
これまでの思い出
──初任地に関わる思い出があれば教えてください。
初任地は新潟の高田営業所でした。
入社した昭和59年には239センチという記録的な豪雪がありました。それだけ雪が積もると、当然停電もしますし、社会活動も停止するんです。それでも、そこには町の営みがあって、町をあげてみんなで一生懸命に排雪したりするなかで、自分たちの仕事が電力の安定供給だけでなく地域を守っていることを実感しました。
あとは、電気料金の未収額についてシステムで算出された会計値と営業所の帳票の現物を突合する作業を行ったことも思い出に残っています。今は全てシステム化されていますが、当時はまだシステム化が始まったばかりで、その先鋒が未収額の管理でした。機械管理で算出された会計値と営業所にある帳票の金額が一致しているか、手作業で1件1件確認する必要がありました。大変な作業でしたが、料金や未収回収の仕組みをよく理解することができました。

──これまでの経歴や、社内で携わられてきた取り組みの中で、心に残っていることを教えてください。
まずは幕田社長(在任期間:2001年~2005年)の秘書です。会長時代も含めて8年間お仕えしました。大変やりがいのある幅の広い業務で、トップが苦悩するさまをそばで見たり、非常に勉強になりました。
2つ目は死亡労働災害の損害賠償対応です。2000年12月に山形県の月の沢発電所で雪崩があり、当社の社員1名と委託先2名の計3名が亡くなりました。私はこの年の7月まで酒田営業所にいて、亡くなった若い社員は面識のある方でした。

酒田営業所時代 酒田共同火力発電所にて(左)
損害賠償対応の中でお会いしたご遺族のお気持ちは言葉ではとても言い表せないもので、私自身もとても深い悲しみを覚え、防ぐことはできなかったのかと何度も自問しました。こういった悲惨なことを繰り返してはいけないという当時の強い気持ちは、私の安全意識の原点になっています。
3つ目は法的分離プロジェクトのリーガルワーキングです。私が法務室長になったときに法的分離プロジェクトがスタートして、その中で会社分割の法的手続について検討するのがリーガルワーキングでした。
会社を法的に分割するという前例のない課題に対して、チームのみんなで一から考えて、調べて、先行事例のヒアリングなども行いました。大規模な会社の分割というのは大変なことでしたが、メンバーのチームワークが本当に良く、「この機会にいろいろ学んで、生きたノウハウにしていこう」という気概を持ち、一人一人が前向きに自らの役割を果たしてくれました。
「群れを守る奴雁(どがん)の精神で」二階堂副社長の抱負
──副社長に就任してのお気持ちを教えてください。
社長をしっかりと支えていくという重い責任を感じています。
そして、社員の皆さんに対しては、「親父の気持ち」と「奴雁の気持ち」という二つの気持ちを持っています。
一つ目の「親父の気持ち」は、とにかく「健康であってほしい」「立派に成長してほしい」「悪いことに巻き込まれないでほしい」といった、子どもを心配するような気持ちです。
二つ目の「奴雁」は、私も昔ある方から教えてもらったのですが、雁(かり)の群れの中で、仲間が餌をついばんでいる時に首を高くして周囲を警戒する雁のことを言います。我が家の近くにも白鳥が集まるところがあって、見ていると確かに1羽、姿勢をよくして微動だにしないものがいます。外から何か危険が迫っていないかとか、群れにおかしなところがないかを見張る1羽がいることで、群れの安全が保たれます。私も東北電力という組織の中でそのような存在でいたいと思っています。

