
【地域の魅力発信シリーズ#7】新潟県南魚沼市・十日町市「ほくほく線」の魅力へしゅっぱ~つ進行!
2027年に開業30周年を迎える北越急行株式会社は、かつて特急が時速160kmで駆け抜けた高規格な設備を生かし、現在は鉄道愛あふれるさまざまな企画を実施しています。今回はそんな北越急行の「ほくほく線」の魅力をご紹介します。
今回は新潟支店部長兼長岡営業所長の米山哲也さんからのご紹介です!
皆さんからの情報をもとに、地域の魅力をお届けするコーナー。第7回の情報提供者は、新潟支店部長兼長岡営業所長の米山哲也さん。
<情報提供者のご紹介>![]() 左:北越急行の村山さん 右:米山さん
【米山さんからのコメント】 誘致運動の開始から長い年月を経て、1997年3月北越急行は開業し、首都圏と北陸地方を結ぶ高速鉄道として大きな役割を果たしていました。2015年北陸新幹線が金沢まで延伸され、その役割を終えましたが、地域鉄道として今なお地域に欠くことのできない鉄道です。北越急行の皆さんからは、地域を心から大切にされている姿勢や、安全・安定運行を支える鉄道マンの誇りが感じられます。そうした思いに支えられた質の高いサービスは地域に溶け込み、沿線地域の皆さんから愛されている鉄道となっています。沿線には観光スポットも数多く、一度は乗車していただきたい素晴らしい鉄道です。
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そして、米山さんには次号の第8回でも長岡エリアのさらなる魅力をご紹介いただきます!6月中に公開予定ですので、そちらもお楽しみに!
地元の熱い想いで開通した「ほくほく線」
親しみやすく、心が弾むような名称の「ほくほく線」ですが、走っているのは新潟県南魚沼市の六日町から新潟県上越市の犀潟(さいがた)に至る全長59.5キロの豪雪地帯。北越急行(株)経営管理部 担当部長兼経営企画課長の村山正樹さんが「『ほくほく線』のはじまりは、冬の間、豪雪で集落が孤立する状況を鉄道で打開したいという沿線の人たちの願いでした」と説明してくれました。

説明をする村山さん
1930年代に鉄道の誘致運動が始まりましたが、長い間の紆余曲折を経て、1984年、第三セクターである北越急行が設立されました。当初は単線非電化の方針でしたが、建設工事の途中で電化・高規格化して首都圏と北陸を結ぶ高速列車(2015年の北陸新幹線金沢延伸に伴い廃止となった特急「はくたか」)を走らせることが決定します。1997年3月、ついに「ほくほく線」が開業!地元の人たちの悲願が60年余りを経て叶えられた瞬間でした。
- ほくほく線六日町駅出発式の様子
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北越急行オリジナルの車両「HK100形」。
HKは北越(H)急行(K)を表している
モグラ駅で下車!扉の向こうは異世界!?
検修庫や収容庫などを案内してもらった後は、村山さんと一緒に、「ほくほく線」に乗り込みました。目的地は、モグラ駅(地下トンネル内にある駅)として有名な美佐島駅です。
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イラストで運行状況が分かる運行案内モニター
入学・卒業シーズンには学生へ向けたメッセージも表示する
- モグラ駅に向けて出発!
- 取材日は、線路などの点検作業に遭遇!
- ワンマン運転で、前方では運転士の姿を 間近で見られる
美佐島駅で電車を降りると、そのホームは地下10メートルのトンネルの中。風圧を感じながら真っ暗なトンネルの中をライトが遠ざかっていく光景を見ていると、異世界に迷い込んだような感覚を覚えます。ふと上を見ると、「芸」のマークが!大地の芸術祭の本祭や通年プログラムの期間中に運行する「芸術祭列車 JIKU#13 HOKUHOKU-LINE」の停車位置を示しているそうです。
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ひんやりとした深い静寂。
地上とは完全に切り離された異世界空間
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芸術祭列車に乗車して美佐島駅を訪れた人だけが、
ホーム内で鑑賞できる光と音の体験型作品があるそう
ホームと地下通路の間には、分厚い金属製の扉があり、この駅に停車する電車が来るまで、ホームに立ち入ることはできません。2015年に北陸新幹線が開業するまで、「ほくほく線」は首都圏と北陸を結ぶメインルートとして、特急「はくたか」を運行していました。その時の速度は、在来線最速となる時速160キロに達していました。
列車通過時には風速20メートル以上の風が吹くため、分厚い扉は現役で活躍中
階段をのぼると、無人駅とは思えないほど立派な駅舎が現れました。周囲を散策しながら時間を過ごし、帰りの電車の時刻が近づいて地下の待合室に座っていると……。十日町弁の案内が聞こえてきました。ちなみに情報提供者で長岡出身の米山さんによると、「丁寧な十日町弁」だそうです。

