【地域の魅力発信シリーズ#5】宮城県塩竈市 子どもが夢中になる「段ブロック」

 宮城県塩竈市で包装資材販売を行う有限会社佐貞商店は、子どもたちの自由な発想から着想を得て、段ボールでできた新しいブロック玩具「段ブロック」を開発しました。身近な素材である段ボールを通して、創造の楽しさと素材の奥深い魅力を伝えます。

今回は塩釜電力センターからの情報提供です!

 皆さんからの情報をもとに地域の魅力をお届けするこのコーナー。

 第5回の情報提供者は、塩釜電力センターの志摩所長です!

 

<情報提供者のご紹介>

 

左から志摩所長、(有)佐貞商店佐藤社長

【志摩所長からのコメント】

 私が段ブロックを初めて知ったのは、東北歴史博物館で段ブロック1,300個を使って多賀城南門を再現するイベントにたまたま出くわしたことでした。その時は、「段ボールをブロック代わりに使うなんて面白い発想だなぁ」ぐらいの印象でしたが、塩竈市の佐貞商店さんが開発した製品だと知ってからは、地元推しに加え、本業の延長線上に生み出された独創性、そして遊ぶことはもちろん、見ているだけでも楽しいという普遍性にすっかり魅かれました。

 この段ブロックが日本中、いや世界中に広まって、水産業・酒造業・観光業に続く、塩竈市の新しい目玉産業になってほしいとの期待を込めて、今回紹介しました。

 段ブロックは、子供向けの知育玩具としてはもちろんですが、団体・企業向けとしては、各地域の象徴的な建築物・文化財の再現といった形での活用もできます。各地域イベントで盛り上げ役として段ブロックを活用いただけますとありがたいです。

 

多賀城南門の再現

 

 

 

 

「グッド・トイ2025」を受賞したのは、箱屋さん?!

 佐貞商店は、1950年に宮城県塩竈市で創業しました。当時は、海産物を貯蔵したり輸送したりするための魚函(木箱)の製造販売を行っていたそうです。やがて段ボールの普及が進むと、佐貞商店も段ボールの製造販売を始めました。その後、贈答品用の化粧箱など様々な包装資材も扱うようになりました。

 

 

 そんな港町の箱屋さんが開発したのが、段ボールでできたブロック玩具「段ブロック」です。おもちゃコンサルタントの投票で決まる、2025年の「グッド・トイ」にも選ばれ、遊びのスペシャリストたちの注目を集めました。選考委員からは「リサイクル可能な環境配慮素材で、椅子から建物まで自由に組み立てられるスケール感」や「遊び・学び・防災に活用でき、多用途で創造性を育む点」などが評価されていました。

 

 

 

「子どもたちの発想が開発のヒントに」佐藤亘社長の思い

 段ブロックを開発した佐藤亘社長に、お話を伺いました。

 

 

──開発のきっかけを教えてください。

 きっかけは東日本大震災でした。幸い直接的な被害は少なかったのですが、取引先が被災するなか、このまま現在の事業を続けるだけではまずいのではないかと思うようになりました。段ボールを生かして何か新しい事業を生み出そうと、机や椅子、盾なども考えましたが、「自分だったら欲しいだろうか」と自問すると、「絶対に買わないだろうな」というものばかり。しばらく悶々とした時を過ごしました。

 

──何が転機をもたらしたのでしょうか。

 娘の卒園発表会です。以前から、「先生の書類整理にでも使ってもらえれば」と思って段ボールを寄付していたのですが、それらを使って子どもたちが自由な発想で作ったものを見て、雷で打たれたように衝撃を受けました。その後、幼稚園関係者やパパ友たちとの出会いから、「段ブロックを作ろう!」と思い立ちました。

 

──開発のなかで一番苦労したことは何でしょうか。

 苦労はなくて楽しかったですね。最初は猫の爪とぎのように凹凸をつけて、レンガくらいの大きさにしようと何回も試作しましたが、うまくいかなくて…。半年くらい経って、「箱屋だし、箱型でいいや!」と吹っ切れて、うまくいったんです。今、ブロックは4種類になりました。切り口がざらざらになる特殊な刃を使って型抜きし、子どもたちが段ボールで手を切らないように工夫しています。

 

──段ブロックの強みを教えてください。

 たくさんありますが、何と言っても楽しいこと。拡張性があってかなり大きな作品まで組み立てられますが、運搬時は平らなので遠方でも大量に運べます。あとは、リサイクルが可能であることでしょうか。日本の段ボールの回収率を知っていますか?国内の生産量に対して95%超。輸入段ボールもあるので、実際の回収率はもう少し下がりますが、それでも、世界ではぶっちぎりのトップです。さらに言えば、段ボールに含まれる古紙(回収してドロドロに溶かした段ボールの繊維)の含有率は97%です。SDGsなんて言われていますが、江戸時代から日本ってSDGsの国だったわけです。

 

──どんな時にやりがいを感じますか?

 「ありがとう」「楽しかった」と言われた時です。段ブロックが生み出す場によって、人と人の心がつながる様子を見ていると、幸せな気持ちになります。段ブロックは、私をいろんなところに連れて行ってくれましたし、いろんな人に会わせてくれました。ご縁の中からチャンスは巡ってくるので、これからも人を大切に、自分も大切にして、仕事をしていきたいですね。

 

 

段ブロックでつながり、生まれる笑顔

 段ブロックは、子ども向けイベント、企業の地域貢献活動、児童施設の玩具、支援校の教材など、佐藤社長の予想を超えて、幅広く活用されています。

 

 

 

 段ブロックの魅力は、ほかのおもちゃにはないスケール感。以前仙台市科学館では、約15,000個の段ブロックを使って、巨大迷路を設置していたこともありました。

 

仙台市科学館に設置されていた巨大迷路
(2025年4月施設リニューアルに伴い現在は展示されていない)

 

 

 「お互いに知らない小学1~6年生の子どもたちでチームを作り、設計図を見ながら同じオブジェを制作する『チームビルディング』を行ったこともあります」と佐藤社長。段ブロックはコミュニケーションツールとしても活用でき、身近なところではショッピングセンター内のイベントで利用されたりと様々な場面で子どもたちを笑顔にしています。

 

 佐藤社長は子どもの頃から図画工作が大好きでこう語ります。「通信簿でも図工、美術、技術家庭はずっと5で、ものづくりが好きでした。その経験が、今の段ブロックの開発にも大いに役立っています。自分の手で形にしていく楽しさを、子どもたちにも感じてほしいと考えています」

 依頼を受けた段ブロックのオブジェも、多くは社長自ら制作しています。大阪府岸和田市で開催されたイベントでは、写真の岸和田城を参考に社長が設計し、2日間のイベント期間で来場した子どもたちと一緒に組み立てたとのことです。

 

 

 

 商品化されて以来、段ブロックは、北は北海道、南は沖縄まで全国各地で活用されてきました。昔から地域の物流に欠かせない段ボール箱は、地場産業の最たるもの。地元密着の塩釜発おもちゃが、日本を飛び出して、世界中の人達を笑顔にする日がくるかもしれません。

 

段ブロックについてもっと詳しく知りたい方はこちら 佐貞商店ホームページ

 

地域の魅力に関する情報を大募集!

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