──中長期ビジョンのターゲットである2030年代に向けて、どのようなことに力を入れていきますか。
まず重要だと考えているのは販売を拡大して利益を上げていくことです。私が担当する総務・地域共創部門についても、販売カンパニーなどと連携して利益拡大に貢献していきたいと考えています。また「よりそうnext+PLUS」では、事業区分ごとに親和性の高いグループ企業と一体的なマネジメントを行いながら事業単位で自律的に収益と成長を追求することとしていますので、実際に利益を上げた人や努力をした人が報われる仕組みを作っていくことも大事です。
そしてサステナビリティへの取り組みについては、企業活動で得た利益を分配するのではなく、企業活動そのもので社会価値を上げていくというのがサステナビリティの考え方なので、そういった考え方を実感できる施策を目指していきたいと思っています。
──4月1日「総務・地域共創部門」が設置されましたが、担当役員としての思いをお聞かせください。
総務と広報を同じ部門にするというのは東北電力として初めての取り組みです。相乗効果が発揮できるように、それぞれの持つ目標をしっかりと合わせていきたいと考えています。
そのうえで、2030年には次のようになっていたいと思います。
①再生可能エネルギー先進地域「東北(電力)」
日本の中でも再生可能エネルギーのポテンシャルが高い東北・新潟地域ですので、先進地域として周囲に明確に認識してもらうこと、そしてそれを支えている東北電力グループの価値がしっかりと伝わっていたらいいなと思っています。
②東北(電力)面白そうだ
東北は面白そうだと思ってもらうことは大事で、それによってファンが増えて、国内外から人が集まってきてくれます。また、地域そのものが面白いと思われるのと同時に、東北電力という会社も色々な取り組みをしていて「面白そうだ」と思ってもらいたいです。
③東北電力の人たちが好きです
最終的に目指したいのは、「東北電力の人たちが好きです」とみんなから思ってもらうことです。そうなれば事業における結果というのは自ずからついてくると思っています。

福島支店長時代 創立70周年行事「おそうじ駅伝」紹介動画より
──「面白そうだ」と思ってもらうためにはどういった視点が重要でしょうか。
型にはまらない意外さや思いもよらないことを大事にしてほしいです。
社員の皆さんと1対1で対話をすると本当に色々な発想をしてくれますし、話していて非常に楽しい、面白い人の集まりだと思っています。しかし仕事のこととなると私を含め、型にはめていこうというフレームワーク的な考え方を重要視する傾向がやや強いところがあります。自分をあまり型にはめず、自らを出していくことが、面白さのヒントになると考えています。

──我々社員に期待することを教えてください。
社内、社外の両方で良いコミュニケーションを取ることです。良いコミュニケーションを取るポイントについて、私は3つのAにあると思っています。
1つめは「アクノレッジ(Acknowledge)」。相手を認識して承認することです。部屋に入ってきた人に作業の手を止めて話しかけるような、「あなたを認識し、承認していますよ」というメッセージを含むコミュニケーションです。
2つめは「アカウンタブル(Accountable)」。「どうせ…」というような諦めの態度(ビクティム思想)から脱却して、WIN-WINの関係を目指して色々な選択肢を模索することです。こちらが折れなければならないような一見勝ち目のない立場であっても、諦めずに幅広い選択肢を求め続けるコミュニケーションです。
3つめは「アサーティブ(Assertive)」。相手を言い負かすような一方的な展開を目指すのではなく、両者にとって最善な選択肢を真摯に探すことです。
東京支社長時代、所属員との1 on 1をやりました。1人あたり10回ぐらいやったというと驚かれるかもしれませんが、意外と毎回新しい気持ちで臨むことができます。相手のことは丸ごと分かってきますし、逆に私のことも相手に分かってもらえます。社員の皆さんにもぜひコミュニケーションの楽しさを経験してほしいと思っています。

ニューヨーク大学日米経営経済研究センター留学時代(右から三番目)
休日の過ごし方
──休日の過ごし方やご趣味はなんですか。
今はあまり行けていませんが、家族旅行です。妻が宝塚歌劇団のファンで、一緒に観劇したついでに京都に行ったりしていました。
あとは小学校の時から習っていたバイオリンの演奏です。大学の時はオーケストラにも所属していましたが、先輩が創部したアメリカンフットボール部にも在籍していたため、2年生の時に辞めてしまいました。
また餃子づくりも趣味です。私も実家にいた頃よく母の手作り餃子を食べていて、子供が生まれてからは毎週土曜日を餃子の日と決めて、私が作っていました。下の子が家を出るまで、20年近く毎週作り続けました。
──美味しい餃子を作るポイントはなんですか。
あんを作るときに、ひき肉をよく練ることです。
私が就職して家を出る時、今度からは自分で作ろうと思ってレシピを母に尋ねたら「レシピはない」と言われて(笑)しかたなく自分で試行錯誤しながら餃子を作ってきました。息子には家を出る時にレシピを教えたんですが、帰省して私の餃子を食べると「敵わない」と言っています。私が母の味を再現できなかったのと同じことなのかもしれませんね。

【新社長・新副社長・新本部長インタビューは以下リンクから】
髙野社長インタビュー -変化する時代の中で大切にしたいこと-