美佐島駅の駅舎。周囲にはのどかな山村が広がる
沿線には「ほくほく線」で通学する子どもたちも多く、「今年3月には『小さい時からほくほく線で通学するのが夢でした。3年間、よろしくお願いいたします』という投書をいただきました」と嬉しそうに話す村山さん。
そういえば、(株)トミーテックが展開する全国の鉄道事業者の制服を着たキャラクター「鉄道むすめ」でも、「ほくほく線」のキャラクター・松代うさぎは、高校生の時、通学に利用していた「ほくほく線」を身近に感じて北越急行に入社したという設定でした。
ニッチな要望に応える人気ツアー
険しい山々が連なる豪雪地帯を走る「ほくほく線」は、全線の70%余りが「トンネル区間」になっています。なかでも、完成までに20年以上を費やした全長9,130メートルの「鍋立山トンネル」は、世界的にもトップレベルの難工事だったとか。その坑口(地表へのトンネルの入口付近のこと)や工事のために掘られた斜坑などを見学できるツアーが人気を集めています。
その一つが、「超低速スノータートル ナイトタートル~夜のトンネル探検~」です。ツアーが行われるのは、最終列車が通り過ぎたあとの真夜中。それだけでワクワクしてしまいますよね。
夜のトンネル探索ツアーの様子
二つ目は、「六日町運輸指令区車庫見学&スノーシューで行く鍋立山トンネル斜坑見学」です。車庫を見学したあと、スノーシューで雪の上を歩いて、現在は保守点検時に使用されている斜坑に入ることができます。
豪雪地帯の足を守ってきた「ほくほく線」のリアルを感じることができる
トンネルの中では電車の照明を消して天井に映像を映し出すシアター・トレイン「ゆめぞら」を走らせるなど、「ほくほく線」ではユニークで、地域愛・鉄道愛にあふれた取り組みが行われています。
子どもに大人気!日本初のシアター・トレイン「ゆめぞら」。毎週日曜日に運行中
「ほくほく線」×「レンタサイクル」で巡る観光スポット
沿線自治体のなかで、最も長い区間を走る十日町市には、芸術や自然に親しむ観光スポットが点在しています。
十日町市では、津南町とともに地域芸術祭のパイオニアといわれる「大地の芸術祭」が20年以上前から開催されてきました。「越後妻有里山現代美術館 MonET(モネ)」やまつだい「農舞台」はその拠点施設のひとつで、越後妻有の風土や文化の特質に深く向き合う作品などを展示しています。
- レアンドロ・エルリッヒ「Palimpsest: 空の池」Photo by Kioku Keizo
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草間彌生「花咲ける妻有」
Photo by Nakamura Osamu
2022年、松代地区の7カ所の棚田が、農水省の「つなぐ棚田遺産」に認定されました。田んぼに水がたまって「水鏡」となる春と秋には、毎年多くのカメラマンが訪れるそうです。観光案内所などでは、棚田スポットを紹介した「越後松代棚田群・棚田マップ」が配布されています。

