
小林取締役の主な経歴
2001年 3月 日本生命保険相互会社津支社長
2003年 3月 同 営業教育部長兼販売資料審査室長
2004年 3月 同 商品開発部長兼営業教育部長
2005年 3月 同 秘書部長兼企画総務部長
2007年 3月 同 執行役員秘書部長兼企画総務部長兼CSR推進室長
2010年 3月 同 常務執行役員企画総務部長
2010年 7月 同 取締役常務執行役員
2012年 3月 同 取締役専務執行役員
2016年 3月 同 代表取締役副社長執行役員
2019年 3月 同 取締役審議役(監査部)
2019年 7月 同 常任監査役(常勤)
2022年 7月 同 取締役監査等委員(常勤)
2023年 7月 同 顧問
東北・新潟地域への思い、東日本大震災の経験
──東北・新潟地域の印象について教えてください。
日本生命にとって東北・新潟地域は70万名の契約者と5千名の職員がいる、重要なマーケットだと認識しています。私もこれまで販売担当として何度となく各県に足を運んできましたが、豊かな自然、おいしいお酒や食べ物、多様な文化に恵まれた魅力的な地域だと感じています。
日本生命では東日本大震災において、残念ながら職員12名がお亡くなりになりました。自宅が被害にあった者も400名以上いましたが、それでも職員は「こういう時こそ保険会社としてお客さまのお役に立たなければ」という使命感から必死にお客さまへの安否確認にあたりました。最終的に38万名のお客さまと連絡を取ることができ、合計で320億円の保険金をお支払いしました。
日本生命は“お客さま本位の業務運営”を掲げていて、Face to Faceのコミュニケーションを大事にしてきました。震災後の大変な混乱の中でもあれだけの対応ができたのは普段の対面活動の賜物だと思っています。
この震災の経験を通じて、私は東北・新潟地域について2つのことに気付きました。
1つは、製造業のサプライチェーンの上流には東北・新潟地域の多くの企業があることです。当時、全国の製造業に甚大な影響がありました。「東北の復興なくして日本の発展なし」という言葉をよく耳にして、私自身も「こんなに東北・新潟にお世話になっていたのか」と思いました。
2つ目は、東北が一体となって発揮するポテンシャルの高さです。東北六魂祭が開催されたのは、震災のわずか4カ月後でした。祭りを通じて鎮魂と復興を祈るという共通の目的に向けてひとつになる、東北の人々のチーム力の強さがあらわれたものだと思っています。
さらに、最近の東北・新潟地域に感じるのは、発信力の高さです。今年の6月に東北大学が国から「国際卓越研究大学」第1号の認定候補として選ばれたことからも分かるように、高い実力に裏打ちされる形で発信力が年々高まってきているように思います。
──「発信力が高い」という評価はやや意外に感じます。
私が特に感じるのは事実に基づいた発信力の高さです。
ただ東北の皆さんはとても奥ゆかしいので、「発信」はできても「宣伝」が苦手ですよね。自分たちや地域の良さをもっと声高に宣伝することが求められていると思います。
そういう意味でいうと「よりそうnext+PLUS」や「より、そう、ちから。」はお客さまとの距離を縮めることのできる、非常に良いフレーズだと思っています。

日本生命流の地域貢献、みんなが輝ける社会に向けて
──日本生命では多くの地元自治体と包括協定を結ばれています。これはどのような目的で結ばれているのでしょうか。
実は、この取り組みは私が担当の時代に始めたものですが、日本生命は全国に100の支社、1,500の営業所があって、7万人の職員がいます。自治体と協力することにより、地域の一員である日本生命の職員に付加価値を与えられないかと考えたのが始まりです。
形だけの協定にはしたくなかったので、なるべく具体的で身近な施策を行いました。例えば、営業中の職員が地域の見守り活動を行って異常を見つけたら積極的に連絡や通報をするとか、お客さまへお伺いする際には自治体のがん健診奨励チラシを持参して健診をお願いするとか、日本生命が支援しているスポーツ選手にお願いして全国でスポーツ教室を行う、といった取り組みです。お客さまも、自治体の担当部署も、そしてその地域の住民でもある職員にもメリットがあるというWIN-WINの取り組みとなっています。

