」は、当社グループの大きな強みであり、私たちがこれからも後世に引き継いでいかなければならない大切な事業基盤です。

 今年の年頭メッセージでも申し上げたとおり、今回の事案に対する地域の皆さまの受け止めは非常に厳しく、その後に公表された中部電力浜岡原子力発電所の不適切事案が全国的に注目されていることも考えると、原子力のみならず電気事業に対する信頼が大きく損なわれかねない現状に、強い危機感を持っていますし、全社を挙げて信頼回復に努めていかなければなりません。

 そのため、私たちのこれからの取り組みが極めて重要になります。今回のような事案を二度と起こさないよう、原子力部門が改善措置活動計画を着実に実践し、経営層もその状況をしっかりとモニタリングしていくだけでなく、全ての社員が本事案を改めて「自分事」として捉え、コンプライアンス意識を高めながら、これまで以上に真摯かつ謙虚に業務を遂行していくことが望まれます。

 本事案に関する根本原因分析を進める中で浮き彫りになったのは、「問い直す意識」の弱さです。「前例どおりだから大丈夫」、「この程度なら問題ない」といった思い込みや安易な妥協などが重なり、「気づく・話す・直す」機会を自ら放棄していたことを、会社組織として重く受け止めなければなりません。

 そして、本事案に対して独立検証委員会が報告書の結語で「社員への強い信頼から生じる弊害」を指摘していることにも目を向ける必要があります。

 私たちは、油断や思い込み、惰性に流される「心の弱さ」を持っています。それに打ち勝つために重要なことは、グループ安全・保安方針にも定められている「立ち止まる勇気」、「問い直し、問いかける習慣」であり、そして、信頼して仕事を任せる管理職、信頼されて仕事を託される社員に共通して求められる姿勢は「自らの役割と責任の自覚」です。

 今後、全社員を対象に、本事案に関わる職場対話を実施していただきますが、信頼回復に向けて自らの職場で同様の問題が起こりえないか「自分事」として問い直すとともに、「気づく・話す・直す」の基本姿勢のもと、電力のプロであるという誇りと自覚を持って、業務に取り組むよう切にお願いいたします。

イイね!
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