
副社長として
──「よりそうnext+PLUS」達成のために、東北電力ネットワークでは何が必要だとお考えですか。
東北電力ネットワークでは「私達の目指すもの」として、次の存在意義と使命を掲げています。
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存在意義:電力ネットワークを通じ、地域社会の安全・安心・快適な暮らしを支え、共に発展・成長する 使命:電力の安定供給・レジリエンス強化、カーボンニュートラルへの貢献、強靭な事業基盤の構築 |
「よりそうnext+PLUS」達成のためには、この存在意義と使命の実現が不可欠です。そのために必要なのは、経営基盤を強化すること、施工力を含めたサプライチェーンを維持すること、そして、安心して働くことができる職場環境を整備することの3点だと考えています。

──東北電力ネットワークを取り巻く経営環境の変化について、どのようにお考えですか。
デジタル化が進展し、日常生活のあらゆる場面で電気が使われるようになっていますが、大規模な停電をもたらすような大きな災害が頻発していることもあり、我々の事業が持つ社会基盤としての重要性は一層高まっています。その一方で、物価高や金利の上昇といった外部環境や、調整力確保費用の増大などによる収支の悪化に加えて、人口減少にともなって担い手不足が顕在化しつつあり、事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
これに対し、当社はカイゼン活動などによる業務の効率化を確実に進めていくとともに、安全、安定供給、サプライチェーンの維持を前提に、優先度を見極めながら経営資源を重点的に投入しています。業務によっては制約を感じる場面もあるかもしれませんが、現在の事業運営を安定させ、かつ将来にわたって施工力を維持していくためには避けることのできないものです。
──「よりそうnext+PLUS」のターゲットである2030年代に向けて、東北電力ネットワークが注力していくポイントを教えてください。
送配電事業は、社会を支える基盤である一方、制度変化の影響を非常に受けやすい事業でもあります。だからこそ、制度面、収益面の両方から、将来にわたって安定的に事業を続けられるような形にしていく必要があります。先に述べたような外部環境の変化もある中で、経営基盤を強化していくためには、大きく2つのポイントがあると考えています。
制度改正に向けた動き
送配電事業を安定的に続けていくためには、現場の努力だけでなく、事業環境の変化を適切に反映できる制度設計も欠かせません。2030年代は、レベニューキャップ制度の第2、第3規制期間を迎える時期にあたります。第1規制期間で確認された課題についてしっかりと検証を行い、送配電事業を取り巻く外部環境が急速に変化しても、安定的な事業運営が続けられるような制度を目指していくことが重要だと考えています。当社は引き続き、他の一般送配電事業者と連携し、あるべき制度に向けた見直しを訴えていきます。
収益の拡大
送配電事業の根幹は、電力取引を行うプラットフォームである送配電設備を介して、発電事業者や小売事業者にサービスを提供することです。
当社に求められていることは、効率的な設備形成や適正な電力品質の維持、高度な系統運用などを行い、このプラットフォームを最大限活用することです。こうした社会やお客さまからの期待に応えながら、企業や工場などの誘致活動や電化の推進による需要の拡大に加えて、カーボンニュートラルへの貢献や社会課題の解決といった新たな価値の創出にも挑戦し、収益拡大につなげていきたいと考えています。
こうした取り組みは、経営層や一部の部門だけで実現できるものではありません。現場で日々業務に向き合う一人ひとりが、自分の仕事が地域や会社の将来につながっていることを意識し、それぞれの立場でできることを積み重ねていくことが大切だと考えています。

これまでの経歴や思い出、仕事観など
──初任地と最初の業務、当時の思い出について教えてください。
いわき営業所(現いわき電力センター)の配電課作業係に配属され、配電設備の保守・保安や、お客さま申し出への対応にあたりました。電柱への昇降が数十回に及ぶ日もあり、手のひらにできたマメが潰れることもしばしばで、業務は大変でしたが、現場での作業はチームを組んで行うことが多く、チームで目標を達成することのやりがいや楽しさを実感する日々でした。また退勤後は寮で反省会と称して懇親をすることも多く、業務の内外を問わず結束力の強い職場でした。
- 入社当時の工藤副社長
- 入社1年目、職場旅行で松島へ(一番左が工藤副社長)
当時のことで覚えていることがあります。寮で懇親を始めて間もない19時前、ふと天気予報を見た入社3年目の若い先輩が「このあと荒れるかもしれない」と言い、急きょお開きになったことがありました。私は正直、「もう少し様子を見てもいいのでは」と思っていました。ところが深夜になると、先輩の懸念どおり、天気は大荒れに。停電が相次ぎ、翌日の夕方まで対応に追われました。自分の先読みの甘さを猛省するとともに、先輩が身をもって示した「安定供給への使命感」に心を打たれました。
今も現場に脈々と受け継がれているこういったマインドは、当社の強みそのものと言っていいでしょう。