──日本生命は女性職員が多数いらっしゃいます。当社でも多様な人財の活躍に向けて様々な取り組みを行っていますが、どのように見られていますか。
大事なことは性別だけではなく年齢や障がいの有無も含めた多様な意見が反映され、それぞれの能力が発揮されていくことだと思います。
日本生命の話をすると、大阪の本店にある特例子会社「ニッセイ・ニュークリエーション」では400人を超える障がいのある方が保険事務の代行や印刷、物販などで活躍されています。そこでは、各自の苦手分野をお互いに補いながら仕事をしています。その過程で建物の設備や業務のルールなど不便に気づいたものを自分たちが仕事しやすいように変化させていった結果、自然と職場のバリアフリー化が進みました。今では高齢者も含めて誰もが働ける職場のモデルとして、建築業界などから多くの方が見学にいらっしゃっています。価値観を多様化することが付加価値の創造に繋がっていくのです。
- ニッセイ・ニュークリエーションの屋内階段。緊急時に車いすを押して上り下りができる(同社HPより)
- ニッセイ・ニュークリエーションに配備されているパトライト。聴覚に障がいのある人にも緊急地震速報を告知する(同社HPより)
東北電力グループに思うこと、社員へのメッセージ
──当社にいらっしゃる前といらっしゃった後で、当社に対する認識やイメージに変化はありましたか。
これは社外取締役になる前から変わりませんが、東北電力は戦後の復興期から変わらず地域をずっと支えてきた会社だと認識しています。東京を除けば東日本で最も事業規模の大きい会社で、電力のプロフェッショナルとしての実績とそれに裏打ちされた地域からの絶大な信頼を得ています。特に東日本大震災では発災後3日で8割の停電を解消して、また女川原子力発電所が避難所となって地域住民の生活を支えたことは、社外取締役になる前から耳にしていました。東北電力がいかに素晴らしい仕事をしていて、その実績により地域からいかに頼りにされているかをよく示しているエピソードだと思います。
そして社外取締役になり社内の議論に参加する中で感じるのは、東北電力グループが直面している課題は外から見えている以上に多様化かつ複雑化しているということです。新電力との競争に加えて少子高齢化や気候変動、地政学リスク、そして電力システム改革のような業界規制など、事業環境も規制もずいぶん激しく変化しているなというのが率直なところです。東北電力グループがいかにこれらの課題を解決し、お客さまに新しい価値を提供していくかが問われていると思います。
「よりそうnext+PLUS」は現在のビジョンやこれからの道筋を分かりやすく示しています。今後は組織のあり方やグループ各社との役割分担の見直しなども取り組むことになるだろうと思いますが、そうした努力も「よりそうnext+PLUS」実現への道筋を確かにするためには必要なことでしょう。

──今後の東北電力グループの地域やお客さまとの関わり方について、どのようにお考えですか。
旧来、東北電力グループのお客さまは電力の安定供給の先にいました。だからある意味では安定供給さえできていればよかったと思います。しかし今は違います。お客さまは様々な選択肢や複雑なメカニズムの中にあって、「東北電力グループとコミュニケーションをする価値」があるのかどうか、常に見ています。
制度の変更が続き、業務の上では大変なことも多いと思います。しかしこれらは最終的にお客さまのためになされているもので、社会にとって理想の形になるまでは常に変化していくものです。その中で自分の会社やグループを選んでいただくために大事なのは「お客さまを味方につける」こと。お客さまが東北電力を応援する声を上げていただけるようにすることです。そのためには「これは本当にお客さまのためになるのか?」という視点を常に忘れずに、地域やお客さまに提供する価値、あるいは東北電力グループの存在意義といったものをアップデートしていくことが何より大事です。
──最後に、社員にメッセージをお願いします。
まずは、地域を支える基幹産業を担っていることに大きな誇りを持ってほしい。そしてその上で忘れてはいけないのが、東北電力の歴史を作ってきたのは「お客さまからの信頼」だということです。
樋口社長からのメッセージにある「守るべきは信頼、変えるべきは意識」の言葉、本当にその通りだと思います。死亡災害の発生、自然災害の激甚化や新たな規制やコンプライアンスへの対応…いずれも問われているのは我々の「意識」です。
そして私が思うのは、「守るべき『信頼』もまた我々の意識と行動によって作られてきた」ということです。我々の意識と行動に誤りがあれば、東北電力グループへの地域からの信頼は簡単に失墜します。守るべきは守る、変えるべきは変える、そういった積み重ねで東北電力グループへの信頼を勝ち取ることができれば、その信頼はいずれお客さまに東北電力グループを応援いただけるための原動力となるでしょう。
我々の事業活動はすべてがつながっています。グループや会社の中にいるとつい縦割りの意識を持ってしまうこともあるかもしれませんが、お客さまから見れば同じ「東北電力グループ」です。社外取締役という立場ではありますが、私もその一員です。一緒に頑張っていきましょう。

【バックナンバーは以下リンクから】
川野邊社外取締役インタビュー ~失敗を恐れずチャレンジしよう~
永井社外取締役インタビュー~「強くてよい会社」を目指して共に頑張ろう~
植原社外取締役インタビュー ~どんな場面でも、「想像力」を大切に~