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変化の時代、東北電力が向き合った課題
1980年代後半。
日本では規制緩和の流れが広がり、エネルギー業界にも競争の時代が近づいていました。
それまで電力会社は、地域ごとに電気を供給することが当たり前で、お客さまに「選ばれる」という発想はほとんどありませんでした。
しかし将来は、お客さまから選ばれる企業でなければならない──。そんな変化の兆しが見え始めていたのです。
東北電力でも、電気をお届けするだけでなく、より快適で豊かな暮らしを提案する企業として、新たなタイプのCM制作などの活動に取り組み始めていました。
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快適で豊かな暮らしを提案する当時のCM
しかし、その取り組みを進めるなかで浮かび上がったのが、
「東北電力そのものも変わらなければならない」
「変わろうとしていることを伝えていかなければならない」
ということでした。
将来の自由化を見据え、地域独占に支えられた従来の姿から脱却し、お客さま・地域から選ばれる企業へ変わっていく。
そんな危機感と決意が社内で共有されていったといいます。
そこで企画されたのが、企業CM「元気ですか!」でした。
変わろうとする東北電力の姿を地域社会へ伝えること。
そして、働く一人ひとりが未来の東北電力の姿を考えるきっかけをつくること。
このCMは、東北電力の未来への決意表明でもありました。
通常、企業CMは社外へ向けてつくられるものです。
しかし、このCMには少し違う考え方がありました。
「社員自身が誇りに思えるCMなら、その思いは自然と地域のお客さまにも伝わっていくのではないか」
変わろうとする東北電力の姿を、まず社員自身が信じられること。
それが、お客さま・地域から選ばれ、信頼される企業につながっていく——。
30年以上前につくられたCMには、そんな思いが込められていました。
雨の大阪で始まった「元気ですか!」
そのCMに込める思いを託す楽曲制作の候補に挙がったのが、当時、「酒と泪と男と女」や「時代おくれ」などの代表曲で知られていた、河島英五さんでした。
東北は、河島さんが若い頃、一本のギターを携えてバイクツアーをした、思い入れのある場所だったそうです。
1988年。
楽曲制作に向けて、当時の制作スタッフは河島英五さんに会うため、大阪を訪れました。
打ち合わせ場所は、駅近くのホテルの喫茶店。
外では冷たい雨が降っていたそうです。
しばらくして現れた河島さんは、多くを語りませんでした。
制作スタッフは、当時の東北電力が抱えていた危機感や、「企業として変わらなければならない」という思い、そしてCMに込めたい願いを伝えました。
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河島さんは静かに耳を傾けていたといいます。
やがて、ぽつりとこう口にしました。
「根っからの関西人の俺が、東北電力の歌を作る。いいのかな」
東北の人たちに、自分の歌が受け入れられるだろうか。
そんな率直な不安や迷いもあったのでしょう。
しかし、東北電力の熱意は河島さんに伝わりました。
そして河島さんは、
「今回は初めてCM曲を書き下ろしてみようと思う」
と応えてくれたそうです。
この言葉が、「元気ですか!」誕生の出発点となりました。
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編曲を担当された服部克久さん自筆の楽譜
「第二社歌」のような存在を目指して
東北電力には、この企業CMを一過性のもので終わらせたくないという思いがありました。
目指したのは、一時的に話題になるCMソングではなく、長く愛され、歌い継がれる存在。
社内にあっては、いわば「第二社歌」のような楽曲です。
河島さんには複数の楽曲を制作していただき、その中から選ばれたのが、「元気ですか!」でした。
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河島英五さん直筆のサイン入り色紙
「古い自分の殻を脱ぎ捨て」
当時の制作に関わったOBの皆さんが特に印象に残っていると語るのが、歌詞のこの一節です。
「古い自分の殻を脱ぎ捨て」
当時の東北電力は、競争環境の変化を見据え、従来の姿から変わっていかなければならないという強い危機感を抱えていました。
だからこそ、この歌詞が目指すべき未来と重なったのです。
「これから変わっていかなければならない東北電力の姿と重なった」
そうOBの皆さんは振り返ります。
編曲を担当されたのは、テレビ・ラジオ番組、ドラマ、アニメ、映画、CMの音楽を数多く担当されていた服部克久さん。
60秒のCMには約70ものカットシーンが盛り込まれ、さまざまな部門で働く社員の姿が映し出されました。
歌声が、東北電力で働く人々、そして東北に暮らす人々へのエールになってほしい。
そんな願いが、このCMには込められていました。
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初めて「元気ですか!」を使用したCMのワンシーン
30年以上、受け継がれてきた楽曲
CM放映時のことを尋ねると、OBの皆さんは口をそろえます。
「本当に感動したのを覚えています」
「社員からの反応も良かったんですよ」
当時の東北電力にとって、それは新しい一歩を象徴するCMでもありました。
だからこそ、30年以上経った今もこの楽曲が使われ、新しい企業CMが流され続けていることについては、
「まったく想像していなかった」
と皆さんが笑います。
そして最後に、こんな言葉をいただきました。
「この楽曲やCMは、自由化に立ち向かうためにつくったものでした」
「今改めて歌詞を見て、その意味を噛み締めてほしい」
時代は変わっても、この曲に込められた思いは変わりません。
30年以上前に生まれた一曲は、今も東北電力とお客さま・地域をつなぐ歌として受け継がれています。

2025年9月に行われた東北電力吹奏楽団の演奏会。
アンコールに応えて披露した曲は「元気ですか!」
時代を超えて受け継がれる「元気ですか!」
30年以上の時を超え、現在も東北電力のCMで使われ続けている「元気ですか!」。
当時込められた思いは、今も変わらず受け継がれています。
樋󠄀口会長は、2025年3月に社長を退任される際、東北電力グループの更なる成長を期待して「元気ですか!」の歌詞を引用されました。
自由化への危機感のなかで、「変わらなければならない」という決意を込めて制作されたこの楽曲。
30年以上の時を経た今も、そのメッセージは色あせていません。
東北電力がお客さま・地域とともに歩み続けるために。
そして、選ばれる企業、信頼される企業であり続けるために。
変化を恐れず、前へ進むこと。
そのメッセージは、現役の社員である私たちにも静かに問いかけてきます。
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「元気ですか!」作詞・作曲:河島英五1.古い自分の殻を脱ぎ捨てまだ見えない夢を追いかけてゆくさ微笑みながら喰いしばるんだよ流れに向かう魚のように元気ですか 変わらずに新しい風 見つけましたか昨日はきのうさ しくじったり泣いたりしたけど元気ですか2.洗いざらしのジーンズみたいに雨上がりの山が輝いているよ息を切らして駆けて来る君の笑った顔に木漏れ陽 踊る*元気ですか 変わらずに新しい風 見つけましたか明日と云う日が待ちどおしい子供のように元気ですか*Repeat |