
知っとこ レベニューキャップ制度 第7回 ~託送料金単価を見直し~
東北電力ネットワークは、2025年7月29日に経済産業大臣へ託送供給等約款の変更届出を行い、2025年10月1日から託送料金単価を見直すこととしました。今回の料金単価見直しの内容や見直しに至った経緯、レベニューキャップ制度に係る今後の予定などについて解説します。
「レベニューキャップ制度」の解説はこちら
「レベニューキャップ制度」に関しては、本シリーズにて紹介しています。バックナンバーはこちらをご覧ください。
・知っとこ 託送料金制度改革 第1回~総括原価方式からレベニューキャップ制度へ~
・知っとこ 託送料金制度改革 第2回~レベニューキャップ制度の概要~
・知っとこ 託送料金制度改革 第3回~「事業計画」「収入の見通し」を国に提出~
・知っとこ 託送料金制度改革 第4回~国の検証結果を反映した「収入の見通し」の承認申請~
・知っとこ 託送料金制度改革 第5回~託送費用の変動分を反映するため「収入の見通し」を変更承認申請~
・知っとこ 託送料金制度改革 第6回 ~託送費用の変更承認を受けて「託送供給等約款」の変更認可を申請~
需要実績が想定を下回る中、安定的な事業運営のために単価を見直し
東北電力ネットワークはレベニューキャップ制度のもと、国から承認を受けた2023年度から2027年度の5カ年(第1規制期間)の事業計画の達成に必要となる費用(収入の見通し)を超えない範囲で託送料金を設定し、これまで2年間にわたって事業を行ってきました。
しかしながら、第1規制期間における収入の前提となる電力の需要想定に対し、現状の需要実績がこれを下回るとともに、今後の需要についても当初の想定を下回る見通しであることから、従来の託送料金単価のままでは安定的な事業運営、ひいては電力の安定供給に影響が生じるおそれがありました。このような状況を受けて東北電力ネットワークでは、早期に収支の改善を図るため、電気事業法に基づく託送供給等約款の変更届出を行い、託送料金単価の見直しを行います。

【見直し前後の託送料金】
見直し前後の託送料金単価(各電圧の1kWhあたりの平均単価)は以下のとおりです。

電圧別に見ると、低圧の料金単価に変更はなく、高圧と特別高圧の料金単価が値上げとなっています。一般家庭などが主となる低圧の需要については、電力需要の当初の想定と、実績および最新想定との間に大きな乖離がなく、経済産業省令などの料金算定ルールに基づき再算定した結果、料金単価の変動はありませんでした。一方で、工場や事務所ビル・商業施設などが主となる高圧および特別高圧の需要については、期初の想定と比較して、実績および最新の想定が落ち込んだため、料金単価を見直し、値上げとなりました。特に高圧の産業用需要では乖離が大きかったことから、高圧の改定幅が大きくなっています。
なお、モデルケースで算定した料金単価見直しによる電圧別の電気料金への影響は以下のとおりです。

新たな規制期間まであと3年。次の規制期間に向けての動きは
現在はレベニューキャップ制度の第1規制期間(2023年から2027年)の3年目にあたります。第2規制期間(2028年から2032年)の準備段階に入っており、2027年度には第2規制期間の収入の見通しの申請を控えています。

(2024年2月19日 第54回料金制度専門会合 資料7抜粋)
東北電力ネットワークでは、第2規制期間に向けて、第1規制期間の実績(事業計画との乖離など)を評価するとともに、今回の託送料金単価見直しはあくまでも電力需要の減少に対応したものであり、物価や金利の上昇などその他の要因による影響は取り込めていないことから、収入確保のために必要な制度措置がなされるように国への訴求を続けていくこととしています。

一般送配電事業者10社から提出された「収入の見通し」に対する検証作業が進められている。画像は電力・ガス取引監視等委員会の委員やオブザーバーから指摘のあった事項の一覧(2022年12月26日 第30回料金制度専門会合 資料3抜粋)