日本三大薬湯といわれる松之山温泉の近くには、樹齢約100年のブナの林が広がっています。大正末期、炭にするためにすべて伐採したところ、翌年の春、ブナが一斉に芽吹いて現在の姿に――。「美人林」と呼ばれるほど美しい森で、四季それぞれにさまざまな表情を見せてくれます。
駅からは距離が離れているスポットもありますが、十日町駅では、スポーツタイプの電動アシスト自転車「里山E-バイク」とママチャリタイプの電動アシスト自転車「里チャリ」のレンタルを行っています。「ほくほく線」×「レンタサイクル」で、癒し旅に出掛けましょう!(市内一部通行できないルートあり。詳しくは十日町市観光協会(025-757-3345)までお問合せください。)
北越急行「ほくほく線」の魅力や今後の展望を伺いました
北越急行に入社して25年。ベテラン運転士でもある運輸部 運輸課 運輸課長の菊地章男さんにお話を伺いました。

運輸課長の菊地章男さん
―「ほくほく線」の魅力を教えてください。
ワンマン運転でお客さまとの距離が近く、運賃やきっぷをいただいたり、お声掛けをいただいたりして、やりがいを感じる場面が多いですね。あとは、乗り心地が良いことでしょうか。お客さまからも「ほくほく線の区間に入ると、乗り心地が違うね」と褒めていただけます。
―乗り心地が良いのは、どうしてですか?
特急「はくたか」を走らせるために、レールの継ぎ目の少ない「ロングレール」やコンクリート板の上にレールを敷く「スラブ軌道」を採用しています。また車両自体にも車体と台車部の間に空気ばねが設置されているなど、新幹線に準ずるほどの設備で、走行時の安定性を向上させたり、騒音を防止したりする工夫が施されています。
―それはすごいですね。
私は開業から5年後に入社していますが、先輩方から話を聞くと、当初は車両の故障が頻発していたそうです。豪雪地帯に多いディーゼルではなく電気で走らせたことで、結露で機器が故障して電車が動かなくなるなどのトラブルが多かったのですが、不具合が起きるたびに粘り強く対策を重ねた先輩方のおかげで、故障の少ない今の車両が完成したのだと考えています。
―仕事で最も大切にされていることを教えてください。
入社して25年、車両の整備や運転の仕事、車両や運転の管理業務などさまざまな仕事をさせてもらいました。私の使命は安全運行を継続していくこと。これからも安全な鉄道を守り続けながら、鉄道人生を全うしたいと思っています。
続いて、北越急行の猿山彰社長に今後の展望についてお話を伺いました。

猿山彰社長
―「ほくほく線」に対する地域の方々の思いをどのように感じていますか?
私は栃木県の生まれで、JR東日本を経て、2025年に社長に就任しました。社員たちがお客さまからお声掛けをしていただくことも多く、日々、「ほくほく線」の存在の大きさ、地元の方々の期待の大きさを感じています。
―「ほくほく線」はユニークなツアーも人気です。
当社の路線はトンネルが7割と、なかなか車窓からの景色を楽しむことは難しいですが、その分、シアター・トレイン「ゆめぞら」など、景色以外の楽しみを提供することが価値になると感じています。就任してまもなく、「トンネルツアー」に同行したのですが、「ほくほく線」のトンネル内では、特急「はくたか」廃止に伴い撤去された設備の設置跡など、多様な設備を見学することができます。鉄道会社で働いてきた私でも、なかなか見られない設備もあって、とても面白かったです。
―来年の30周年に向けての思いをお聞かせください。
30年の間に北陸新幹線が延伸し、首都圏と北陸を結ぶメインルートではなくなった今、もう一度、地元に根差す必要性を感じています。地元の請願で誕生した「ほくほく線」の原点に立ち返り、30年の歴史を大切に、これからも地元に還元していきたいと思っています。
―読者にメッセージをお願いします!
沿線に点在する観光スポットは、新潟県内の観光地を思い浮かべた時に最初に名前が挙がるようなメジャーな存在ではないかもしれません。それでも、実際に暮らしてみると、ほかにはない素晴らしい魅力がたくさんあると感じています。ぜひ「ほくほく線」の旅を通して、ガイドブックだけでは分からない魅力を体感してみてください。
< 地域の魅力に関する情報を大募集!>
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