入社2~3年目の工藤副社長
また、いわき営業所時代には、協力会社の方が作業中の事故で亡くなるという痛ましい経験もしました。事故の知らせを受けて現場に向かったときの緊迫した空気は、今も忘れることができません。
その後も自分が関わった方が亡くなる死亡災害を経験していますが、どれも思い出すだけで胸が締め付けられます。残された私たちの使命は、二度と同じことを起こさないという思いを胸に、すべての仲間が元気に出社し、笑顔で帰ることを守り続けることだと思っています。
──その後、配電部でも長く勤務されていますが、印象に残っている業務はなんですか。
トランスからのPCB※が含まれた絶縁油の漏洩を受け、原因究明と再発防止策の立案に取り組んだことが印象に残っています。社会的な関心も高く、配電部門として初めて報告徴収を受けるなど、緊張感のある対応でした。役所を何度も訪問し、打ち合わせを重ねながら作成した内容が、先方の上司の指摘を受けて振り出しに戻ってしまうなど、多くの苦労をしました。
※ポリ塩化ビフェニル。人工的に作られた化学物質で毒性があり、現在は製造や使用が禁止されている。
──そのような苦しい場面はどのようにして乗り越えたのでしょうか。
「世の中に不運なし。すべて試練なり」という言葉で、自分を奮い立たせています。この言葉と出会ったのは小学校にあった日めくりカレンダーで、それ以降、苦しい時に支えにしています。
例えば業務で苦しいことや嫌なことがあっても、それは見方を変えればゴールに向けての過程の1つです。何事も必ず自分のためになる、成長につながると信じることが、自分ごととして取り組む前向きさを生む源泉だと思います。

とはいえ、苦しい、あるいは嫌な業務を「自分ごと」としてとらえるのは中々難しいと感じる方もいるかもしれません。私が思う「自分ごと」化の最初のステップは「自分がコントロールできることに最善を尽くす」ことです。相手や環境といった自分がコントロールできないものではなく、自分にできることは何かを考え、それを実行することに注力していく。それが重要だと思います。
──休日の過ごし方や趣味について教えてください。
地域の少年野球チームで指導をしています。私の長男や次男も所属したチームで、2人とも20年以上前に卒業しましたが、私はそのままチームのサポートを続けています。劣勢でも最後まで諦めない子供たちの姿や、奇跡のような逆転劇などを見ると、心が動かされます。最近は顔を出せる回数も減り、小学生の元気な動きについていけない時もありますが、体を動かした後の一杯も、また格別です。

少年野球チームで指導をする工藤副社長(中央右上)
また、配電部の先輩に誘われて始めた謡曲を、もう20年以上続けています。東京の先生から稽古をつけてもらい、定期的に発表会に臨んでいます。自分の声色や動作で情景を演じるのは難しいですが、時々上手くはまることがあり、魅力を感じています。声を出すことが気持ちのリフレッシュにもつながっています。

謡曲の発表会にて
東北電力ネットワーク社員へのメッセージ
東北電力グループは2024年10月、「現場が安全の起点」という安全管理の考え方を示しました。この「現場を起点にする」という考え方は当社にとって大変重要なもので、安全に限らず、安定供給や収益の確保など、事業運営の全てにおける基本だと思っています。
当社がこれからも使命を果たし、持続的に成長していくためには、皆さん一人ひとりの日々の取り組みや「気づく・話す・直す」の実践、そして行為規制の遵守を前提とした東北電力との連携が欠かせません。さらに、地域の皆さまに「東北電力ネットワーク」の存在をもっと知っていただくことも大切です。
会社を知っていただく第一歩は、地域の中で働き、暮らす私たち一人ひとりを知っていただくことだと思います。皆さん一人ひとりがその地域の住民として、自分がいる地域をいかに良くしていくかを考え、何らかの行動に移す。そうして積み重ねた地域との関係が、将来の当社を支えてくれると思います。
当社を取り巻く事業環境は年々厳しさを増していますが、一人ひとりが「自分にできること」を考え、前向きに行動する。その積み重ねが、地域からの信頼となり、安定供給という使命を支える力になります。電力センター、支社、本社が密接に連携し、地域とともに成長しながら、「私たちの目指すもの」を実現していきましょう。
